※本記事は、社会保険労務士が実際に行う支援内容をもとに構成した【モデルケース事例】です。
類似の課題を抱える方にとっての参考となるよう、実務に即した構成としていますが、地域名・状況設定は一部仮定を含むことを、あらかじめご理解ください。
想定される背景
阿倍野区は商業施設が多く、飲食店は昼夜を問わず一定の集客があります。しかし、従業員にとってはシフト時間が長く、家庭の事情を抱える人材が定着しにくいという課題がありました。特に子育てや介護と両立する従業員にとって「正社員として働く=長時間勤務が必須」という旧来の考え方は大きな壁となり、優秀な人材がパートに移行したり離職するケースが目立っていました。
このカフェレストランでも、育児中の正社員がフルタイム勤務を続けられず退職を検討しており、経営者は「人材を守るためには制度改革が必要」と判断しました。そこで、両立支援等助成金を活用して短時間正社員制度を導入することを決断しました。
社労士のポイント解説
まず現状を把握し、従業員の働き方に関するヒアリングを行いました。正社員4名のうち2名が「家庭の事情でフルタイム勤務が負担」と回答し、離職リスクが高い状況でした。これを申請資料に盛り込み、制度導入の必要性を明確化しました。
導入した短時間正社員制度では、所定労働時間を週30時間程度に設定し、給与や社会保険は正社員として継続適用する仕組みとしました。これにより、従業員はパートに転換せずに正社員としての地位を維持しつつ、家庭事情に応じた勤務が可能になりました。さらに、短時間正社員も昇給・昇格の対象とすることで、キャリア形成を阻害しない制度としました。
助成金については、「職場意識改善コース」を活用し、制度導入にかかる費用や研修費を賄うことができました。具体的には、短時間正社員制度を導入し実際に2名が利用したことで20万円を受給しました。さらに、柔軟な働き方選択制度コースも組み合わせ、合計で30万円を受給し、制度整備費用を大幅に補填しました。
また、2025年の育児・介護休業法改正に対応し、個別周知・意向確認を徹底しました。従業員一人ひとりに制度内容を説明し、希望に応じて短時間正社員制度を適用するプロセスを設けたことで、従業員が安心して制度を利用できる体制が整いました。
解決イメージ
制度導入後、育児中の正社員2名が短時間正社員制度を利用し、家庭と仕事を両立しながら継続勤務することができました。本人からは「正社員としての立場を維持できるのが安心」「将来を見据えて働ける」といった声が寄せられました。
店舗全体としても離職率は導入前の18%から6%に低下し、人材の安定性が大幅に改善しました。顧客からも「いつものスタッフが安定していて安心できる」「接客に落ち着きがある」といった評価が寄せられ、リピーター率が向上しました。
また、店長のシフト調整業務は月15時間から7時間に削減され、余裕をもって販促活動や新規メニュー開発に取り組めるようになりました。助成金で受給した30万円はマニュアル作成や研修費用に充てられ、制度は現場に定着しました。
このように、大阪市阿倍野区における両立支援等助成金の活用は、短時間正社員制度を通じて従業員のキャリアと家庭の両立を実現し、店舗運営の安定と顧客満足度の向上を同時に実現しました。本モデルケースは、飲食店における持続可能な人材確保の有効な参考事例といえるでしょう。
