※本記事は、社会保険労務士が実際に行う支援内容をもとに構成した【モデルケース事例】です。
類似の課題を抱える方にとっての参考となるよう、実務に即した構成としていますが、地域名・状況設定は一部仮定を含むことを、あらかじめご理解ください。
想定される背景
東住吉区は昔ながらの地域コミュニティが残る一方で、共働き家庭と高齢世帯の双方が多いエリアです。飲食店の従業員も同じ地域に暮らしており、子どもが小学生で学童に通いながら、親世代の介護も同時に担うケースが増えていました。
この和食店では、パート従業員の1人が小学2年生の子どもを育てながら母親の介護もしており、夏休みや冬休みには学童の利用時間が短縮され、夕方以降の勤務が難しくなっていました。同時に親の通院付き添いが必要なため、突発的に休まざるを得ないこともありました。その結果、繁忙期にシフトが崩れ、店長や経営者が現場に立つ時間が増え、経営効率が悪化していました。
経営者は「従業員の生活を守る仕組みを作らなければ人材は定着しない」と判断し、両立支援等助成金を活用してダブルケア対応のシフト制度を導入しました。
社労士のポイント解説
制度設計の出発点は従業員の家庭事情を正確に把握することでした。アンケートと面談を行い、「学童利用が午後5時まで」「親の通院は月2回必要」といった具体的な状況を整理しました。
導入したのは、学童対応と介護対応を同時に考慮した「短縮勤務シフト制度」と「分割勤務制度」です。短縮勤務シフト制度では、長期休暇中に午後4時までの勤務を選択できるようにしました。分割勤務制度では、昼の数時間勤務+夜の短時間勤務といった柔軟な働き方を可能にしました。これにより、学童と介護の双方に対応しながらシフトを組める体制を整えました。
さらに、突発的な休みに備えて人材派遣会社と連携し、代替要員を即日確保できる仕組みを整備しました。シフト管理アプリを導入し、勤務可能時間を事前に入力できるようにしたことで、店長の調整業務も効率化しました。
助成金については、「柔軟な働き方選択制度コース」で短縮勤務と分割勤務制度を導入し、実際に利用されたことで25万円を受給しました。さらに、介護による突発休みに代替要員を雇用したことで「育休中等業務代替支援コース」から15万円を追加受給し、合計40万円を獲得しました。この資金はアプリ導入費や派遣費用に充てられました。
解決イメージ
制度導入後、ダブルケアを担う従業員は学童の終了時間や親の通院に合わせて働けるようになり、退職を回避できました。本人からは「家庭と仕事を両立できる安心感がある」「迷惑をかけずに働けるのがありがたい」との声が上がりました。
店舗全体としても、離職率は導入前の18%から6%に改善し、安定した運営が可能となりました。顧客からも「スタッフが安定していて安心」「接客が落ち着いて利用しやすい」といった評価が寄せられ、リピーター率が向上しました。
また、店長のシフト調整業務は月20時間から8時間に削減され、経営者は新メニュー開発や販促活動に注力できるようになりました。助成金で受給した40万円は制度定着の基盤となり、制度は形骸化せず継続的に機能しています。
このように、大阪市東住吉区における両立支援等助成金の活用は、学童と介護のダブルケアに対応する制度を整備し、人材定着と経営安定を同時に実現しました。本モデルケースは、地域の飲食店が直面する多様な家庭事情に柔軟に対応するための有効な参考事例といえるでしょう。
