
吉本 翼
Wing堂ヶ芝行政書士事務所の代表。飲食店開業の専門家として、様々な分野の専門家と連携しながら、開業時から開業後のヒト・モノ・カネの経営をトータルでサポートしている。
CONTENTS
[居酒屋・バー・飲食店の許認可業務]
これからテイクアウト専門の飲食店を始めたい方に向けて、営業許可の取得方法や注意点、手続きの流れを初心者にもわかりやすく解説します。
保健所とのやり取りや扱う食品によって異なる許可の種類、さらに衛生管理のポイントやプロモーション戦略まで、実践に役立つ情報をまとめました。
テイクアウトビジネスをスムーズにスタートさせたい方は必見です。
目次
テイクアウトを始めようと考えたとき、まず最初に立ちはだかるのが「営業許可」の壁です。これは避けて通れない重要な手続きです。
多くの飲食店オーナーが「お店を持っているから、そのままテイクアウトもできるだろう」と思いがちですが、実はそう単純ではありません。
飲食店営業許可を取得している店舗であっても、提供の方法や取り扱う食品の種類によっては追加の許可や届出が必要になる場合があります。特に「弁当」「総菜」「菓子製造」などのジャンルは、一般の飲食店営業許可とは区分が異なるため、思わぬタイミングで再申請を迫られるケースもあります。
テイクアウトは気軽に始められるイメージがありますが、法律上は“食品を製造・提供する行為”として見られます。飲食店営業許可があるから大丈夫と考えず、必ず保健所に確認を取りましょう。
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基本的に、テイクアウトを行うには食品衛生法に基づく営業許可が必要です。すでに飲食店営業許可を持っている場合でも、扱う食品の種類や販売形態によっては「そうざい製造業」や「菓子製造業」など別の許可が必要になることがあります。
例えば、カフェで焼き菓子を包装して販売する場合、単なる飲食店営業許可では足りないケースがあります。
さらに、営業許可の要件は全国一律ではなく、地域によって運用が異なるのが実情です。ある自治体では同じ商品でも「飲食店営業許可でOK」とされる一方、別の地域では「製造業許可が必要」と判断されることもあります。そのため、開業地の保健所に事前相談をすることが極めて重要です。
申請にあたっては、厨房設備の設計図、衛生管理計画書、食品衛生責任者の資格証明、必要に応じてスタッフの衛生講習受講証明など、複数の書類を準備する必要があります。手続きの不備や準備不足は、営業開始の遅延につながりかねません。
また、許可を取得したあとも定期的な衛生検査や保健所の立ち入り指導が行われます。単に営業許可を取れば終わりではなく、継続的な衛生管理体制を維持していくことが「安全で信頼されるテイクアウト飲食店」につながります。
テイクアウトの営業許可では“提供方法”がカギになります。包装や保存方法によって必要な許可が変わるため、早めに図面やメニューを用意して相談するとスムーズです。
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一方で、すべてのテイクアウト販売に営業許可が必要というわけではありません。例えば、包装されたおにぎりや焼き菓子など、一定の食品を扱う場合や、家庭内での少量販売に限定される場合など、条件付きで営業許可が不要とされるケースがあります。
また、地域の祭りや商店街イベントといった一時的な販売も、営業許可が不要とされる場合があります。ただし、この「許可不要」の判断基準も自治体によって異なるため、必ず保健所に確認することが鉄則です。
重要なのは「許可が不要だからといって衛生管理をおろそかにしてよいわけではない」という点です。飲食物を提供する以上、食中毒や異物混入などのリスクは常につきまといます。小規模な販売やイベント出店であっても、衛生面への配慮は欠かせません。
営業許可が不要なケースでも、万が一トラブルが起きれば営業停止や損害賠償につながる可能性があります。“安全を守る”という意識を常に持って取り組みましょう。
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テイクアウトと一口に言っても、取り扱う食品や販売形態によっては、既存の飲食店営業許可だけでは足りないケースがあります。ここでは、新たに許可が必要になる具体的なケースを見ていきましょう。
もし冷凍食品や生鮮食品、菓子類など、加工や保存に注意が必要な特定食品を扱う場合は、それに応じた許可が追加で必要になります。特に、アレルゲン表示や食品表示のルールに触れる食品を提供する際は、細かい規定が出てくるので要注意です。
たとえば、自家製のケーキやアイスクリームをデリバリー対応にする場合、その製造工程や保存方法、食品表示の適切な記載が求められます。こうした食品は、飲食店営業許可だけでなく、菓子製造業など別の営業許可が必要になるケースもあります。
テイクアウトだからといって油断は禁物。必ず事前に保健所へ相談し、自分の提供しようとしている食品がどのカテゴリに入るのかを確認しましょう。ルールを後から追加で知って慌てるより、最初にしっかり把握しておくのが安心です。
テイクアウトでは扱う食品ごとに必要な許可が変わります。お菓子やアイスなどは菓子製造業許可に該当することが多く、見落としがちなポイントです。
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テイクアウト用にワインやビールを一緒に販売できたらと考える方も多いでしょう。しかし、酒類の販売は食品衛生法の営業許可とは別に、税務署での酒類販売業免許が必要です。
販売する酒の種類によっても取得すべき免許が変わります。瓶ビールを持ち帰り販売したいのか、店内でグラスワインを提供するのかで、必要な手続きは異なります。また、酒類販売に関する規制は地域ごとに細かく異なるため、自分の店舗所在地のルールを確認することが欠かせません。
許可申請には一定の条件や審査があり、取得までに時間がかかるケースもあります。販売する可能性が少しでもあるなら、早めに調べて準備を始めておくことをおすすめします。
酒類販売は保健所ではなく税務署での許可が必要です。飲食店営業許可とは別手続きになるため、見落としやすい点に注意してください。
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最近では、自宅の一部を使ってテイクアウトやデリバリー専門の営業を始めるケースも増えてきました。しかし、自宅だからといって自由に営業できるわけではありません。
まず必要なのは、自宅での営業が可能かどうかの確認です。地域によっては住宅地での営業を制限している場合もあります。また、保健所が定める基準を満たした調理場が必須です。アイスクリームや菓子類などを製造する場合には、別途の製造業許可が必要となることもあります。
仮に自宅での営業が可能であっても、衛生面への配慮は店舗営業以上に重要です。食品の保管温度、調理器具の洗浄、調理スペースの清潔さなどが細かくチェックされるため、開業準備の段階で対策を講じておく必要があります。
自宅でのテイクアウト営業は設備や用途地域の制限により断念せざるを得ないこともあります。改装前に必ず保健所と自治体に相談してから進めることが安全です。
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テイクアウト営業を始めるには、ただ料理を作って容器に詰めればいいというものではありません。手続き、商品設計、販売戦略まで、いくつかのステップをしっかり踏む必要があります。このセクションでは、具体的な準備の流れを見ていきましょう。
まず最初にすべきは、営業許可が必要かどうかの確認です。これを怠ると、せっかく準備しても一からやり直しになる可能性があります。保健所には必ず事前相談を行い、地域ごとの規制や条件について情報を収集することが欠かせません。
営業許可の取得には、店舗の図面、厨房設備の配置、衛生管理計画など、いくつもの書類が必要です。食品衛生責任者の設置証明や水質検査結果を添付する場合もあります。あらかじめ保健所のホームページや案内資料を参考にして、どのような書類が求められるかを把握しておくと、申請時のトラブルを避けられます。
最近では、相談専用の窓口やオンライン予約制の事前相談を設けている自治体も増えてきました。直接足を運ばなくても電話やオンラインで対応してもらえるケースもあり、早めに利用を検討することが効率的です。こうした確認作業を丁寧に進めることで、後の工程で余計な手戻りや追加工事を防ぐことができます。
保健所との事前相談は、営業許可をスムーズに取るための最大の近道です。テイクアウト営業は食品の取り扱い区分が変わることもあるため、必ず事前に図面やメニューを提示して確認しておきましょう。
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どんな料理をテイクアウト用に提供するかは、お店の魅力を左右する重要な要素です。たとえば、時間が経っても味が落ちにくい弁当やパンなどは保存性に優れており、持ち帰り需要にマッチしています。調理方法を工夫すれば、家庭での食卓に合わせた新しい価値を提供できるでしょう。
次に考えたいのが容器です。保存状態や温度に配慮しつつ、持ち帰りしやすいサイズ感や素材を選ぶことが求められます。たとえば、スープ系の商品なら漏れにくい蓋つき容器、揚げ物やパン類なら通気性を確保できる素材が適しています。
コストを抑えることももちろん重要ですが、容器の品質はブランドイメージに直結します。見た目や手触りに少し配慮するだけで、「丁寧なお店」という印象を与え、リピーターにつながる効果を生みます。近年は環境配慮型の紙容器やバイオマス素材を使う店舗も増えており、SDGsの観点からも評価されやすい傾向にあります。
テイクアウトの営業許可申請では、実際にどのような料理をどんな容器で提供するのかが確認されます。容器選びは単なるデザインだけでなく、許可審査や衛生管理の観点からも重要です。
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どれだけ美味しいメニューを用意しても、知ってもらえなければスタートラインに立てません。テイクアウト営業を成功させるには、販売方法や集客手段をしっかり練ることが不可欠です。
まずはターゲットとする顧客像を明確にし、その人たちにどうアプローチするかを考えます。SNSを活用した情報発信、Googleビジネスプロフィールへの登録、地域密着型のチラシ配布、商店街イベントでの出店など、複数の手段を組み合わせると効果的です。
また、周辺の競合店の動きや価格帯、提供メニューの傾向を簡易的に一覧でまとめる「競合分析」を行うと、自店の立ち位置が明確になります。たとえば「ランチ需要が高い住宅街」「学生が多いエリア」といった特性を把握すれば、それに合わせた価格帯やメニュー設計ができます。そこから逆算して、製造量や販促施策を固めると、効率のよい戦略が見えてきます。
テイクアウトは認知を広げるまでが大変です。営業許可取得と同じくらい、マーケティング戦略を早期に組み立てることが継続的な売上につながります。
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テイクアウトにおける信頼の土台は、何と言っても衛生管理です。どれだけ味や価格が良くても、衛生面に不安があれば、顧客はすぐに離れてしまいます。飲食店として当然の責任を果たすためにも、衛生に対する意識を高く持ち、基本的な管理体制を整えることが必要です。とくにテイクアウトは「持ち帰り」という特性上、提供後の時間経過によるリスクも大きいため、通常営業以上に徹底した衛生対策が求められます。
テイクアウト営業では、まず清掃の徹底が基本となります。厨房だけでなく、店の入り口や容器の保管場所など、顧客の目に触れにくい部分まで清潔を保つことが求められます。施設全体が清潔であることは、食品衛生の第一歩であり、安心感を顧客に与える要素でもあります。
次に重要なのが、従業員に対する衛生教育です。知識が曖昧なままでは、本人に自覚がなくても危険な取り扱いをしてしまう可能性があります。一般的な食品衛生の知識に加えて、自店の作業フローに合わせたルールを明確にし、全員が同じ基準で動けるようにすることが必要です。たとえば、調理と盛り付けの担当を分け、業務ごとに手袋を交換するなど、日常的に守れる仕組みを整えることが効果的です。
また、手洗いの習慣を徹底することも欠かせません。手洗いはもっとも基本的でありながら、もっとも効果的な安全対策です。業務ごとのタイミングや正しい手順を明示し、チェックリスト化して定期的に確認する体制を作ると効果が高まります。アルコール消毒と併用するなど、実践的な方法を習慣化させることが望ましいでしょう。
衛生管理の基本は「見える清潔」と「見えない清潔」の両立です。チェックリスト化して習慣にすることで、保健所の検査でも自信を持って対応できます。
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食材の管理にも細心の注意が必要です。まず第一に鮮度管理。納品時には必ず品質をチェックし、冷蔵庫内での保管状況も日々確認しましょう。消費期限や状態を見落とさず、少しでも異常があれば無理に使わない判断を下せる体制を作ることが、事故を未然に防ぐ最善の方法です。
さらに重要なのが温度管理です。温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。食品の安全性は、提供時の温度によって大きく左右されます。特に夏場や湿度の高い時期には、保管温度が数度違うだけでも食中毒のリスクが高まります。保冷バッグや専用の保温容器を活用するなど、提供後を見据えた工夫が求められます。
交差汚染の防止も欠かせません。生肉や魚介類と野菜のまな板や包丁を分ける、調理器具を用途別に管理するなどの基本を守ることが、結果的に飲食店全体の信頼感につながります。特にテイクアウトは短時間で多くの調理を行う場面が多いため、忙しさに紛れても基本動作を徹底できる仕組み作りが必要です。
特にテイクアウトでは「温度管理」と「交差汚染防止」が指導で指摘されやすいポイントです。最初の段階で従業員教育に組み込むのが安心です。
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テイクアウト営業を軌道に乗せるには、許可や衛生の問題だけでなく、「選ばれる理由」をどう作るかがカギになります。ここでは、顧客の視点からお店を磨き上げるためのヒントを紹介します。
まず取り組みたいのが、顧客の声をしっかり拾うことです。提供した商品の感想や改善点など、フィードバックを集めることで、次の注文に反映できるヒントが得られます。直接の声が難しい場合は、SNSのコメントや電話での応対時に感じた印象も参考になります。
また、誰に向けたメニューなのか、ターゲット層を明確にすることで、より響くサービス設計が可能になります。たとえば、忙しい会社員向けに短時間で温められる加熱対応の弁当を用意するなど、ニーズに応じた工夫が求められます。
さらに、季節感やトレンドを意識した商品展開も有効です。夏には冷たい麺、冬には温かいスープ系メニューなど、時期に応じて内容を見直すことで、飽きられずリピーターを維持できます。
顧客の声を制度的に拾う仕組みを作ると、単発の改善で終わらず継続的に強みを伸ばせます。アンケートやQRコードを活用した簡易フィードバックは実務的にもおすすめです。
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次に考えたいのが、他店との違いをどう出すかということです。差別化の一手として、自店にしかないオリジナルメニューを開発するのは王道の方法です。例えば地元食材を使った一品や、他では見かけない組み合わせの料理など、食べてみたくなる仕掛けが鍵になります。
サービスの質も見過ごせません。注文から受け渡しまでの対応が丁寧かつスムーズであれば、他店と比べたときの印象は格段に良くなります。小さなことの積み重ねが、顧客の信頼につながっていきます。
そして、最近ではブランドストーリーをきちんと伝えることも、他と比べたときの大きな武器になります。なぜこのお店を始めたのか、どんな思いで商品を作っているのか。そうした背景を知ることで、顧客との距離が縮まり、リピート率の向上にもつながります。
差別化は「商品」「接客」「物語」の3つの軸で整理すると実践しやすいです。特に小規模店はストーリーの発信が大きな強みになります。
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テイクアウトの魅力を広めるには、SNSの活用が欠かせません。中でも、写真や動画といったビジュアルコンテンツは特に有効です。思わず食べたくなるような画像や、加熱前後の変化を見せる動画など、視覚的な訴求がポイントになります。
投稿は一度きりではなく、定期的に更新することで検索やサイト訪問への導線が作れます。たとえば新たな商品ページの紹介や、おすすめメニューの利用シーンを紹介するなど、工夫しながら情報を届けましょう。
さらに、フォロワー数が多いインフルエンサーとコラボレーションを行うのも有効です。料理を実際に食べてもらい、その感想をSNSでリンク付きで紹介してもらえば、新たな顧客層への訴求力は大きくなります。
SNS発信は「更新頻度」と「一貫性」が評価されます。許可や衛生の裏付けをあえてアピールすることで、安心感のある店舗として差別化できます。
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テイクアウト営業は、一時的な流行にとどまらず、すでに外食業界の新たなスタンダードとして定着しつつあります。始めるための準備は決して簡単ではありませんが、視点を広げれば、長く続く事業としての可能性が見えてきます。
近年、テイクアウト市場は右肩上がりの成長を続けています。自宅や職場、公園など、食べる場所や時間を自由に選べる利便性が消費者に評価され、ライフスタイルの一部として自然に溶け込むようになってきました。こうした市場の成長を背景に、開業前後を通じて定期的に業界の動向を把握しておくことは不可欠です。たとえば、人気のジャンル(健康志向、エスニック、デザートなど)や消費者の価格帯の変化を調査しておけば、自店の戦略づくりに直結します。
同時に、競合他社の動きを観察することも重要です。どのようなメニューやサービスが注目されているかを分析することで、自店が「ここでしか買えない」と思ってもらえる強みを打ち出せます。単なる模倣ではなく、他店との差別化を意識することが、選ばれる店になるための第一歩です。
さらに、消費者の意見を積極的に集める姿勢も欠かせません。アンケートやSNSを通じたリアルな声は、思い込みを排除した判断材料となり、商品開発やサービス改善の大きなヒントになります。「顧客の声をどう活かすか」を意識して取り組むことで、店舗は自然と磨かれていきます。
市場動向の調査は、単に数字を追うだけでなく「許可の種類」や「提供方法」とも直結します。新ジャンルに参入する前に、その食品が新たな営業許可を必要としないかを必ず確認しておくことが、後からのリスク回避につながります。
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テイクアウトを長く続けるためには、短期的な売上だけでなく、持続可能なビジネスとしてどう設計するかを考えることが大切です。たとえば、環境に配慮した素材を使用する容器を選定したり、地元の食材を優先的に使ったりといった工夫は、顧客からの共感を得る要素になります。
また、営業を行う中で大切なのは、単なる売買を超えた顧客との関係構築です。一度食べて終わりではなく、「またあそこで買いたい」と思ってもらえる体験をどう作るか。日々のやりとりやちょっとした気配りが、長く支持されるお店を育てます。
そして、利益を上げながら継続できるメニューを検討することも不可欠です。食材コスト、調理工程、販売価格のバランスを見ながら、収益性の高い商品を中心に据えることで、安定した運営が可能になります。記事を参考にしつつ、まずはできるところから取り組みを始めてみるのがよいでしょう。
持続可能な運営を考える際は「利益率」だけでなく「法令遵守コスト」も忘れてはいけません。容器のリサイクル表示や食品表示法への対応など、法律面での準備を怠らないことが、長期的な信頼とブランド力を支えます。
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ここでは、テイクアウト営業に取り組むにあたって見落とされがちな、けれど実務的にとても大切なテーマを紹介します。他店との差別化だけでなく、運営の安定化にもつながる内容です。
飲食店が店内飲食をメインとした営業から、テイクアウト中心の業態へと切り替える場合、すでに取得している営業許可がそのまま使えるとは限りません。提供方法や厨房設備の使い方が変わることで、営業内容の変更として扱われ、保健所への変更届出が必要になるケースがあります。
また、場合によっては一部の許可項目の更新や再審査を求められることもあるため、早めの段階で保健所に確認しておくことが重要です。手続きには、変更届の提出、厨房の改装図面、変更内容の説明書類などが求められることが一般的です。思わぬタイムロスを避けるためにも、準備段階から手続きの流れを把握しておくと安心です。
許可変更の有無は「厨房設備の使用方法の変化」が判断基準になることが多いです。事前に改装業者だけでなく保健所と行政書士に相談しておけば、工事後にやり直しになるリスクを減らせます。2021年の食品衛生法改正以降、業態変更に伴う手続きは従来よりも厳格化されています。特にHACCP対応が義務化されたことで「営業内容の変更扱い」になる事例が増加中です。テイクアウト導入前に変更届の要否を確認しておかないと、オープン直前で許可が降りずに開業延期になるリスクがあります。
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新たにテイクアウト事業を始める場合、調理や提供方法の変化に合わせて、従業員の教育も見直す必要があります。例えば、包装作業では手袋の正しい使い方や、清潔な作業スペースの維持など、これまでにない衛生ポイントが増えます。
こうした変化に対応するには、現場ごとに合わせた研修を実施し、作業マニュアルを整備することが効果的です。また、労働安全の観点からも、油の取り扱いや機材の使用に関する安全管理が求められます。従業員の理解と実践を促すためには、具体的なケースに基づいた教育がカギとなります。
2024年4月施行の労働安全衛生規則改正では、調理作業に従事する短時間パートにも「定期的な衛生教育」が義務づけられるようになりました。テイクアウト導入に合わせて労働契約や教育体制を見直さないと、労基署から是正勧告を受ける可能性もあります。許可申請と並行して就業規則や教育マニュアルの整備を進めることをおすすめします。
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テイクアウト事業を始める際、意外と見逃されがちなのが行政の支援制度です。各自治体では、小規模事業者を対象にしたテイクアウト促進の補助金や、厨房設備の導入を支援する助成金制度などが用意されています。
制度によっては、申請のタイミングや必要書類が細かく決まっており、情報を早めに入手しておくことが成功のポイントになります。例えば、地元商工会議所や市区町村の公式サイトで最新の公募情報を確認し、わからない部分は窓口に相談することでスムーズな申請が可能です。初期投資の負担を軽くする手段として、積極的に検討しておきたいところです。
現在(2025年時点)、大阪府では小規模飲食店向けに「設備導入補助金」や「販路拡大支援事業」が公募されています。補助金は予算枠が限られているため、申請が遅れると締切前でも受付終了になるケースが多いのが実情です。制度を活用して確実に採択を狙うなら、行政書士と連携して申請書を早めに整えることが重要です。
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