
吉本 翼
Wing堂ヶ芝行政書士事務所の代表。飲食店開業の専門家として、様々な分野の専門家と連携しながら、開業時から開業後のヒト・モノ・カネの経営をトータルでサポートしている。
CONTENTS
[居酒屋・バー・飲食店の許認可業務]
バーを開業したいけど、どんな手続きが必要なのかわからない…そんな初心者の方へ。
この記事では、バー開業に必要な基本的な流れから、取得すべき資格、届け出の内容、準備のステップ、成功のコツまで、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、バー開業に必要な知識が一通りわかります。
目次
バーの開業は、単なる「お酒を出す場所をつくる」ことではありません。明確な事業戦略と法令に基づく手続きを踏まえた計画的な準備が求められます。まず最初に取り組むべきは、店舗のコンセプト設計です。誰に、どんな体験を届けたいのか──そのビジョンが曖昧なままでは、内装やメニュー、立地選びのすべてに一貫性がなくなり、競争の激しい大阪エリアで生き残るのは困難です。
ターゲット層(例:20〜30代のビジネスマン、観光客、地元の常連客)を明確にし、それに合わせた価格帯・ドリンク構成・営業時間帯を具体的に設定しましょう。深夜帯営業を希望する場合には、後述する「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」も関係してくるため、開業前から法的要件との整合性を意識しておく必要があります。
次に重要なのが資金計画です。初期費用としては、内装工事費・厨房設備・什器・人件費・家賃保証金・各種申請費用などが必要になり、物件の広さや立地によっては500万円〜1000万円規模の資金を要することもあります。自己資金だけでは難しい場合、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資、あるいは小規模事業者持続化補助金などの活用も検討することが現実的です。
そして、店舗探しでは「雰囲気」や「賃料」だけで決めてしまうと後悔することもあります。用途地域や建物構造が飲食店営業や深夜営業に適合しているかを必ず確認し、保健所・消防・警察署との調整も視野に入れて選定することが重要です。特に2階以上の物件や、スケルトン物件を選ぶ場合には、内装設計次第で申請通過の可否が変わるため、設計士と行政書士との連携が鍵を握ります。
バーの営業には、複数の法的手続きが不可欠です。なかでも以下の3つはほぼすべてのケースで必須となるため、開業前に早めに準備しておく必要があります。
加えて、法人で運営する場合には「法人設立登記」「税務署・府税事務所・市役所への届出」なども必要となります。仮に個人事業主で開業した場合も、開業届や青色申告承認申請書の提出を行うことで、節税メリットを享受できます。
バー開業は「開業届を出せばできる」ものではなく、保健所・警察署・消防署・税務署と複数の官庁をまたぐ法的手続きの塊です。業態や営業スタイルによって必要書類や要件が異なるため、「自分はどこまで該当するのか」を明確にするためにも、専門家のサポートを受けながら進めるのが最も確実です。書類不備や届出漏れは、思わぬ営業停止リスクに繋がることもあります。
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バーを開業する際には、「食品衛生責任者」と「防火管理者」の資格取得が求められるケースが多くあります。これらは法令に基づき定められているものであり、安心・安全な営業を行う上で欠かせない基本となります。事前に確実に準備を進めることが、トラブルを避けるためにも非常に重要です。
食品を提供するすべての飲食店では、食品衛生責任者の選任が義務付けられています。この資格を持つ者は、店舗の衛生管理全般を担い、食材の取り扱いから清掃管理までを監督する立場になります。食中毒や異物混入といったリスクを未然に防ぐために、日々の衛生状態をチェックする役割を果たします。
資格は、調理師や栄養士などの国家資格がない方でも、自治体主催の講習会を受講すれば取得可能です。講習は通常1日で完結し、基本的な食品衛生の知識や店舗での衛生管理の方法など、実務に即した内容が中心です。講習日程や受講場所、費用は自治体によって異なるため、開業予定地域の保健所で最新情報を確認しておくことが大切です。
開業前の段階で資格を取得しておくことで、保健所の営業許可申請もスムーズに進みます。特に初心者の方は、受講後に配布されるテキストをしっかり復習しておくと、開業後の実務にも自信を持って臨めるようになります。
もう一つ、重要なのが防火管理者の資格です。とくに延床面積が一定以上の店舗や、収容人員が30人を超えるような規模のバーでは、法律により防火管理者の選任が義務付けられています。店舗の防火対策や避難経路の整備、従業員への防火教育を行う責任者として、店舗全体の安全を守る存在です。
防火管理者資格を得るには、所轄の消防署が実施する講習を受講する必要があります。講習は、火災の基礎知識から消火器・避難設備の扱い、緊急時の対応まで幅広い内容が扱われ、実務で役立つ知識をしっかり学ぶことができます。
講習には「甲種」と「乙種」の区分があり、店舗の規模や設備によって受講すべき区分が異なります。どちらが必要かは開業予定の物件や業態によって変わるため、あらかじめ消防署に相談しておくことをおすすめします。
資格を取得した後も、日常的に防火点検を行ったり、スタッフに火災時の対応を共有したりといった運用が求められます。店舗とお客様の命を守るという強い意識を持つことが、バー経営者としての責任の第一歩と言えるでしょう。
これら2つの資格は、いずれも「講習を受ければ取得できる」ものですが、その後の役割は店舗運営において非常に大きな責任を伴います。だからこそ、形式的に取得するのではなく、店を守るための基礎体力として真剣に学ぶ姿勢が、長く愛されるバーづくりに直結します。
「深夜営業のバー」や「地下1階」「2階以上のテナント」などでは、防火規定が厳格になる傾向があります。図面や避難経路の設計が不備だと、消防署から改善命令が出ることも。店舗選びの段階から防火要件も意識し、建築士や行政書士と連携して備えることが重要です。
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バーを開業する際には、資格の取得だけでなく、所轄の行政機関へ複数の届出を提出する必要があります。どれかひとつでも漏れてしまうと、営業開始が遅れるばかりか、無許可営業と判断されるリスクもあります。ここでは、実際の現場で多くの方が直面する主要な3つの届出について、法改正への対応も含めて詳しく解説します。
まず最初に行うべきは、税務署への「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」の提出です。この届出は、個人で事業を開始するすべての人が対象で、開業日から1ヶ月以内に提出することが法令で義務づけられています。なお、2024年以降はマイナンバーカードを利用した電子申請制度が整備され、e-Taxによる手続きが一層進めやすくなっています。
開業届には、事業者の氏名、事業の開始日、事業所の所在地、業種、屋号などを記載します。青色申告を希望する場合は、同時に「青色申告承認申請書」の提出が必要で、こちらは開業から2ヶ月以内が提出期限です。青色申告を行うことで、最大65万円の特別控除など税務上のメリットが得られるため、事前に帳簿の整備を想定して進めるのが望ましいでしょう。
税務署への開業届は「出すだけでOK」と思われがちですが、その後の帳簿作成や申告形式に直結する大事な手続きです。青色申告の制度活用まで見据えて、しっかり準備しておきましょう。
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飲食を提供する店舗として、最も基本となるのが「飲食店営業許可」の取得です。この許可は店舗所在地を管轄する保健所に申請します。2021年6月施行の改正食品衛生法では、営業許可制度の見直しが行われており、バーなどの飲食店に関しては、原則として「飲食店営業」の許可が必要とされます。
申請にあたっては、営業許可申請書、施設の図面、食品衛生責任者の資格証、身分証明書、店舗設備の写真などが求められます。施設の衛生基準も厳格で、厨房と客席の明確な区分、手洗い設備の数、換気や排水の設計などがチェック対象です。特に、カウンター形式のバーでは調理設備が最小限であることも多いため、事前に保健所に相談しておくことが望ましいです。
また、HACCPに沿った衛生管理も2021年以降すべての飲食店に義務付けられています。規模の小さな飲食店については「簡略版HACCP」の運用が可能ですが、記録の保存や管理体制の整備が必要です。
許可取得後は、「飲食店営業許可証」を店内の見やすい場所に掲示する義務があります。更新のタイミングや変更届出(営業時間・店舗構造変更など)も忘れないよう注意しましょう。
保健所とのやりとりは、予想以上に細かい部分まで突っ込まれます。厨房と客席の区切りや、シンクの数など、物件契約前から設計図をもとにチェックを受けるとスムーズです。
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深夜0時以降にお酒を提供するバーに必要なのが、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」です。これは風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に基づく届出で、営業開始の10日前までに所轄の警察署(生活安全課)に提出することが求められます。
提出書類としては、営業の概要書、店舗平面図、求積図、音響設備の位置図、照明計画、誓約書、住民票、履歴書などが必要です。さらに、出入口の構造や店舗の形状、音楽の有無、照度、看板の掲示方法まで細かく問われます。とくに、店舗が風営法上の営業禁止区域(学校や病院の近隣など)に該当しないかどうかの確認も必須です。
近年では、無許可営業に対する指導・摘発が全国的に強化されており、SNSやGoogleマップの情報からも行政がチェックを行うケースが増えています。そのため、「夜だけの営業だし大丈夫だろう」と自己判断せず、必ず所轄署に相談したうえで、必要な届出を済ませてから開業することが重要です。
なお、カラオケ設備を設置する場合は別途「風俗営業1号許可」が必要になる可能性があるため、業態の範囲と届出の整合性にも注意しましょう。
「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」は“許可”ではなく“届出”ですが、提出後に警察署から実地確認が入るケースもあります。照明の明るさや遮音性など、細かな点で指摘されることがあるため、専門家に事前相談しておくのがおすすめです。
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バーを開業するには、資格や届出の準備だけでなく、実際に店舗を運営していくための事業設計・物件・資金など、多角的な視点からの準備が欠かせません。これらを疎かにしてしまうと、開業後の経営トラブルや集客不振に直結してしまう可能性があります。ここでは、開業に向けて取り組むべき3つの重要な準備ステップを詳しく解説します。
まず取り組むべきは、事業計画書の作成です。これは、漠然とした夢を「実現可能な事業」として言語化・数値化する工程であり、自己整理にも融資審査にも欠かせない要素です。金融機関や公的支援制度を利用する場合、必ず提出を求められます。
事業計画書には、まず市場調査の結果や競合分析を記載します。たとえば、開業予定エリアにおける夜間の人通り、他店の業態(バー、スナック、居酒屋など)、価格帯、客層などを実地で確認し、自店のポジションを明確に定めます。そのうえで、想定ターゲット(例:30代独身男性、カップル、ビジネスマンなど)に響くコンセプトを立てることが成功の鍵となります。
次に、収支計画を具体的に立てます。初期投資(内装工事・設備購入・物件取得費など)と、ランニングコスト(月の家賃・人件費・仕入れ・光熱費など)を整理し、月ごとの損益分岐点を数値で示す必要があります。最近では、金融機関や商工会議所が提供する事業計画フォーマットやテンプレートを活用する事例も増えています。
また、事業の理念や中長期的なビジョンも記載すると、金融機関だけでなく支援者や従業員への説得力も増します。
事業計画書は、書けば融資が通るというものではありません。「誰に、何を、どう売るか」が論理的かつ現実的に記載されているかが問われます。第三者にチェックしてもらうことで、より精度が高まります。
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物件選びは、バー開業の成否を左右する重要な判断です。なぜなら、立地が悪ければどれだけ内装が素晴らしくても集客につながらず、逆に立地が良ければ初期投資が高くても回収できる可能性があるからです。
まずは、開業予定地域の人口動態、夜間の人通り、周辺店舗の雰囲気を実地でリサーチしましょう。駅からの距離、治安、道路からの視認性、ビルの築年数や他テナントの業種など、あらゆる要素が集客に影響します。
また、物件契約前には「用途地域の制限」や「風俗営業等の規制区域」に該当しないかも確認が必要です。深夜営業やカラオケ設置を予定している場合は、風営法の届出や許可が下りない可能性もあるため、事前に警察署や行政書士に確認しておきましょう。
物件の種類としては、大きく分けてスケルトン物件(内装ゼロ)と居抜き物件(前テナントの設備付き)があります。スケルトンは自由に設計できる一方、費用と時間がかかります。居抜きは初期費用を抑えられますが、排水や電気容量、換気性能などの確認は欠かせません。
内装工事では、「誰にとっての居心地が良い空間か」を基準に設計することが大切です。カウンターの高さや素材、照明の色温度、音響設計、スタッフ導線など、細部への配慮がリピーターの定着につながります。
物件は「内装だけ」見て判断すると危険です。法規制、設備基準、営業区域制限など、法律面の確認を同時に行うことで、後からのトラブルを防げます。
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どれだけ魅力的なコンセプトや理想的な物件が見つかっても、資金が不足していてはバー開業は実現できません。資金調達の計画は、開業準備において最も重要な要素の一つです。特に飲食業は初期費用が高額になりやすいため、現実的な予算と調達手段の設計が求められます。
まずは自己資金の洗い出しを行い、総予算に対してどれだけ不足しているかを明確にします。その上で、必要資金をどの手段で調達するのか、使途は何かを細かく計画に落とし込んでいきます。
最もオーソドックスな資金調達方法が、日本政策金融公庫や信用金庫、地方銀行といった金融機関からの融資です。中でも、日本政策金融公庫が実施している「新創業融資制度」は、担保・保証人なしでも借入可能な制度として人気が高く、バーを含む個人経営の飲食店においても広く活用されています。
同制度では、創業計画書の内容と自己資金比率が重要視されるため、開業動機・見込売上・競合との差別化・店舗の立地条件などを緻密に記載することが審査通過のカギとなります。また、飲食業界での経験や開業支援者の有無も評価ポイントとなります。
近年では、創業支援に積極的な自治体によっては、信用保証協会を通じた「制度融資」や、地域独自の「創業支援特別利率」なども設けられており、利息負担を軽減できる制度も活用が進んでいます。
開業資金を補う手段として、国や自治体の補助金・助成金制度も見逃せません。代表的な制度には「小規模事業者持続化補助金」があり、店舗改装費、広告宣伝費、設備導入費などに対して最大50万円〜200万円の補助が受けられます(条件により補助率や上限額が変動)。申請には事前の事業計画書作成が必要で、年度ごとに公募スケジュールが設定されています。
さらに、社労士としての視点からは、開業後に使える「雇用関係助成金」も非常に重要です。たとえば以下のような制度があります。
これらは開業後の人材確保とセットで活用できるものであり、戦略的に申請することで、採用にかかる初期コストを大幅に軽減できます。
ただし、多くの補助金・助成金は「事前申請が必須」かつ「申請書類の正確性・整合性」が重要です。要件や締切を逃すと受給できないため、開業前から専門家に相談することでリスクを回避できます。
近年注目を集めている資金調達法として、クラウドファンディングの活用も効果的です。特にバーのような「個性ある店舗」は、開業前から共感を集めやすく、開業資金とともに“ファン”を同時に獲得できるという点で大きなメリットがあります。
クラウドファンディングでは、目標金額、リターン設計、プロジェクトページの魅せ方が成功のカギです。店の雰囲気や内装デザイン、使用するお酒へのこだわりなど、「バー開業にかける想い」を丁寧に発信することが重要です。プラットフォームとしては、CAMPFIRE、Makuake、READYFORなどが代表的です。
ただし、クラウドファンディングも実績ゼロの状態で支援を集めることは容易ではないため、開業前からSNSやイベントでの情報発信を始め、地道な認知活動が必要です。
融資でも補助金でも、共通して問われるのが「その資金を何に使うのか」という使途の明確性です。内装・厨房機器・備品・家賃・人件費・広告費など、予算の内訳を明示し、それを裏付ける見積書や設計図も用意する必要があります。
これらを一体化した「事業計画書」は、資金調達成功のための最重要ツールであり、以下のような視点で構成することが求められます。
しっかりとした計画書を用意しておくことで、金融機関や支援機関からの信頼も高まり、支援を受けやすくなります。
資金調達には制度選びだけでなく「書類の中身」が非常に重要です。特に補助金や助成金は、事前に適切な準備をしないと「出せたはずの申請が出せない」という事態になりかねません。当事務所では、融資・補助金・助成金それぞれの選定から申請書作成、計画書作成まで一括でサポートしています。飲食業特化だからこそ、現場に強い提案が可能です。
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バーを開業した後、安定した経営を維持するには、「お酒を出せば自然に繁盛する」という幻想を捨て、緻密な運営戦略と柔軟な対応力が求められます。特に、顧客の体験価値を高めるための工夫や、マーケティング施策、そして接客スキルの質が、長期的な経営の安定と成長に直結します。
ここでは、バー経営を軌道に乗せ、継続的に成功させるための3つの重要な視点を詳しく解説します。
立地は、バー経営において最も影響力のある要素の一つです。いくら内装が凝っていても、ターゲット層の流動が少ない場所では集客に苦戦します。逆に、人通りが多く、ニーズと合致していれば、自然と顧客が集まる環境が生まれます。
まず意識すべきは、自店のターゲット層を明確化することです。会社帰りのサラリーマンをターゲットにした大人向けの静かなバーなのか、若年層や観光客向けのカジュアルなスタンディングバーなのかによって、選ぶべき立地が大きく変わります。たとえば、オフィス街では落ち着いた雰囲気が好まれ、繁華街では賑やかさや話題性が求められます。
次に重要なのが、競合店の有無とその分析です。同業態のバーが集まっている地域は、集客ポテンシャルが高い反面、差別化が課題になります。価格、提供するお酒の種類、接客の質、雰囲気など、何を強みにするかを事前に明確にしておきましょう。
さらに、交通アクセスの良さも成功には欠かせません。駅からの距離、タクシーが拾いやすい場所かどうか、周囲の通行量、近隣にホテルがあるかなど、細かな点までリサーチすることが重要です。現地に足を運び、昼と夜の人通りの差をチェックすることも有効です。
風営法や建築基準法の観点からも、立地には注意が必要です。開業後に「ここでは営業できない」と発覚するケースもあるため、早い段階で用途地域や規制区域の調査を行いましょう。
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吉本翼
優れた店舗をつくっても、知られなければ意味がありません。集客において重要なのは、「情報の届け方」と「顧客との接点を増やす仕組み作り」です。特に開業直後は「どれだけ初回の来店を促せるか」がカギとなります。
まず取り組みたいのが、SNSを活用した情報発信です。Instagramで魅力的なカクテルや店内の雰囲気を写真や動画で紹介したり、Xで日替わりメニューやイベントの告知を行ったりすることで、視覚的な訴求ができます。最近ではTikTokを活用して「バズるバー」として話題になる事例も増えています。
投稿の際は、「検索されやすい店舗名」や「地域名+バー+特徴的なキーワード(例:梅田 バー カラオケ)」を盛り込んだ発信を意識することがSEO対策にもつながります。投稿の頻度よりも、「継続性」と「ブランディングの一貫性」が重視される傾向にあります。
次に、イベントやキャンペーンの実施も集客施策として効果的です。開業記念の割引や、ハロウィン・クリスマスなど季節に合わせた特別イベント、アーティストとのコラボなど、来店のきっかけとなる“理由”を与えることがポイントです。イベント時にSNSでリアルタイム発信することで、認知拡大の相乗効果も狙えます。
さらに、地域コミュニティとの連携も見逃せません。商店街のスタンプラリーや、地域イベントでの出店、地元企業とのコラボなどを通じて、「地域の人に応援される店」を目指すことが、長期的な経営安定につながります。
バーの開業は、認知拡大とリピーター育成の両輪が不可欠です。SNS発信は無料で始められる最大の武器なので、開業前からアカウント運用を始めておくとスタートダッシュがしやすくなります。
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バーという業態の本質は、単なる飲食提供ではありません。顧客との会話や空間体験そのものが商品であり、「人とのつながり」を提供する場であることが最大の特徴です。
そのため、接客の質がリピーターの数に直結します。常連客が自然と増えていくバーは、スタッフの気配りや距離感、言葉選びなどが非常に丁寧です。一人で来たお客様にも居心地の良さを感じてもらえるよう、一人飲み対応の工夫(例えばカウンター席での話しかけ方など)も有効です。
また、お客様の名前や好きなメニューを覚えるといったパーソナルな対応もリピート率を上げるポイントです。心理的な距離が縮まることで、「自分の行きつけ」「また行きたい」と感じてもらいやすくなります。
顧客の声にも真摯に耳を傾けましょう。苦情や要望は改善のチャンスですし、「あなたの意見を反映しました」と伝えることで、顧客は特別感を抱きます。
オフラインだけでなく、電話対応やSNSのDMなど、オンラインでのコミュニケーションも同様に重要です。予約や問い合わせの際に丁寧な応対をすることで、店の印象は格段に向上します。
バーは「店主の人柄で勝負する業態」です。接客の型に正解はありませんが、目の前の一人にどれだけ真摯に向き合えるかが、店舗の“空気感”をつくります。オーナーの人間力こそ、最大の武器です。
行政書士
吉本翼
バーの開業を検討する際、多くの方が感じるのが「資金はいくら必要なのか」「準備にはどれくらいの時間がかかるのか」といった、ごく現実的な不安です。夢や理想だけでは進められないからこそ、計画初期段階でこれらの疑問をしっかりと解消しておくことが、失敗しないための第一歩です。
ここでは、特に相談が多い2つの代表的な質問について、実務ベースで解説します。
バーを開業するための初期費用は、その業態(カウンターバー/ショットバー/ラウンジなど)やコンセプト、立地条件によって幅がありますが、一般的には200万〜500万円がひとつの目安です。ただし、これは“最低限の基準”であり、こだわった内装や高級志向の業態では1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
費用の主な内訳は以下のとおりです。
これらに加えて、開業後の3〜6ヶ月分の運転資金も確保しておくのが理想的です。たとえオープン初月から黒字になっても、仕入れや支払いは先行するため、キャッシュフローに余裕を持たせることが不可欠です。
資金調達の手段としては、自己資金をベースに、日本政策金融公庫や地元金融機関からの創業融資、自治体の開業支援制度や補助金、さらには知人・家族からの借り入れなども検討の余地があります。ただし、補助金は採択まで時間がかかるうえ、後払いが基本であることに注意が必要です。
事業計画書や資金計画書をしっかり作成することで、融資の可否や金利条件も有利になります。曖昧な見積もりではなく、できる限りリアルな数値をもとに、余裕を持った資金シミュレーションを行いましょう。
資金調達時の事業計画書の精度は、融資成功率に直結します。当事務所では、飲食業に特化した計画書作成も多数サポートしていますので、不安な方は専門家に早めに相談しましょう。
行政書士
吉本翼
「思い立ったらすぐ開業できる」というイメージを持つ方も少なくありませんが、バー開業には多くのステップと時間が必要です。特に近年は、建築基準法や消防法、風営法の規制強化もあり、事前調査や行政手続きに想定以上の期間がかかることがあります。
まず、開業準備段階(0〜1ヶ月)では、コンセプト決定、立地調査、物件選定、事業計画の立案などを行います。この段階でしっかり方向性を固めることで、以降の手続きや内装設計にも無駄がなくなります。
次に、物件契約〜内装工事(1〜2ヶ月)の期間が必要です。賃貸契約後、内装業者による設計・施工が始まります。工事内容によっては保健所の事前相談や消防署への届出が必要になるため、並行して行政とのやり取りを進める必要があります。
続いて、各種許認可申請(2〜4週間)です。飲食店営業許可は保健所で行いますが、深夜0時以降の営業を希望する場合は、別途「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が警察署への提出となります。これに関しては、図面の正確な作成や用途地域の確認が求められるため、個人での手続きには限界があるケースもあります。
すべての工程をスムーズにこなせた場合でも、最短で2〜3ヶ月、余裕を見て4〜6ヶ月の準備期間は必要と考えた方が安全です。
また、プレオープン(仮営業)期間を設けることで、設備やオペレーションの不具合をチェックし、本格オープンに向けて調整を図ることもできます。
バー開業は許可手続きの「順序と時期」が極めて重要です。図面が先か、内装が先かで手戻りが発生することも多いため、開業スケジュールは専門家の助言を受けながら逆算するのがベストです。
行政書士
吉本翼
バーの開業は、単に「お酒を提供する場所を用意する」だけでは成功しません。コンセプトの明確化、立地戦略、資格取得、行政手続き、資金計画、マーケティング、そして経営力――これらすべてが複合的に絡み合い、はじめて“続けられる店舗”が誕生します。
本記事では、「バーを開業するにはどうすればよいのか?」という初心者の方向けに、開業前から開業後に至るまでの流れを、以下の視点から丁寧に解説してきました。
中でも特に重要なのが、行政手続きと法令対応の正確性です。たとえば、深夜営業を予定しているにも関わらず「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」を怠った場合、知らずに違法営業となってしまうこともあります。これは本人の意図に関係なく行政指導の対象となるため、知識不足や勘違いによるトラブルを避けるためにも、専門家のサポートを活用することが安全です。
また、開業してからが本当のスタートラインです。たとえ素敵な空間をつくっても、集客がうまくいかない、リピーターが増えない、経営が不安定といった壁にぶつかることもあります。そんなときに頼れるのは、「事前にどこまで想定して準備していたか」「日々、改善し続ける姿勢があるか」という2点に尽きます。
だからこそ、開業準備の段階から綿密に計画を立て、必要な許認可や資格、資金をしっかりと揃えたうえで、「どんな人に来てほしいのか」「どうやってお店の存在を知ってもらうか」「どうやってまた来てもらうか」といった視点まで持っておくことが、成功への近道となります。
バー開業は、書類さえ揃えば済む簡単な手続きではありません。地域ごとの規制や警察署との調整、内装設計との整合性など、実際にはケースバイケースの判断が求められます。当事務所では、飲食業や深夜営業に特化した実務経験に基づき、ゼロから開業までをトータルでサポート可能です。ぜひ一歩踏み出す前にご相談ください。
行政書士
吉本翼
バーの開業準備はもちろん大切ですが、実は「開業した後」にも、継続的な手続きや法令対応、日々の点検業務などが求められます。ここでは、見落とされがちな開業後の実務について、実際の運営現場に即したポイントを解説します。
飲食店営業許可には、地域によって有効期限が設けられている場合があります。大阪市などでは営業許可証は基本的に無期限ですが、施設の大幅な改装や営業形態の変更があった場合には再度の許可取得や変更届出が必要になるため、注意が必要です。
また、食品衛生責任者についても、店舗運営に大きな変更が生じた場合は「再選任」が求められるケースがあります。保健所からの定期的な立入検査が入ることもあり、その際に衛生管理基準が守られていないと是正指導や営業停止命令の対象となる可能性もあるため、日々の清掃・記録管理を怠らないことが重要です。
さらに、消防法に基づき防火管理者の選任報告や消防設備点検報告の義務も続きます。とくに収容人数が30人を超えるバーでは、6ヶ月ごとの防火対象物点検報告や、年1回の消防設備点検が必要です。これらを怠ると、行政指導や罰則の対象になるため、開業後のスケジュールにあらかじめ組み込んでおくと安心です。
税務面でも、青色申告や消費税の申告など、毎年の申告業務を適切に行う必要があります。これらをスムーズに行うためには、帳簿の記帳・会計ソフトの導入・レシート管理などの体制を整えることが求められます。
多くの方が「許可を取れば終わり」と思いがちですが、実は運営後の更新・報告・点検こそがトラブルの元になりやすいポイントです。当事務所では、開業後のサポートにも対応しております。特に消防・保健所との調整を伴う変更届は、専門家にお任せいただくことでスムーズになります。
行政書士
吉本翼
昨今はデジタル化が進み、多くの行政手続きがオンライン対応となっています。特に以下のような手続きは、電子申請により時間と労力を大幅に削減できます。
ただし、電子申請には注意点もあります。たとえば、e-Taxではマイナンバーカードによる電子署名が必要となり、事前にICカードリーダーや専用アプリの準備が求められます。また、保健所や警察署の深夜営業届出など、完全オンライン非対応の手続きも一部残っているため、すべてをデジタルで完結させられるとは限りません。
そのため、オンライン申請を行う際は、まず自治体の公式ホームページで手続きフローを確認し、自分のバー開業に必要な手続きが「オンライン対応可能か」「事前予約が必要か」などを把握することが大切です。
デジタル化が進む一方で、システム不具合や入力ミスによる不受理も増えています。紙提出が必要な手続きとの並行対応や、署名方法の確認など、プロの視点から一度整理しておくと安心です。
行政書士
吉本翼
バー開業時に起きやすいトラブルのひとつが、「届出ミス」や「不備によるやり直し」です。以下のような実例は、行政側の現場でも頻繁に発生しています。
こうしたリスクを避けるためには、以下のようなチェック体制を整えることが重要です。
また、開業前に「図面作成」「防火区画確認」「設備仕様確認」などをプロに依頼することにより、再申請リスクや開業延期リスクを大幅に減らすことができます。
図面や設備仕様などは、見た目以上に行政判断に影響を与えるポイントです。当事務所では、開業前の申請書チェックから、現地図面作成まで一括対応しております。少しでも不安がある方は、ぜひご相談ください。
行政書士
吉本翼
最後に――
バーの開業は、人生の中でも大きなチャレンジかもしれません。しかし、自分の理想とする空間を形にし、お客様との時間を重ねていく中で、かけがえのないやりがいや喜びを感じることができる仕事でもあります。
成功するバー経営のカギは、「入念な準備」と「継続的な改善」です。
焦らず、一歩ずつ。この記事を何度でも読み返しながら、ぜひあなただけのバーづくりに向けて動き出してみてください。
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