※本記事は、社会保険労務士が実際に行う支援内容をもとに構成した【モデルケース事例】です。
類似の課題を抱える方にとっての参考となるよう、実務に即した構成としていますが、地域名・状況設定は一部仮定を含むことを、あらかじめご理解ください。
想定される背景
東淀川区は交通の要所として人口流入が多く、ファミリー層も多く居住しています。そのため飲食店にとっては安定的な顧客基盤がありますが、従業員の家庭事情に柔軟に対応できない場合、離職や人材流出に直結してしまいます。特にカフェ業界は女性従業員が中心であり、子育て世代が退職してしまうケースが頻発していました。
このカフェでも、過去3年間で子育てを理由に3名が退職し、いずれも接客経験の豊富なスタッフであったため大きな損失となっていました。シフト運営は常に不安定で、経営者は「制度がなければ人材は定着しない」と判断し、両立支援等助成金の活用に踏み切りました。
社労士のポイント解説
まず導入したのが短時間勤務制度です。子どもが3歳になるまでの期間、従業員は1日6時間勤務を選択できるようにしました。これにより、子どもの保育園送迎や家庭事情に合わせた柔軟な働き方が可能となりました。また、出産や子育てで離職していた従業員の再雇用にもつながりました。
次に導入したのがテレワーク制度です。飲食店では接客や調理といった業務は店内でしかできませんが、発注業務や経理事務、シフト作成などは在宅で可能です。経営者は一部業務を切り分け、対象となる従業員が週に数時間、自宅でPCから作業できるように制度を整えました。これは2025年改正の育児・介護休業法で努力義務化された「3歳未満の子を育てる従業員へのテレワーク導入」に対応した施策でもあり、法改正に即した制度運用となりました。
助成金については、短時間勤務制度とテレワーク制度という2つの制度を導入し実際に利用されたことで「柔軟な働き方選択制度コース」から20万円を受給しました。さらに、従業員の利用実績が評価され追加で5万円が加算され、合計25万円の助成金を受給しました。受給した資金はテレワーク用のPC購入費やシフト管理ソフトの導入に充てられました。
また、対象従業員への個別周知・意向確認を徹底し、制度導入の初期段階で不安を抱かせないよう配慮しました。これにより、制度が形骸化せず現場で活きる仕組みとして根付くことができました。
解決イメージ
制度導入後、子育てを抱える従業員が短時間勤務を利用し、安心して職場に残ることができました。これにより、従来なら離職につながっていたケースを防ぐことができ、人材の定着率は大幅に改善しました。離職率は導入前の18%から7%に低下し、店舗運営の安定につながりました。
また、在宅勤務を導入したことで、経営者自身の業務効率も改善しました。従業員が自宅から発注や事務作業を行うことで、店舗での負担が軽減され、店長は接客や調理に専念できるようになりました。これにより接客の質が向上し、顧客からも「スタッフの対応が丁寧で安心できる」との声が寄せられました。
助成金で受給した25万円は制度定着のための投資に活用され、制度は単なる福利厚生ではなく経営改善策として機能しました。従業員からは「子育てと仕事を両立できるので安心」「在宅で一部業務ができるのは非常に助かる」との声が上がり、モチベーション向上にもつながりました。
このように、大阪市東淀川区における両立支援等助成金の活用は、短時間勤務とテレワークという新しい働き方を現場に導入し、人材定着と経営効率化を同時に実現しました。飲食店にとって、本モデルケースは法改正に即した持続可能な働き方改革の好例といえるでしょう。
