
吉本 翼
Wing堂ヶ芝行政書士事務所の代表。飲食店開業の専門家として、様々な分野の専門家と連携しながら、開業時から開業後のヒト・モノ・カネの経営をトータルでサポートしている。
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[居酒屋・バー・飲食店の許認可業務]
飲食店の営業を始めるには、保健所の営業許可を取得する必要があります。その際に重要となる設備のひとつが「シンク(流し台)」です。
この記事では、飲食店営業許可に必要なシンクの種類や役割、選び方、設置のポイント、保健所のチェック項目、さらに営業開始後のメンテナンス方法までを初心者にもわかりやすく解説します。
これから飲食店を開業したい方、営業許可をスムーズに取得したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
飲食店を営業するには、まず所轄の保健所から営業許可を取得しなければなりません。その際に特に重要視される厨房設備のひとつがシンクです。シンクは単なる水回り設備ではなく、食材や器具の衛生管理を支える要となるものであり、適切な数と種類の設置が求められます。営業許可の審査でも必ず確認されるため、開業準備の段階から十分に理解しておくことが大切です。
業務用シンクには大きく分けて洗浄用シンク、調理用シンク、手洗い専用シンクの三つがあります。洗浄用シンクは使用済みの食器や調理器具を洗うために設けられるもので、一般的には洗剤を使う槽とすすぎを行う槽を分ける必要があるため、二槽以上が望ましいとされています。調理用シンクは野菜や魚などの食材を下処理する際に用いられ、洗浄用シンクと兼用することはできません。衛生管理上、食材と使用済み器具を同じ水回りで扱うことは厳しく禁止されているためです。そして手洗い専用シンクは、調理に従事する従業員が手指を清潔に保つために必須の設備であり、調理や器具洗浄に使うことは許されません。さらに、石けんや消毒液、使い捨てのペーパータオルを備えることが推奨されています。
シンクは厨房の作業効率や動線設計にも大きな影響を与えます。調理用シンクが適切に配置されていなければ、食材の下処理から調理工程への流れが滞り、無駄な動きが増えてしまいます。洗浄用シンクが不足していると食器や調理器具の回転が遅れ、衛生面でのリスクも高まります。手洗い専用シンクが不足すれば、従業員が頻繁に手洗いできず、結果的に食中毒などのリスクにつながる可能性があります。営業許可の審査では、シンクの数や用途ごとの専用性、配置の合理性、清掃や消毒が容易に行えるかどうかといった点がチェックされます。これらの基準を満たしていない場合、指摘を受けて改善を求められ、営業開始が遅れることも少なくありません。したがって、開業準備の段階からシンクの選定と設置計画を慎重に進める必要があります。
シンクの設置に関しては、保健所の指導で直前に修正を求められるケースが非常に多く見られます。特に「手洗い専用シンクを設けていなかった」「洗浄用が一槽しかなかった」といった理由で開業直前に慌てて追加工事を行うことになり、結果としてオープンが遅れることもあります。行政書士としての経験から言えば、物件契約前の段階でシンクの設置場所や槽数を確認し、必要であれば施工業者と相談しながら図面を整えておくことが最も重要です。また、所轄の保健所に事前相談を行っておくことで、審査での指摘を大幅に減らし、スムーズな許可取得につなげることができます。
行政書士
吉本翼
シンクはただ設置すればよいというものではありません。営業許可を取得するためには、店舗の業態や調理内容に合わせた適切なサイズや数、そして設置場所が求められます。厨房設備の計画段階でこれらをしっかりと押さえておくことで、許可取得がスムーズになるだけでなく、日々の業務効率や衛生管理のレベルを大きく向上させることにつながります。飲食店にとってシンクは単なる設備ではなく、営業の基盤を支える存在だと意識することが重要です。
シンクのサイズを選ぶ際には、店舗の業態、厨房スペースの広さ、扱う食材や料理の量を総合的に踏まえる必要があります。ランチタイムに一度に多数の料理を提供する店舗であれば、大きめで深さのあるシンクが必須となります。一方で、提供数が限定される専門性の高い業態では、コンパクトなサイズであっても十分な場合があります。
シンクの数についても同様に検討が求められます。一般的には調理用、洗浄用、手洗い用の三種類が最低限必要とされ、多くの保健所ではこれが基本的な基準とされています。さらに、調理工程が複雑で同時に複数の作業を行う場合には、三種類以上のシンクを設置しなければならないケースもあります。
また、衛生管理の観点からもサイズと数の選定は極めて重要です。小さすぎるシンクでは食器や調理器具が入りきらず、十分に洗浄できないまま次の作業に進んでしまうリスクがあります。こうした状態は衛生面での不備につながり、許可取得後の営業にも支障をきたします。したがって、許可申請前には所轄の保健所と相談し、業態に応じて必要なサイズと数をあらかじめ確認しておくことが不可欠です。
シンクを設置する場所は厨房内の動線を考慮して決定することが大切です。冷蔵庫から食材を取り出してすぐに調理用シンクで洗えるように配置することで下処理がスムーズになり、調理後の器具や食器をすぐに洗浄できるように洗浄用シンクを調理場の近くに設けることで、作業効率が高まります。
設置場所を決める際には、給水・排水設備との接続も欠かせません。もし計画段階で配管位置を考慮せずにシンクを設置しようとすると、開業直前になって大規模な工事が必要になったり、レイアウト全体を変更せざるを得ない事態になりかねません。内装設計の初期段階から、シンクの配置を含めた厨房機器全体の計画を立てることが望まれます。
さらに、シンクの設置場所は厨房全体のデザインや使いやすさにも直結します。シンクは飲食店営業の核ともいえる存在であり、設備の一部として軽視せず、厨房の中心に据えた計画を行うことが成功の鍵になります。
営業許可の審査において、シンクの数や大きさ、配置は必ずチェックされる項目です。特に、手洗い専用シンクが不足していたり、洗浄用シンクが一槽しかなかったりするケースでは、保健所から追加工事を求められることが多くあります。その結果、開業が遅れるという事例も少なくありません。物件を契約する前に厨房の図面を確認し、シンクの設置場所や必要数を事前に把握しておくことが、スケジュールを守って開業するための大きなポイントです。行政書士としての経験からも、早い段階で保健所に相談することが最も確実で安心できる方法だと感じています。
行政書士
吉本翼
飲食店を開業するにあたって避けて通れないのが、保健所による検査です。その中でもシンクの設備は営業許可取得において特に重視される要素であり、調理や洗浄を日常的に支える役割に加えて、食品衛生法に基づく基準を満たしているかどうかが確認されます。
チェックの際にまず見られるのは、シンクの数と配置です。調理用、手洗い用、食器洗い用といった用途ごとに独立したシンクを設けることが必須であり、カフェのような軽飲食業態であってもまとめて一つで済ませることは認められません。また、水道設備が正常に機能しているかどうかも確認され、蛇口から安定して水が出るか、止水が確実にできるかといった動作確認が行われます。排水システムの状況も同様に重要であり、排水口の詰まりや汚れがないか、下水の逆流を防ぐ構造になっているかなど、見た目だけでなく構造面まで含めて評価されます。
これらの基準は全国的に共通する部分もありますが、自治体や地域によって細かな条件が異なることがあります。都市部特有の要件が設けられている場合もあるため、必ず開業前に所轄の保健所へ問い合わせを行い、最新の情報を確認することが合格への鍵となります。
保健所の審査を通過した後も、シンクの衛生管理は日々の業務において欠かせません。基本は毎日の営業終了後に必ずシンクを清掃し、食材の残りや油分を残さないことです。清掃に加えて消毒も重要であり、特に手洗い用シンクでは従業員の手指に付着した菌が残りやすいため、定期的に消毒液を用いることで食品への二次汚染を防ぐことができます。調理用や洗浄用のシンクについても同様に、衛生管理の一環として消毒を取り入れることが望ましいです。
さらに、故障や異常が発生した際の対応体制を整えておくことも必要です。水漏れや排水不良は厨房全体の作業に支障を及ぼすため、異常に気付いた時点で迅速に修理できるよう、定期的な点検や業者によるメンテナンスを計画的に実施しておくと安心です。
飲食店は常に衛生水準を問われる業種であり、保健所の審査を通過することはスタート地点にすぎません。その後も衛生的で快適な厨房を維持する努力が、長期的に信頼される店舗経営につながります。
営業許可を申請する際に、シンクの数や配置が不十分で開業直前に改善を求められるケースは非常に多くあります。特に、手洗い専用シンクを設けていなかったり、排水構造が不十分だったりすることは典型的な指摘事例です。行政書士としての経験から言えば、物件契約の前に図面を確認し、保健所へ事前相談を行うことで大きなトラブルを防ぐことができます。小さな準備の差が、開業スケジュールの遅延を防ぐ大きな分かれ道となります。
行政書士
吉本翼
営業許可を取得したからといって、シンクに関する対応を終えてしまうことはできません。営業開始後の管理やメンテナンスこそが衛生管理の核心であり、毎日使用されるシンクの状態は、店舗全体の信用を左右します。
まず基本となるのは、清掃の習慣を徹底することです。シンク内に食材のカスや油汚れが残ったままでは細菌の繁殖を招き、衛生基準を満たすことが難しくなります。清掃は毎営業日の終了時に必ず行い、店舗内にスケジュールとして掲示しておくことでスタッフ全員が意識を持ちやすくなります。
さらに、定期的な点検も欠かせません。水漏れの有無、排水の流れ、蛇口の動作、消毒液の補充状況など、確認すべき項目を明文化して日常的にチェックすることで、見落としを防ぎ、安定した衛生管理につながります。使用する洗剤や清掃方法も、食品に悪影響を与えないものを選ぶことが求められます。こうした取り組みが徹底されていれば、保健所による抜き打ち検査にも慌てることなく対応できる体制を築くことができます。
シンクが故障すると、厨房全体の業務が滞り、営業に大きな支障を及ぼします。そのため、日々の点検で小さな異常を見逃さないことが重要です。水の流れが悪い、蛇口の動きが固い、異音がするなど、些細な兆候でも放置すれば大きなトラブルにつながる危険があります。
万一故障が発生した場合には、自己判断で処置するのではなく、できるだけ早急に専門業者へ連絡することが望ましいです。対応のスピードが復旧の早さに直結するため、あらかじめ業者の連絡先を店舗内に掲示しておくと安心です。修理が完了した際には必ず修理履歴を残し、どの部分を、いつ、どのように対応したかを記録することで、再発時の判断材料やスタッフ間での情報共有にも役立ちます。
飲食店の運営においてトラブルを完全に避けることは困難ですが、事前に「起こるもの」と想定して準備をしておくことが、信頼を守り、長期的に愛される店舗経営を支える重要な姿勢となります。
営業許可を取得した後も、シンクの管理は継続的に行う必要があります。実務の中でよくあるのは、点検や清掃をスタッフ任せにしてしまい、記録が残らないために改善が遅れるケースです。行政書士として現場を見てきた経験から言えば、点検結果や修理履歴を必ず文書化し、担当者を明確にすることが後々のトラブル回避につながります。抜き打ち検査での印象も良くなり、行政からの信頼度を高めることにもつながるでしょう。
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飲食店の営業許可を取得するうえで、シンクの存在は決して軽視できるものではありません。洗浄用、調理用、手洗い用という三種類のシンクはそれぞれが独立した役割を持ち、衛生的で効率的な厨房運営を支える基盤となります。保健所の審査では、シンクの種類や数、配置だけでなく、水道や排水設備の整備状況まで細かく確認されるため、開業前から基準を正確に把握し、計画的に準備を進めることが不可欠です。
営業を開始した後も、日常的な清掃や定期的な点検、そして故障時の迅速な対応といった継続的な管理が求められます。毎日のルーチンとして清掃のスケジュールを明示し、点検内容を体系的に管理することで、常に衛生基準を維持し続けることができます。
飲食店における信頼は衛生管理から始まります。シンクはその第一歩を支える存在であり、適切な準備と管理を行うことが、安心して営業を続けるための最も確実な手段です。
営業許可の申請やその後の運営において、シンクは最も指摘を受けやすい設備の一つです。開業前に必要な基準を確認するだけでなく、営業開始後も清掃や点検を記録に残すことが、抜き打ち検査やトラブル時に大きな安心につながります。行政書士としての経験から言えば、シンクの管理を徹底している店舗ほど、保健所の審査でも高い評価を受け、経営の安定にも直結しています。
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営業許可を取得した後も、シンクは日々の衛生管理の中心を担う設備です。しかし、設置後の点検やメンテナンスは軽視されがちであり、実際には見えにくい部分にこそトラブルの原因が潜んでいます。排水口内部の汚れや詰まり、蛇口周辺のパッキンの劣化、シンク下での漏水などは、日常清掃だけでは気付きにくい典型例です。
こうしたリスクを防ぐためには、専門業者のアドバイスを参考に、月1回程度の点検チェックを取り入れることが有効です。使用頻度に応じた清掃・点検のスケジュールを設けることで、故障や衛生不良を未然に防ぐことができます。結果として設備の寿命を延ばし、長期的なコスト削減にもつながります。
厨房設計において、シンクの配置は作業効率と従業員の動線を大きく左右します。実際には、調理や洗浄の動線が悪く、無駄な移動や手間が発生している店舗も少なくありません。たとえば調理台から洗浄用シンクまでの距離が遠すぎる場合、スタッフの往復が増え、効率が落ちるだけでなく衛生的な管理にも支障をきたします。
このような問題を避けるためには、厨房設計の初期段階で作業の流れを図面化し、それに沿ってシンクを配置することが重要です。作業手順を明確にし、それぞれのシンクが無駄のない位置に設けられていれば、調理と洗浄の両面で効率化と衛生管理の向上を実現できます。
近年は飲食業界でも環境への配慮が求められ、シンクや排水設備もその影響を受けています。特に2025年以降は地方自治体によって水質規制が強化される傾向があり、既存店舗においても設備更新が求められるケースが増えています。
注目されているのが、節水型の蛇口や自動停止機能付きシンク、さらにグリーストラップや簡易浄化槽といった水処理設備です。これらを導入することで、環境基準の遵守だけでなく、水道料金の削減や排水トラブルの軽減といったメリットも得られます。長期的な視点で見ても、規制対応とコスト削減の両立が可能となるため、早めの導入検討が望まれます。
飲食店の設備要件は、開業時に整えるだけで終わりではなく、営業を続ける中で行政の指導や法改正によって変化していくことがあります。特に排水設備や環境規制への対応は後回しにすると多額の改修費用を招くことが多いため、早めに備えておくことが重要です。これまで数多くの申請や相談に関わってきた中でも、保健所や自治体への定期的な確認を行っていた店舗ほど、余計な出費や営業停止リスクを避けられていると感じます。
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