※本記事は、社会保険労務士が実際に行う支援内容をもとに構成した【モデルケース事例】です。
類似の課題を抱える方にとっての参考となるよう、実務に即した構成としていますが、地域名・状況設定は一部仮定を含むことを、あらかじめご理解ください。
想定される背景
大正区は港湾労働や製造業のシフト勤務が多いため、従業員の家庭でも夫婦そろって夜間勤務に従事することが珍しくありません。特に小さな子どもを持つ家庭では、両親が同じ時間帯に勤務に入ると育児の担い手が不在となり、子どもを一人で留守番させなければならない状況が発生していました。
この焼肉店でも、30代の正社員が妻と同じ夜間勤務に入ることが多く、子どもの世話に困り退職を検討していました。経営者は「家庭と両立できない従業員を守らなければ人材は流出する」と判断し、両立支援等助成金を活用した制度整備に踏み切りました。
社労士のポイント解説
導入したのは「夜間シフト配慮制度」と「家庭優先シフト調整制度」です。夜間勤務が夫婦で重ならないように、従業員本人の希望に応じて勤務時間を午後9時までに短縮する仕組みを設けました。また、繁忙期には短時間勤務に切り替えて勤務を継続できるようにしました。
さらに、シフト管理アプリを活用し、従業員が家庭の予定を事前に入力できる仕組みを整備しました。これにより、店長が家庭事情を把握したうえで公平なシフト編成を行えるようになり、突発的な混乱を防止しました。
助成金については、短時間勤務制度とシフト柔軟化の仕組みを導入・実際に利用されたことで「柔軟な働き方選択制度コース」から25万円を受給しました。さらに、夜間勤務を回避した分を補うために代替要員を新規雇用し、「育休中等業務代替支援コース」から10万円を追加受給しました。合計35万円を受給し、アプリ導入費や研修費に充当しました。
解決イメージ
制度導入後、従業員は妻と夜間勤務が重ならないようにシフトを調整でき、家庭と仕事を両立できるようになりました。本人からは「子どもを一人で留守番させずに済むようになった」「安心して働けるので退職を考えなくなった」との声が寄せられました。
店舗全体としても、離職率は導入前の20%から8%に改善し、人材定着が進みました。顧客からも「スタッフの顔ぶれが安定して安心できる」「接客が落ち着いている」と評価され、リピーター率が向上しました。
店長のシフト調整時間は月18時間から7時間に削減され、経営者は新規顧客獲得やメニュー開発に注力できるようになりました。助成金で受給した35万円は制度運営費用を支え、今後も持続可能な働き方を支える基盤となりました。
このように、大阪市大正区における両立支援等助成金の活用は、夫婦共働きで夜間勤務が重なる家庭に配慮したシフト制度を整備し、人材定着と経営安定を両立させた好事例です。本モデルケースは、同様の課題を抱える飲食店にとって有効な参考事例となるでしょう。
