
吉本 翼
Wing堂ヶ芝行政書士事務所の代表。飲食店開業の専門家として、様々な分野の専門家と連携しながら、開業時から開業後のヒト・モノ・カネの経営をトータルでサポートしている。
CONTENTS
[居酒屋・バー・飲食店の許認可業務]
飲食店を始める際、「営業許可を誰の名義にするか」で思わぬトラブルになることがあります。
本記事では、名義貸しの実態とリスク、法的な位置づけ、具体的な事例、そして違法性を避けるための対策まで、初心者向けにわかりやすく解説します。
目次
飲食店を開業するにあたって、「名義貸し」という行為が行われるケースがあります。これは、営業許可を実際の経営者とは異なる人物の名義で取得し、その名義を借りて営業するという方法です。一見するとスムーズな開業の手段に見えるかもしれませんが、その背景には飲食業界ならではの事情が隠れています。
飲食店を営業するためには、食品衛生法に基づく飲食店営業許可を保健所から取得する必要があります。この許可には施設構造や設備、シンクの数、手洗い場、換気、冷蔵設備などの衛生基準を満たすことが求められ、さらに「食品衛生責任者」を置くことも必須です。初心者や資金不足の事業者にとって、これらの条件を整えることは容易ではありません。
特に、金融機関の融資審査に通らない場合、開業資金を確保できず、他人の名義を借りて営業しようとするケースが出てきます。さらに、飲食店経営の経験がない人が「既に実績のある人物の名義を借りれば安心だ」と考える傾向も、名義貸しを誘発しています。こうした事情が複合的に絡み合い、名義貸しという行為が実態として存在しているのです。
名義貸しは「資金や経験不足を補うため」という安易な発想から始まることが多いですが、実際には法令違反を招く重大なリスクにつながります。最初から正しい手順で準備することが重要です。
行政書士
吉本翼
しかし、名義貸しには深刻なリスクがあります。まず第一に、名義貸しは食品衛生法や風営法などに抵触する違法行為であり、発覚した場合は「名義を貸した側」「借りた側」の双方が行政処分や刑事罰の対象となり得ます。営業停止命令や罰金、許可取消処分が科されることもあり、事業継続に致命的な打撃を与えかねません。
また、営業許可が取り消されると、店舗は即座に営業を停止せざるを得ず、売上損失だけでなく、従業員の雇用不安、取引先との契約不履行など、広範囲に悪影響が及びます。特に都市部の飲食店では家賃や人件費の固定費が重いため、営業停止が数日でも経営に壊滅的な打撃を与える可能性があります。
さらに、名義貸しは「信用を失う行為」として業界内でも非常に重く受け止められます。一度でも不正が発覚すれば、再び保健所から営業許可を取得することが難しくなり、飲食業界に復帰すること自体が困難になるケースも少なくありません。表面的な便利さに反して、名義貸しは大きなリスクを伴う行為なのです。
営業許可を失うことは単なる事業停止にとどまらず、信用の喪失につながります。飲食店の経営では「信用」が最大の資産であることを常に意識してください。
行政書士
吉本翼
飲食店における名義貸しは、形式上の手続きの問題ではなく、法律に深く関わる重大な行為です。特に風営法との関連は見逃せません。ここでは、名義貸しがどのように法律で規定され、どのようなリスクを伴うのかを解説します。
名義貸しとは、本来営業する権利を持たない者が、他人の名義を借りて営業を行う行為を指します。実際に営業している人物が法的責任を免れようとする点が問題視されます。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)では、営業許可の「貸し借り」や「提供」は明確に禁止されています。通常の飲食店営業であれば食品衛生法が中心となりますが、接待行為を含むバーやクラブなど風営法の対象となる業態では、規制がより厳しく適用されます。営業許可を得た者以外がその許可を利用して営業することは、明確な違法行為とされるのです。
実際に、接待を伴う飲食店で名義上の経営者が現場に関与せず、他人が経営を行っていたケースでは、行政から営業停止処分を受けた事例もあります。名義だけを貸して経営に関与しなかったとしても、貸した側が責任を免れることはできません。
風営法における名義貸しは、表向きの形式であっても違法行為と判断されます。経営実態と許可名義が一致しているかは行政のチェックが入る重要ポイントです。
行政書士
吉本翼
名義貸しが発覚した場合、行政から厳しい処分を受ける可能性があります。風営法や関連条例に基づき、営業許可の取消し、営業停止処分、罰金刑が科されることがあり、違反の程度によっては懲役刑もあり得ます。
具体的には、名義貸しによる不正営業が認められた場合、100万円以下の罰金や2年以下の懲役刑が科される可能性があります。これは行政処分にとどまらず、刑事罰の対象となる重大な違反です。
その結果、店舗を閉鎖せざるを得なくなり、経営損失はもちろんのこと、取引先や従業員からの信用も失われます。違反歴があると再び営業許可を取得することも難しくなり、飲食業界に復帰するための大きな障害となります。
名義貸しは「軽い違反」と誤解されがちですが、刑事罰に直結する重大なリスクを伴います。罰金や懲役だけでなく、経営の継続そのものが不可能になる点を強調しておきたいです。
行政書士
吉本翼
名義貸しは理論だけの問題ではなく、実際の飲食店経営の現場で頻繁に発生し、特に不動産契約や税務調査の局面で大きなトラブルの温床となります。ここでは典型的な2つの場面を取り上げ、それぞれのリスクと注意点を整理します。
飲食店開業の第一歩である物件契約の場面で名義貸しが行われることがあります。たとえば、本人の信用や収入証明が不十分な場合に、親族や知人の名義で賃貸借契約を結び、実際の開業・運営・家賃支払いは名義を借りた人物が行うというパターンです。契約書上の借主と実際の運営者が異なるため、トラブルが生じた際に責任の所在が不明瞭になりやすく、大家との契約解除や損害賠償請求、強制退去のリスクが高まります。
特に原状回復や設備投資(内装・ガス・防火設備等)に関する費用負担があいまいになると、名義人である親族が後に損害を請求される事例が多くあります。また、大家側が名義と実態の差異を把握した場合、契約違反を理由に即時退去を求められる可能性もあります。これは大阪市内など家賃負担が大きい地域では、事業継続に直結する致命的リスクです。
物件契約は飲食店開業の基礎です。名義貸しで物件を確保すると短期的には便利でも、長期的には必ず問題になります。可能な限り事業者本人の名義で契約するか、どうしても難しい場合は専門家と相談のうえ正式な保証契約や委任契約を整備してください。
行政書士
吉本翼
名義貸しは税務面でも重大なトラブルを招きます。売上・利益の帰属が不透明になるため、税務署の調査対象になりやすく、帳簿の整合性が取れないと追徴課税や重加算税、場合によっては刑事告発の可能性も出てきます。例えば、実際の経営者(子)が収入を申告せず、名義人(父)が売上を申告している場合、資金の流れや領収書の整合性が崩れ、税務署が名義貸しを疑う典型例となります。
さらに、名義貸しが発覚すると相続税や贈与税の問題へ波及することもあります。家族間で資金移動や債務・貸借関係が不明瞭だと、将来の相続時に思わぬ税負担や争いが生じるため、税務上のリスクは単発で終わらず長期的な問題になり得ます。税理士と連携して、収支記録・領収書・契約書を実態に合わせて正しく整備することが重要です。
税務調査は「帳簿の整合性」で決まります。名義と実態が一致していないと、追徴課税や重いペナルティに繋がる可能性があります。開業前から税理士・行政書士と連携して会計・契約を透明にしておきましょう。
行政書士
吉本翼
名義貸しによるトラブルを防ぐためには、事後対応ではなく、あらかじめ明確なルールと責任のもとで経営を行う姿勢が求められます。ここでは、名義貸しを未然に防ぐための具体的な対策について解説します。
最も基本的でありながら効果的なのが、「契約内容の明確化」です。飲食店の営業を開始するにあたり、物件の賃貸契約、設備導入の契約、業務委託契約など、様々な書類が交わされますが、これらすべてにおいて誰がどの責任を負うのか、明確に記載する必要があります。
たとえば、賃貸借契約書においては、名義人が誰で、実際に営業を行うのは誰なのか、その関係性が一目で分かるように整理することが重要です。事前に契約の内容を確認し、不明確な点があれば契約前に相談することが基本となります。
また、店舗運営中にも状況は変化していきます。契約は一度交わしたら終わりではなく、定期的な見直しを行うことで、実際の営業内容に即した状態に保つことが可能です。たとえば、業務内容の変更や人員の入れ替えがあった場合、対応する契約書類の更新も必要です。
こうした手続きを怠らないためにも、初回相談が無料の行政書士や、飲食業界向けに特化した法律専門家の力を借りることも一つの手です。第三者の目を通すことで、見落としがちなリスクにも事前に対応できるようになります。
契約の不備が「名義貸し」と誤解されることも多いです。契約当事者を明確にし、定期的な見直しを行うことが、トラブル予防の最良の手段です。
行政書士
吉本翼
名義貸しを防ぐうえで最も根本的なのは、経営者自身の意識と姿勢です。自らの経営理念を明確に持ち、その理念に基づいてすべての業務を行うことが、名義貸しの必要性を無くす第一歩です。理念が曖昧であれば、経営の軸もブレてしまい、違法行為に手を出すような状況が生まれかねません。
また、従業員に対する教育も欠かせません。たとえば、営業許可に関する手続きや、契約書類の取り扱い、名義に関する基本的な知識を共有することで、業務に対する理解が深まり、経営全体の透明性が向上します。そうした職場環境であれば、不正に手を染めようとする意識自体が生まれにくくなるのです。
名義貸しは、経営者が現場から距離を置き、業務の実態を把握しないことで起こるケースも少なくありません。現場に関与し、日々の営業に責任を持って対応することで、名義貸しのような問題を未然に防ぐことが可能になります。
経営者が現場を把握し責任を持つことで、名義貸しは自然と防げます。理念と実務を結び付けた運営こそが、信頼される飲食店経営の基本です。
行政書士
吉本翼
名義貸しに関する疑問は、飲食業界の現場でもよく耳にします。ここでは、特に多く寄せられる質問を取り上げ、初心者にもわかりやすく解説します。
「うまくやればバレない」は誤解です。実務では、複数のルートと“突合”で発覚します。保健所(食品衛生)や警察・生活安全課(接待行為等で風営法該当の場合)の立入検査では、営業許可の名義人と現場の実務責任者が一致しているか、従業員名簿・シフト・雇用契約・名札・研修記録などの実態資料と照らして確認されます。物件賃貸借契約の借主と実占有者、消防・防火関係の届出者、光熱・通信契約名義、クレジット決済の加盟店契約(端末・レシートに出る屋号)と売上入金口座の名義が一致していない場合は、強い疑義が生じます。
税務調査でも発覚が多く、POSデータ・レジ締め・仕入伝票・請求書・通帳・入出金と申告内容の整合を横断確認します。名義人の口座に売上が入りつつ、価格決定や仕入判断、採用・勤怠指揮、クレーム対応などの実権を別人が握っていれば、実質経営者が誰かを問われます。さらに、従業員・取引先・近隣からの通報やSNS、匿名窓口も重要な情報源で、複数情報が重なると調査は一気に進みます。
発覚を「隠す」のではなく、「整える」が正解です。名義・契約・入金・現場権限を一貫させ、帳票を日次で整備しておけば、不一致からの疑義を未然に防げます。
行政書士
吉本翼
名義貸しかどうかは形式より“実質”で判断されます。定義は、営業許可を持たない者が他人の名義を使って実際の運営を行う状態。実務では、①誰が意思決定・指揮命令をしているか(仕入・価格・採用・シフト・クレーム対応等)、②売上・利益や損失の帰属、③主要契約(賃貸借・決済・仕入・雇用等)と金銭の流れの一致、④継続性・反復性、といった要素を総合して判断されます。名義人の口座で売上を受けるだけで、実権やリスクを他者が負っている場合は典型的に名義貸しとみなされやすい構図です。
親族名義でも“実態が異なれば”違法と判断され得ます。実態調査では、現場ヒアリングや電話応対の主体、見積・受発注・押印権限、従業員の入社書類の発行者、社会保険・労災の適用事業主など、多面的な資料で実質を見ます。形式上の名義を整えるだけでは足りず、日々のオペレーションと経理処理が名義と一致していることが重要です。
「誰の店か」は名刺や看板でなく、決裁権限とお金の帰属で決まります。許可・契約・入出金・人事労務の線を一本で通すことが、名義貸し認定を避ける最短コースです。
行政書士
吉本翼
2025年6月に施行された風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の改正により、名義貸しに対する罰則は従来よりも大幅に強化されました。改正前は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」が上限でしたが、改正後は「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」となり、個人にとって極めて重いリスクを伴う行為となりました。
さらに、法人が関与した場合の罰金も大幅に引き上げられ、最高で3億円が科されるケースが想定されています。こうした強化は、形式的に名義を借りて飲食店を運営する行為を抑止する狙いが明確です。
また、許可申請時の審査体制も厳格化され、申請者本人や関係者の過去の違反歴が重視されるようになっています。従来であれば「形式的に整えれば通っていた」申請も、改正後は運営実態や関与者の経歴まで確認されるため、他人の名義を利用した営業は事実上困難となりました。
今回の改正により「名義を借りて始めればとりあえず開業できる」という発想は完全に通用しなくなりました。名義と実態を一致させることが、これからの飲食店経営の前提条件です。
行政書士
吉本翼
今回の改正では、名義貸しに関する定義や規制の解釈がより厳密になりました。特に「営業許可の貸し借り」という行為自体が明確に違法とされ、判断基準も具体化しています。
罰則も従来に比べ大幅に強化され、個人だけでなく法人に対しても高額な罰金が科される仕組みが整えられました。法人が関与するケースでは、最大で3億円の罰金という極めて重い制裁が規定されています。
さらに、名義貸しを行った履歴がある場合、新規の許可取得が難しくなるだけでなく、既存の営業許可でも更新時に再審査が行われる可能性があります。そのため、過去の名義貸しが将来の事業継続に影響を及ぼすリスクは非常に高まっています。
行政書士の一言コメント:改正後は「過去の行為」も見逃されません。履歴が残っていれば更新や新規申請に影響するため、これからは常に法令準拠の運営体制を維持することが必須です。
改正後は「過去の行為」も見逃されません。履歴が残っていれば更新や新規申請に影響するため、これからは常に法令準拠の運営体制を維持することが必須です。
行政書士
吉本翼
名義貸しは、一時的に経営をスムーズに進める手段に見えるかもしれませんが、実際には風営法第11条で明確に禁止されている違法行為です。さらに、2025年6月の風営法改正により罰則が大幅に強化され、個人では「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」、法人では「3億円以下の罰金」が科される可能性があります。これまで以上に法的リスクは高まっており、飲食店経営者は早い段階から名義貸しを防ぐ体制を整える必要があります。
第一に、契約内容の明確化です。店舗の賃貸借契約や業務委託契約など、あらゆる書類で名義人と実際の経営者の関係を正しく記載し、実態と一致させることが求められます。契約書に名義貸し禁止条項を盛り込むことも、トラブル防止のために有効です。
次に、定期的な監査を実施することが重要です。契約書と実際の運営体制を突き合わせ、経営状況に不自然な点がないかを確認します。許可申請時にも実態重視の審査が行われるようになっており、名義と運営が乖離していれば許可取得は困難です。
また、従業員教育を通じて、スタッフが名義貸しのリスクや風営法・食品衛生法などの法令を理解しておくことも不可欠です。本人の意図と無関係に違法行為に巻き込まれるリスクを減らし、店舗全体でコンプライアンス意識を共有することが健全経営につながります。
2025年改正で「名義貸しは摘発されにくい」といった従来の考え方は完全に通用しなくなりました。契約・運営・資金の流れを一致させ、書面で証跡を残すことが最重要です。
行政書士
吉本翼
飲食店を運営する際には、業態ごとに必要な営業許可を正確に理解し、適切に申請することが不可欠です。たとえば「深夜酒類提供飲食店営業」や「接待を伴う飲食店営業」などは、風営法の規制対象となり、許可要件が細かく定められています。
営業開始前に必要書類を揃えて申請するのはもちろん、営業開始後も社会情勢や政策変更に応じた法改正に備えることが求められます。2025年の風営法改正はその典型例で、名義貸し規制や罰則強化が経営に直接影響しました。こうした改正に対応するためには、行政書士などの専門家と連携し、常に最新情報をキャッチアップすることが重要です。
また、営業許可取得後も、食品衛生法や消防法など関連法令を遵守し続ける必要があります。違反があれば更新時に許可が取り消されたり、営業停止処分を受けるリスクもあります。経営者が責任を持って法令遵守を徹底することが、長期的に安定した飲食店経営の基盤を築きます。
営業許可は「取れば終わり」ではなく「維持していくこと」が本当の勝負です。法改正を軽視せず、専門家と二人三脚で運営体制を点検していくことを強くおすすめします。
行政書士
吉本翼
飲食店の開業準備において、名義貸しだけをリスクとして認識していると、本質的な問題を見落とす危険があります。実際の運営では、労務管理の不備による労働基準法違反、不動産契約トラブル、食品衛生法違反による営業停止、消防法や建築基準法の不適合など、名義貸し「以外」にも多くの法的リスクが潜んでいます。
そのため、開業前の段階で「リスク総合診断」を実施することが非常に有効です。法務・労務・衛生・不動産・税務といった分野ごとにチェックリスト形式でリスクを洗い出すことで、名義貸しや無許可営業のような問題を未然に防止できます。たとえば、契約書の記載内容が不明確でないか、従業員との雇用契約が労働法に適合しているか、運営責任者の体制が整備されているかを項目ごとに精査すれば、内部管理体制を強固に構築することが可能です。
さらに、内部ガバナンス強化のためには、定期的な自己監査や第三者チェックの導入も効果的です。これにより、営業許可の名義人と実際の運営体制が一致しているかを定期的に確認でき、不正や法令違反を早期に発見できます。
開業準備段階で「名義貸し防止」を含むリスク診断を行うか否かで、将来の安定性は大きく変わります。契約・雇用・衛生・不動産を一体でチェックし、透明な体制を整えてください。
行政書士
吉本翼
名義貸しのリスクは、行政処分にとどまらず金融・保険面にも影響します。銀行の融資審査では、事業計画の透明性や経営責任の所在が厳しく確認されます。名義人と実際の経営者が異なる場合、金融機関は「責任の不明確さ」「事業継続性への不安」を理由に融資を否決することが少なくありません。
保険契約でも同様で、契約者と実際の運営主体が異なると、保険会社は「リスクが高い」と判断し、万一の事故時に保険金が支払われない可能性があります。これは火災保険・賠償責任保険など飲食店経営に不可欠な保険でも同じです。
こうしたリスクを避けるには、契約書や申請書類の名義を一貫させることが第一です。さらに、金融機関や保険会社との面談時には、事業計画や内部管理体制を丁寧に説明し、法令遵守と経営の健全性を示すことが信用維持の鍵となります。
名義の不一致は融資・保険加入に直結して不利になります。許可・契約・申請の名義を一貫させ、資金面の信用を確保してください。
行政書士
吉本翼
名義貸しの法的リスクを理解するには、最新の判例や行政指導の実例を知ることが不可欠です。近年の裁判例では、形式上の許可名義人と実際の経営者が異なっていた飲食店に対し、営業許可が取り消され、名義を貸した側・借りた側双方に罰金刑が科された事例があります。2025年風営法改正で罰則が強化された現在、このような判例の重みは一層増しています。
行政指導の事例では、保健所が名義貸しを疑い、従業員への聞き取りや帳簿・シフト表・仕入れ伝票の突合を行い、実態と名義が異なると判断して営業停止処分を下したケースもあります。こうした具体的な実例は、名義貸しが「単なる形式上の問題」ではなく、「実態重視で判断される違法行為」であることを強く示しています。
判例や行政指導は実務に直結する生きた教材です。単なる知識で終わらせず、自店の体制を照らし合わせて改善点を洗い出してください。
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