ご依頼の経緯
ご相談いただいた会社様では、創業当初から社長様が店舗に立ち、接客や仕入れだけでなく、採用、シフト、従業員への指導なども直接行っていました。
その後、売上が安定し2店舗目を出店したことで、社長様が両方の店舗へ毎日入ることが難しくなりました。そこで、長く勤務していた正社員をそれぞれ店長にし、店舗運営を任せる体制へ変更されました。
ところが、店長へ任せる業務が増えるにつれて、新たな悩みが出てきました。
遅刻を繰り返すアルバイトにどこまで注意してよいのか、有給休暇を希望された場合にどう対応すればよいのか、急に退職したいと言われた場合はどうするのか、勤務態度に問題があるスタッフにどのような手順で改善を求めるのかなど、店長から社長様へ頻繁に質問が来るようになったのです。
店長は飲食店の現場については十分な経験がありましたが、労働法や労務管理について専門的に学んだ経験はありませんでした。
社長様自身も判断できない内容については、その都度インターネットで検索していました。しかし、似たようなケースでも書かれている内容が違うことがあり、「この対応で本当に大丈夫なのか」という不安が残っていました。
特に社長様が心配されていたのが、店長による従業員への指導でした。
店舗を任せる以上、一定の権限を与える必要があります。しかし、店長が感情的に注意してしまえばハラスメントの問題につながる可能性があります。一方で、何も注意できなければ、真面目に勤務している従業員から不満が出ることも考えられます。
社長様からは、「店長には店舗を任せたい。でも、人の問題まで全部任せるのは怖い。自分も判断に迷ったときにすぐ相談できる人がほしい」とのお話がありました。
今後さらに店舗を増やすことも検討されていたため、社長様がすべての従業員を直接管理する方法では限界があります。
そこで、問題が発生したときだけ単発で相談するのではなく、会社や店舗の状況を継続的に把握したうえで相談できる体制を整えたいとのご希望から、当事務所との労務顧問契約をご依頼いただきました。
担当社会保険労務士のコメント
飲食店が1店舗から2店舗、3店舗と成長していく際に、大きな課題となるのが「社長が現場から離れられない」という問題です。
店舗が1つで従業員も少ない間は、社長様が直接スタッフを管理することもできます。しかし、店舗が増えてくると、すべての従業員の遅刻や欠勤、シフト、有給休暇、退職、勤務態度まで社長様が確認することは現実的ではありません。
そこで店長へ権限を移していくことになりますが、優秀な飲食店スタッフが、そのまま優秀な労務管理者になるとは限りません。
料理や接客、売上管理について豊富な経験があっても、従業員への注意方法や労働時間、有給休暇、ハラスメントなどについて判断するためには、別の知識が必要になります。
今回の会社様では、店長が一人で労務問題を抱え込まないことを重視しました。
店長がその場で自己判断して問題を大きくしてから社長様へ報告するのではなく、判断に迷う段階で相談できる体制をつくることで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
例えば、遅刻を繰り返す従業員がいたとしても、いきなり重い処分をするのではなく、まず事実関係を確認し、注意や指導を行い、その記録を残しながら改善状況を見ることが重要になります。
退職に関する相談でも、感情的に引き止めたり、その場で結論を出したりするのではなく、状況を確認して適切に対応する必要があります。
顧問契約後は、このような日常的な判断について継続してご相談いただけるようになりました。
社長様にとっても、すべての答えを自分で持つ必要がなくなります。「分からないことがあれば社労士に確認してから判断する」という選択肢ができるだけでも、経営者の負担は大きく変わります。
また、労務顧問契約は、すでに大きな問題が発生している会社だけに必要なものではありません。
むしろ、今回の会社様のように、店舗数や従業員数が増え、これから組織として成長していく段階で顧問社労士を付けることには大きな意味があります。
社長様が現場の細かな判断から離れ、店長へ安心して店舗を任せられる体制をつくることができれば、その分、新規出店、売上管理、採用戦略など、経営者にしかできない仕事へ時間を使えるようになります。
当事務所では、単に法律上の回答をお伝えするだけではなく、現在の店舗運営や従業員構成、今後の出店計画なども踏まえながら、その会社にとって現実的な対応方法をご提案しています。
本町で飲食店を経営されており、従業員が増えて社長様一人での労務管理に限界を感じている場合や、店長へ店舗運営を任せたいものの従業員対応に不安がある場合は、問題が起きる前に労務顧問契約による相談体制を整えておくことをおすすめします。
お客様の声
2店舗目を出してから、自分がすべての店舗を見ることが難しくなり、店長にかなりの仕事を任せるようになりました。
売上管理や仕入れについては安心して任せられたのですが、一番不安だったのが従業員への対応でした。
店長から、遅刻するアルバイトをどう注意したらいいですか、有給を取りたいと言われました、急に辞めたいと言っているスタッフがいます、といった相談が頻繁に来るようになり、結局すべて私が判断していました。
自分でも分からないことはネットで調べていましたが、検索するたびに違うことが書かれていることもあり、本当にこの対応でいいのかという不安が常にありました。
顧問契約をお願いしてからは、判断に迷った時点で相談できるので、非常に助かっています。
特に良かったのは、単に「できます」「できません」と回答されるのではなく、実際に従業員へどう伝えればいいのか、どのような順番で対応すればいいのかまで具体的に教えていただけることです。
店長にも、分からないことをその場の判断だけで処理せず、確認してから対応するよう伝えられるようになりました。そのおかげで、私自身も以前ほど細かな従業員対応に時間を取られなくなっています。
飲食店を経営していると、売上や仕入れだけではなく、人に関する問題が本当に多いです。しかも、同じように見える問題でも従業員によって状況が違うので、ネットで調べただけでは判断できないことが多いと感じました。
以前は、社労士との顧問契約は従業員がもっと多い会社がするものだと思っていました。しかし実際にお願いしてみると、店舗や従業員が増え始めた時期だからこそ必要だったと思います。
今後さらに店舗を増やすことを考えているので、会社のことを普段から理解してもらい、何かあればすぐ相談できる社労士がいることは非常に心強いです。
自分一人ですべて判断していた頃と比べると、経営者としての精神的な負担もかなり減りました。もっと早い段階で顧問契約をお願いしておけばよかったと思っています。
