CONTENTS

お役立ち記事

[居酒屋・バー・飲食店の許認可業務]

深夜営業許可に必要な書類とは?初心者でも分かる取得手続きと注意点

  • 投稿:2025年07月18日
  • 更新:2025年09月05日
深夜営業許可に必要な書類とは?初心者でも分かる取得手続きと注意点

深夜営業許可には、風営法に基づく「深夜営業の届出」が必要です。本記事では、制度の基礎知識から必要書類の内容、具体的な申請の流れ、よくあるミスや注意点までを、初めて手続きを行う方にもわかりやすく丁寧に解説。届出を確実に通したい方や、営業開始をスムーズに進めたい店舗オーナーの方にとって必見の内容です。

深夜営業許可の基本知識

深夜営業許可とは?

深夜営業許可とは、正式には「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」と呼びますが、飲食店が深夜0時以降に酒類を提供して営業する際に必要となる手続きです。この届出を行わずに深夜営業を行うと、風営法違反となり行政処分や罰則の対象になります。ここでは、深夜営業許可に関連する主要な法律や規制、注意点をわかりやすく解説します。

深夜営業とは、法律上、午前0時から午前6時までの時間帯において営業を行うことを指します。特にこの時間帯に、酒類を提供して客に店内で飲食をさせる営業を行う場合は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に基づき、「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出が必要となります。たとえば、居酒屋やバー、カラオケ店など、接待を伴わずに酒類を提供する業態が該当します。

飲食店がこのような深夜営業を行うには、営業形態や提供サービスの内容によって届出の要否や提出先(警察署・保健所等)が異なるため、事前に関係行政機関への確認が必要です。

なお、「深夜営業」という言葉は一般的にも使われていますが、法律上の定義とは異なることもあるため、実際の営業時間や業態が規制対象に該当するかを正確に把握することが重要です。

飲食店営業許可との関係

深夜営業を行うためには、風営法だけでなく、食品衛生法に基づく「飲食店営業許可」も必須です。この許可は、厨房設備・清掃体制・衛生環境が基準を満たしているかどうかを保健所が確認します。

つまり、「飲食店営業許可」なしに深夜営業許可だけ取得しても営業開始はできません。順番としては、まず保健所の飲食店営業許可を取得し、その後に深夜営業許可の届出を進める形が理想です。

深夜営業が必要な理由

近年では、ライフスタイルの多様化により、夜間に外食や娯楽を楽しむ人々が増えています。例えば、仕事帰りに食事をとるビジネスマンや、深夜に遊ぶ若者など、夜間のサービス需要は年々高まっています。こうした顧客ニーズの変化に対応するため、深夜営業は多くの店舗にとって重要な選択肢となっています。

また、他店との差別化を図るうえでも、深夜営業は有効な手段です。限られた時間帯に営業しているライバル店と異なり、より長い時間サービスを提供できることで、固定客の獲得や顧客満足度の向上につながります。さらに、深夜時間帯は競合が少ないことも多く、新たな収益源として注目される理由のひとつです。開業を考えている方や、既に営業中の店舗にとっても、専門家のサポートを受けながら計画的に深夜営業を導入することは、大きなビジネスチャンスとなるでしょう。

深夜営業の届出は「知らなかった」では済まされません。まずは制度の概要を正しく理解することが第一歩です。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

深夜営業許可に必要な書類一覧

基本的な必要書類

まず必要になるのが、警察署で配布される「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」です。これには店舗の名称、所在地、営業時間、営業の目的や業態などを詳細に記載します。提出者が個人の場合は住民票、法人の場合は法人登記事項証明書や代表者・役員全員の情報が求められます。物件が賃貸であれば、賃貸借契約書や貸主からの使用承諾書が必要です。さらに、厨房・客席・トイレなどの配置を正確に示した平面図や、店舗周辺の略図も添付資料として提出します。これらの図面は縮尺や記載形式が警察署ごとに細かく指定されているため、事前に確認することが重要です。

追加書類の詳細

基本書類に加えて、営業内容を明確に伝えるための「営業概要書」や「営業計画書」を求められることがあります。これは、営業時間、提供サービス、想定する客層、スタッフの配置などを記載するもので、風営法の対象に該当するかを判断する基準資料となります。また、防犯対策の一環として、防犯カメラの設置状況や警備員の配置方針を説明した資料を添付することで、警察側に対する安全性のアピールにもなります。さらに、地域によっては「近隣住民への説明書」の提出を推奨または義務化している場合があり、騒音やマナーに配慮した営業方針を明示することで、住民トラブルの予防にもつながります。

提出書類の不備は再提出の原因になります。図面や添付書類のチェックは、実務経験のある専門家に任せるのが安心です。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

深夜営業許可の書類提出の流れ

提出前の準備

深夜営業の届出は、営業開始日の10日前までに提出する必要があります。これに間に合わない場合、無届営業となり、風営法違反として行政指導や営業停止などの処分を受ける可能性があります。一方で、飲食店営業許可は保健所による現地調査と許可証の交付が必要なため、申請から取得まで通常1週間以上かかります。したがって、両者のスケジュールを逆算し、物件契約・内装工事・設備導入・図面作成・各種証明書の取得などを早めに進めておくことが、スムーズな開業につながります。

申請手続きのステップ

営業物件の確保と適法性の確認

最初に行うべきは、営業予定の物件を確保することです。ただし、どの物件でも深夜営業ができるわけではありません。物件が「飲食店営業許可」(食品衛生法)および「深夜営業許可」(風営法)の両方を満たす条件にあるかを確認することが極めて重要です。具体的には、都市計画法や建築基準法に基づく用途地域の制限によって、そもそも飲食店営業や深夜営業ができない地域も存在します。また、ビルの管理規約で深夜営業を禁止している場合もあるため、使用承諾書の取得や制限内容の事前確認を怠らないようにする必要があります。これらを見落とすと、あとで営業そのものが不可能になるリスクがあります。

図面の作成と設備設計の確定

次に必要となるのが、店舗の平面図と設備構成の決定です。厨房や手洗い場、トイレ、出入口といった構造について、保健所が定める基準に沿って内装設計を進めていくことが求められます。この図面は、飲食店営業許可申請および深夜営業許可届出の双方に添付する必要があるため、設計段階から制度に適合した内容であるかを意識して作成する必要があります。縮尺の明確さや構造の正確性が求められ、要件を満たしていない場合は書類が受理されないこともあるため、可能であれば制度に詳しい行政書士などの専門家のチェックを受けると安心です。

飲食店営業許可の取得(保健所)

図面や設備の準備が整った段階で、保健所に対して飲食店営業許可の申請を行います。この申請には、店舗の平面図、厨房や水回りの詳細、営業者の本人確認書類などが必要になります。書類提出後には、保健所の職員による現地調査(立入検査)が行われ、厨房設備や衛生環境が食品衛生法に基づく基準を満たしていれば、通常は数日から1週間程度で営業許可証が交付されます。これはあくまで「飲食店としての営業」の許可であり、深夜営業を行うためにはこの許可の取得を前提に、さらに警察署への届出が必要となります。

深夜営業許可の届出(警察署)

飲食店営業許可が取得できたら、次は「深夜営業許可」(正式名称:深夜酒類提供飲食店営業開始届出)を所轄の警察署に対して行います。これは風営法に基づく届出であり、営業開始の10日前までに提出することが法律上の義務です。提出にあたっては、届出書本体のほか、営業者の住民票や法人登記事項証明書、賃貸借契約書、作成済みの平面図、営業概要書、防犯対策を説明した書類などを一式としてまとめて提出する必要があります。届出書の記載内容に不備がある場合や、図面に誤りがある場合は受理されず、再提出が必要となります。営業開始のタイミングがずれないよう、早めの準備と慎重な書類確認が求められます。

開業準備と安全対策の整備

警察署で届出が受理されたら、ようやく店舗の開業準備に進むことができます。厨房機器や什器などの備品を搬入し、接客スタッフの採用や研修を行い、業務マニュアルを整備していきます。特に深夜営業においては、安全性の確保が重要視されるため、防犯カメラの設置や非常時の対応マニュアルの作成、避難経路の確保などにも配慮が必要です。また、開業当日には、保健所から交付された飲食店営業許可証と、警察署への届出を受理された控えを、必ず店内に備え付けておくようにします。

営業開始と法令遵守の継続

すべての準備が完了すれば、正式に深夜営業を開始することが可能になります。しかし、開業後も引き続き風営法や食品衛生法をはじめとする関係法令を遵守することが求められます。とくに接待行為が認められるような営業形態である場合には、風営法上の「1号営業」として風俗営業許可を取得しなければなりません。仮に届出済みの業態と実態が異なっていた場合は、違法営業とみなされるおそれがあります。音量の管理、防犯体制、スタッフの接客内容、近隣住民への配慮など、営業を継続していくうえで法令と地域との調和を意識した運営を徹底することが、店舗の信頼性と安定した経営につながります。

開業スケジュールに影響を与える重要な工程です。飲食店営業許可と深夜営業届出を並行して進める計画性が求められます。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

深夜営業における注意事項

建築・用途規制に注意

深夜営業を行うにあたっては、「都市計画法」や「建築基準法」に基づく用途地域の規制、そしてビルの管理規約など、物理的・法的な制限を十分に確認しておく必要があります。たとえば、第一種住居地域など一部の用途地域では、営業内容や営業時間に制限がかかることがあり、深夜帯の営業そのものが認められないこともあります。また、入居予定のビルにおいて管理規約で「深夜営業を禁止する」旨が定められている場合には、警察署への届出を行っても受理されない、もしくは受理後にビル側とのトラブルに発展する可能性があります。深夜営業許可を確実に通すには、物件契約前の段階で、都市計画法上の用途制限と管理規約の両方を確認し、計画に支障がないかを把握しておくことが非常に重要です。

騒音・防音対策の条例

店舗の立地が住宅街や集合住宅に隣接している場合、深夜時間帯の騒音が「環境基本法」や各自治体の「公害防止条例」などに基づき、問題視されることがあります。たとえば、スピーカーの音量制限、防音材の使用義務、出入口の遮音設計などが条例により定められており、これらを満たさない場合には行政から改善命令や深夜営業制限の指導を受けるリスクがあります。風営法に基づく深夜営業許可を取得したとしても、条例違反があれば営業の継続は困難となるため、防音対策は内装設計の初期段階から講じておくべき重要項目です。また、従業員に対するマナー教育や、店外での騒ぎへの注意喚起なども、地域との共存を図るうえで欠かせません。

労働関連法令の義務

深夜帯にスタッフを雇用して営業を行う場合には、「労働基準法」や「労働安全衛生法」に則った適切な雇用管理が求められます。午後10時から翌朝5時までの労働には、労働基準法第37条に基づき25%以上の深夜割増賃金を支払う法的義務があり、これを怠ると労働基準監督署からの是正指導の対象となる可能性があります。さらに、深夜勤務に従事する従業員に対しては、労働安全衛生法第66条の規定に基づく定期健康診断の実施が必要になる場合があります。とくに注意すべきは、18歳未満の未成年者については、同法および青少年保護育成条例等により深夜業務への従事が明確に禁止されている点です。従業員採用時には、本人確認書類などを用いて年齢を正確に把握し、法令違反を防ぐ体制を整備することが不可欠です。

営業中の禁止事項

深夜営業においては、営業所の運営中に注意すべき禁止事項も複数存在します。まず大切なのが、店内の騒音管理です。周囲に住宅が多いエリアでは、深夜の騒音が近隣住民とのトラブルに発展しやすいため、音量の制御や出入り口の防音対策などを徹底する必要があります。

また、未成年者の入店は法律で禁止されているため、年齢確認は確実に行わなければなりません。特に酒類を提供する店舗では、保護者同伴であっても深夜の入店を制限される場合があり、警察の指導対象となることもあります。

さらに、過度なアルコール提供は避けるべき重要なポイントです。酩酊状態の顧客を放置することは風俗営業の観点からも問題視され、営業停止や罰則の対象となり得ます。安全な営業環境を維持するためにも、スタッフへの教育と運営体制の見直しが必要です。

これらの禁止事項を正しく理解し、店内で適切に対応することで、不要なトラブルを防ぎ、持続可能な営業を実現することができます。

営業開始後も法令遵守は続きます。法律・条例・地域のルールまで視野に入れた経営が、安定した運営の鍵です。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

深夜営業許可の書類を提出する際のよくある質問

届出から営業開始までにかかる期間

「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出」は、原則として営業開始の10日前までに所轄の警察署へ届出書類を提出することが法律で定められています。ただし、この「10日前」というのはあくまで受理されるための期限であり、実際には図面の作成や必要書類の収集、事前相談などに2週間〜1か月程度かかるケースが一般的です。

また、飲食店営業許可の取得や内装工事の完了が前提になるため、物件の契約から営業開始までにはトータルで1.5か月〜2か月程度のスケジュールを見込むことが安全です。書類の不備や図面修正などで再提出になるとさらに日数がかかるため、余裕を持った準備が必要です。

費用について

警察署への「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出」自体には手数料はかかりません(無料です)。ただし、実際には以下のような費用が発生する場合があります。

まず、図面作成費や登記事項証明書、住民票などの各種証明書発行費用(数千円程度)がかかります。さらに、自身で手続きを進めるのが難しい場合や、書類不備のリスクを避けたい場合には、行政書士に届出書類一式を依頼するケースが多く、相場としては7万円〜10万円程度が一般的です。平面図作成が必要な場合や急ぎの案件では、別途料金が加算されることもあります。

加えて、飲食店営業許可の申請には自治体ごとの申請手数料(約1.5万円〜2万円前後)がかかり、こちらは保健所に支払います。つまり、深夜営業を開始するにあたって必要な手続き全体で考えると、最低でも数万円〜十数万円の費用がかかると考えておくとよいでしょう。

「届出は無料」と思っていても、実際には図面作成や書類取得など、見えない費用がかさみます。事前に全体のコストを把握しましょう。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

深夜営業許可のメリットとデメリット

メリット:集客の可能性

深夜営業の許可を取得する最大のメリットは、夜間に活動する顧客層をターゲットにできることです。例えば、深夜に働く医療従事者や配送業者、また深夜まで営業するエンターテイメント施設の利用者など、夜間に食事や接待サービスを求める人々は少なくありません。こうしたニーズに対応することで、事務所や客室を持つ店舗でも柔軟な営業が可能になります。

また、夜間は競合が少ないため、サービスの内容や音響演出などを工夫することで他店との差別化が図れます。特に、駅近や繁華街といった立地にある店舗では、受付時間を深夜に設定することで、新たな集客経路を確保できるのも魅力の一つです。

売上面でも、深夜帯は単価が高くなる傾向があるため、効率的に利益を上げられる可能性があります。自社サイトや紹介制度などを通じて宣伝を行えば、より多くの客層へのアプローチも可能となり、長期的な経営安定にもつながるでしょう。

デメリット:運営上のリスク

一方で、深夜営業にはいくつかのリスクも存在します。まず第一に、人件費の増加が挙げられます。深夜時間帯に勤務するスタッフには、深夜手当や交通費などが追加で必要となるため、収支バランスを十分に考慮する必要があります。

次に、深夜営業は治安の面でも注意が必要です。酔客によるトラブルや、不審者の侵入といったリスクがあるため、防犯体制を強化し、業務内容を明確にした上で対応を定めておくことが重要です。また、遊興目的での利用が多い場合には、床面積や客席配置にも配慮した運営が求められるでしょう。

さらに、スタッフの健康管理も欠かせません。夜間勤務が続くことで、睡眠不足や体調不良に陥るリスクが高まり、業務の質にも影響が出る可能性があります。適切な勤務時間の設定や交代制の導入など、無理のない労働環境を整えることが、安定した営業の鍵となります。

このように、深夜営業には多くの可能性がある一方で、適切な運営体制を整えないと問題を引き起こす要因にもなり得ます。メリットとデメリットの両面を理解し、事前にしっかりと準備を行うことが重要です。

深夜営業には大きな収益チャンスがありますが、同時にリスク管理も必要です。法務・労務を含めた戦略的判断が求められます。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

深夜営業許可のまとめ

飲食店が深夜0時以降に酒類を提供して営業を行うためには、食品衛生法に基づく「飲食店営業許可」と、風営法に基づく「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出」の両方が必要です。これらは別個の制度であり、それぞれに提出書類、提出先、審査基準が異なるため、混同せずに段階的に準備を進めることが重要です。

警察署への届出は営業開始の10日前までに行う必要がありますが、図面作成や各種証明書の取得には一定の時間を要するため、物件確保から営業開始までは1〜2か月程度のスケジュールを想定しておくことが安全です。費用面では、行政書士への依頼や図面作成費を含めて十数万円程度が目安となります。

また、営業開始後も風営法や労働法令、地域の騒音・振動に関する条例などを守りながら、適法で安全な運営を継続していくことが求められます。とくに深夜帯はトラブルや通報のリスクもあるため、防犯対策やスタッフの教育、地域住民への配慮を欠かさないことが、長く営業を続けるための鍵になります。

初めて深夜営業の届出を行う場合や、書類作成に不安がある方は、行政書士などの専門家に相談することで手続きの正確性とスピードを確保でき、再提出による開業遅れを防ぐことにもつながります。安全・確実な深夜営業のスタートに向けて、ぜひ事前準備を万全に整えてください。

深夜営業の届出は「書類を出せば終わり」ではありません。運営の継続性まで見据えた準備と体制づくりが成功のカギです。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

深夜営業許可の関連情報

申請後の運営中トラブルとその対策

深夜酒類提供飲食店営業開始届出を提出した後も、運営中に予期しないトラブルが発生することがあります。特に多いのが、申請時には求められていなかった書類の追加提出や、法令の解釈違いによる手続きのやり直しです。例えば、ある飲食店では許可取得後に営業を開始したものの、警察署から追加の図面提出を求められたケースがありました。これは、店舗の改装が完了していなかったため、実際の構造と提出書類に相違が生じたことが原因でした。

このようなトラブルを回避するためには、営業前に必ず店舗の現状が提出した書類と一致しているか確認し、変更がある場合は速やかに修正申請を行うことが重要です。また、トラブル発生時は、まず許可を受けた管轄の警察署または保健所に連絡し、具体的な指示を仰ぎましょう。事前に連絡先を把握しておくことで、迅速な対応が可能になります。

「書類通りの営業」が基本です。工事後に構造が変わった場合は、必ず変更届や修正申請を検討しましょう。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

書類不備時の再申請と修正対応方法

風営法に基づく届出の厳格な基準

深夜営業の開始にあたって警察署に提出する「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」は、風営法に基づいた手続きであるため、記載内容や添付資料に関して非常に厳格な基準が設けられています。初めて申請を行う事業者にとっては、不備の多さや指摘の細かさに戸惑うことも少なくありません。とくに図面の記載形式や各書類の整合性は、届出の受理に直結する重要なポイントです。

よくある記載不備と図面のミス

書類不備としてもっとも多く見られるのは、届出書の誤記や記載漏れです。たとえば営業者の氏名や住所、店舗の所在地などの記載が間違っていたり、空欄のままになっていたりすると、その場で差し戻される原因となります。また、住民票や登記事項証明書、賃貸借契約書といった添付資料の一部が不足しているケースもよく見られます。図面に関しては特に注意が必要で、厨房やトイレの位置が正確でない、縮尺が明記されていない、寸法が抜けているなど、形式面での不備が指摘されることが頻繁にあります。さらに、営業概要書との内容に食い違いがある場合も、整合性がないと判断され、修正や再提出を求められることになります。

訂正対応と再提出の流れ

警察署で不備を指摘された場合、記載ミスが軽微であればその場で訂正印を押して修正することが認められる場合もあります。しかし、多くの場合は図面の作り直しや添付書類の再取得が必要となり、書類一式を持ち帰って再準備を行う必要があります。この際には、担当官からどの部分が不備であるのかを丁寧に聞き取り、内容を正確に理解したうえで対応することが重要です。単なる修正にとどまらず、提出書類全体をあらためて整え直すことで、形式的な不備だけでなく、信頼性の向上にもつながります。

再提出期限とスケジュール管理の重要性

もっとも注意しなければならないのが、営業開始日の10日前という届出期限を過ぎないようにすることです。補正や再提出に時間がかかると、この法定期限を超えてしまい、予定していたオープン日を変更せざるを得ない状況に追い込まれることがあります。内装工事や従業員の採用など、他の準備とスケジュールが連動している場合には、届出の遅れがそのまま金銭的損失に直結することもあります。とくに複数回にわたり同じミスを繰り返すと、警察署側から「制度を正しく理解していない」「説明しても改善されない」と判断され、事業者としての信頼を失うことにもなりかねません。

行政書士の活用と信頼関係の構築

書類作成に自信がない場合や、修正の範囲が広く対応に手間がかかると感じた場合には、行政書士などの専門家に相談するのが有効です。専門家に依頼すれば、警察署ごとの運用基準を踏まえたうえで正確な再提出が可能となり、開業日までに手続きを完了できる可能性が高まります。とくに時間が限られている場合や、書類の内容に自信がない場合には、早めの相談がトラブル回避に直結します。

法令遵守と丁寧な対応が店舗運営の土台

深夜営業許可の届出は、単に書類を提出すれば良いという性質のものではなく、風営法をはじめとした法令に則った適正な営業を行うための責任あるプロセスです。不備があった場合にも、誠実かつ迅速に対応する姿勢を見せることで、行政側との信頼関係を築くことができます。丁寧な再提出対応は、開業後の監査やトラブル対応にも良い影響を与えるため、形式面だけでなく中身も意識した対応を心がけることが、長期的かつ安定的な店舗経営につながるのです。

警察署の指摘内容を正しく理解しないと、再提出が繰り返されて開業が遅れる原因になります。専門家のチェックで防げる不備も多くあります。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

最新の風営法改正が深夜酒類提供届出に与える影響と対策

2025年6月28日に施行された風営法の改正は、これまで比較的自由に行われてきた深夜における酒類提供飲食店営業、いわゆる「深夜営業許可」にも直接的な影響を及ぼしています。今回の改正では、特に無許可営業・名義貸し・接客方法などに対する規制が強化され、届出制度の形骸化を防ぐことが大きな狙いとされています。これまでは届出を済ませればすぐに営業可能という感覚を持っていた事業者も多かった一方、今後は「届出後の運営内容」が厳しく問われる流れへと転換が図られています。

無許可営業に対する罰則の強化

今回の法改正では、悪質な事業者の排除を目的として、ホストクラブや一部の風俗営業所だけでなく、一般的な深夜営業を行う飲食店も対象とした規制が明確化されました。具体的には、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」を提出せずに営業を行った場合、これまでの50万円以下の罰金に加え、最長6か月間の業務停止命令が科される可能性が新たに設けられました。また、他人名義での届出による実質的な営業(いわゆる名義貸し)も、規制対象として厳しく取り締まられるようになります。これにより、書類上は整っているように見えても、実態との不一致がある場合には営業停止処分を受けるリスクが格段に高まっています。

「色恋営業」等の禁止行為の明文化

風営法改正におけるもう一つの注目点は、いわゆる「色恋営業」の明文化です。これは、従業員が顧客との恋愛感情を利用する形で、過剰なサービス提供や高額請求を行うことを防ぐための規定です。たとえば、料金表示をあいまいにして虚偽説明を行う、注文していない料理や酒類を一方的に提供する、恋愛感情を刺激して注文を誘導する――こうした行為は、今回の法改正により明確に禁止行為として定義されました。仮に書類が整っていても、接客実態がこれらに該当すれば、営業停止や罰金の対象となるため注意が必要です。

スカウトバック禁止・未成年防止対策の強化

さらに今回の改正では、「スカウトバック」(スカウトへのキックバックや斡旋報酬)に対する規制も具体化されました。この規定は風俗営業だけでなく、深夜酒類提供店にも適用される可能性があり、違法な人材斡旋や客引き行為に対する監視体制の強化が求められています。また、未成年者の混入を防ぐための年齢確認や、客引き行為の防止についても指導が強化されており、従業員教育や入店時確認の徹底が不可欠となります。

事業者が取るべき具体的な対策

今回の改正に対応するためには、まず「届出の正確性」を確保することが前提です。申請書や図面、営業概要書の内容に不整合がないかを事前に丁寧に確認し、必要に応じて行政書士などの専門家のチェックを受けることが有効です。加えて、料金表示や注文内容の説明を明確にし、顧客とのトラブルを未然に防ぐ体制を構築する必要があります。さらに、従業員に対しては、接客マニュアルを作成・共有し、色恋営業や曖昧な言動を行わないよう教育・周知を徹底することが不可欠です。

専門家の支援による制度対応の強化

風営法改正にともなう新たなリスクに対応するうえで、行政書士などの専門家の支援を受けることは大きなメリットがあります。最新の法改正に基づいた資料の提供や、届出書類の作成サポート、従業員教育用のマニュアル整備支援までをワンストップで依頼することが可能です。法令を軽視した営業体制のままでは、営業停止リスクが高まる一方です。だからこそ、信頼性のある体制を早期に構築し、安全かつ持続的な深夜営業を実現していくことが、これからの店舗運営においてますます重要となっていきます。。

2025年の法改正では「色恋営業」など新たな禁止行為も明文化されました。届出だけでなく、日々の営業体制まで見直す必要があります。

行政書士吉本翼

行政書士
吉本翼

関連記事
深夜営業許可に必要な書類とは?初心者でも分かる取得手続きと注意点

CONTACT

お問合せ

ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問合せください。
専門スタッフが丁寧に対応いたします。

06-7502-7827

平日9-17時(予約により土日祝・夜間も対応可)

メールから相談する

24時間365日受付

LINEから相談する

友だち登録後お問合せください。

対応地域

以下の地域を中心に対応しておりますが、その他の地域の方もお気軽にご相談ください:
- 大阪府(難波・梅田・天王寺周辺)
- 京都府(河原町・京都市周辺)
- 兵庫県(神戸市周辺)
- 奈良県(奈良市周辺)

初回相談は
無料です

CONTACT

お問合せ

ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問合せください。
専門スタッフが丁寧に対応いたします。

06-7502-7827

平日9-17時(予約により土日祝・夜間も対応可)

メールから相談する

24時間365日受付

LINEから相談する

友だち登録後お問合せください。

対応地域

以下の地域を中心に対応しておりますが、その他の地域の方もお気軽にご相談ください:
- 大阪府(難波・梅田・天王寺周辺)
- 京都府(河原町・京都市周辺)
- 兵庫県(神戸市周辺)
- 奈良県(奈良市周辺)