ご相談のきっかけ

堺市で居酒屋を営むH社さまからのご相談でした。従業員は約12名、正社員3名とアルバイト9名で、店長を含めたシフト制で営業されています。
きっかけは、店長さんから「自分には残業代がつかないのですか」と質問を受けたことでした。H社さまは店長に役職手当を支給していたため、これまで残業代は不要だと考えていたそうです。
ところが店舗の忙しさから店長の勤務時間が長くなり、「本当に今の取扱いで問題ないのだろうか」と不安を感じるようになりました。飲食店の労務に詳しく、給与計算や雇用管理まで続けて相談できる相手を探し、当事務所にご連絡をいただきました。
状況の整理(タイムライン)
まずは現状を時系列で整理しました。開業以来、店長には役職手当を支給し、その代わりに残業代は支払わない運用を続けてこられたとのことでした。
店舗の営業時間が長く、店長の実働時間も自然と長くなっていました。そこへ店長本人からの質問があり、経営者側が「肩書と手当だけで判断してよいのか」という疑問を持たれた、という流れです。
アルバイトを含めた勤怠については記録があるものの、店長の労働時間は管理職という位置づけから細かく確認されていませんでした。この点が、今後リスクになりうる部分だと見えてきました。
当事務所の対応

最初にお伝えしたのは、「店長」という役職名だけで労働基準法上の管理監督者になるわけではない、という点です。ここは多くの飲食店経営者が誤解されやすいところです。
管理監督者に該当するかどうかは、肩書ではなく実態で判断されます。具体的には、店長の職務内容、採用や人事に関する権限の有無、出退勤やシフトについてどこまで自分の裁量で決められるか、そして役職手当を含む待遇が地位にふさわしいものかを一つずつ確認していきました。
H社さまの場合、店長は現場の中心ではあるものの、シフトや勤務時間について経営者の指示に沿って動く場面が多く、待遇面でも一般社員と大きな差があるとは言い切れませんでした。こうした実態を踏まえると、店長を管理監督者として扱い残業代を支払わない運用には、見直しの余地があると整理しました。
そのうえで優先順位をつけてご提案しました。第一に、店長を含めた全員の労働時間を毎月きちんと把握できる勤怠管理の仕組みを整えること。第二に、その記録に基づいて残業代を正しく計算する方法へ見直すこと。第三に、役職手当と残業代の関係をどう整理するかを検討することです。
飲食店は繁忙期と閑散期の差が大きく、シフトも日々変わります。そのため、一度整えて終わりではなく、毎月の給与計算を通じて労働時間を継続的にチェックできる体制が欠かせません。こうした仕組みは、後から未払い残業を指摘されるリスクを抑えるうえでも大きな意味があります。
当事務所は行政書士と社労士の両方の視点を持ち、飲食業界の現場経験もあります。手続きの代行だけでなく、店舗の実情に合わせた運用まで一緒に考えられる点を活かし、開業後も長く伴走する前提で顧問契約という形をご提案しました。
結果

店長の働き方を実態に沿って整理したことで、H社さまは現在の取扱いのどこにリスクがあるのかを具体的に把握できました。あいまいだった判断基準がはっきりしたことで、経営者としての不安が大きく減ったとのことです。
勤怠管理と給与計算の方法も見直し、店長を含めた労働時間を毎月確認できる流れが整いました。あわせて顧問契約を結んだことで、店長やアルバイトの労務に関する疑問が出たときに、その都度すぐ相談できる体制ができました。
担当者行政書士からのひとこと
「店長だから残業代はいらない」という考え方は、飲食店では本当によく聞きます。ただ、実際に問題になるのは肩書ではなく働き方の中身です。
早めに実態を確認しておけば、大きなトラブルになる前に手を打てます。今回のように「気になったときに相談する」という一歩が、結果的にお店を守ることにつながります。
費用の目安
労務顧問契約の費用は、従業員数やご依頼いただく業務範囲によって変わるのが一般的です。給与計算の代行や就業規則の作成などを合わせてご依頼いただく場合は、その分を加味してお見積りします。
初回相談は無料で承っています。まずは現状をお聞きしたうえで、必要な範囲と費用感をご案内しますので、お気軽にご相談ください。
同じ悩みの方へのアドバイス

「役職手当を払っているから残業代は不要」と考えている飲食店経営者の方は少なくありません。しかし管理監督者にあたるかどうかは実態で判断されるため、思い込みのままだと後で未払いを指摘されるおそれがあります。
気になった今が確認のタイミングです。実際の働き方まで見て整理してもらえば安心につながりますし、開業後の労務は継続して相談できる相手がいると心強いものです。堺市で飲食店を営む方は、ぜひ一度ご相談ください。
