※本記事は、社会保険労務士が実際に行う支援内容をもとに構成した【モデルケース事例】です。
類似の課題を抱える方にとっての参考となるよう、実務に即した構成としていますが、地域名・状況設定は一部仮定を含むことを、あらかじめご理解ください。
想定される背景
西淀川区は工場や物流関連の事業所が多く、地元住民は長時間勤務や交代勤務に従事することが多い地域です。そのため、飲食店の利用も昼夜を問わずあり、店舗側には幅広い時間帯で人員確保が求められます。しかし、40代以上の従業員の親世代が高齢化し、介護を理由に離職する事例が目立っていました。
この定食屋でも、過去3年間で介護を理由に2名の従業員が退職し、いずれもベテランであったため店舗運営に深刻な影響が出ていました。新たな採用は難しく、既存スタッフの負担が増え、シフト調整に経営者が追われる状態が続いていました。経営者は「介護と両立できる制度がなければ人材を守れない」と考え、両立支援等助成金を活用して制度整備に踏み切りました。
社労士のポイント解説
まず、介護休暇の制度を従来の「連続取得」から「分割取得」に見直しました。これにより、従業員は必要な時期に数日単位で休暇を取得できるようになり、介護サービスや通院付き添いに対応できるようになりました。これを就業規則に明記し、全従業員に説明会を行いました。
代替要員体制の整備も大きな課題でした。そこで、人材派遣会社との契約を強化し、急な休みにも対応可能な仕組みを構築しました。さらに、シフト管理アプリを導入し、代替要員のスケジュール調整を迅速に行える体制を整えました。
助成金については、「育休中等業務代替支援コース」を活用し、派遣スタッフを2か月間雇用したことで計20万円を受給しました。さらに、「柔軟な働き方選択制度コース」において介護短時間勤務制度と分割取得制度を導入し、実際に従業員が利用したことで20万円を追加受給しました。合計40万円が支給され、制度整備の費用を大幅にカバーすることができました。
また、2025年の法改正内容に対応し、対象従業員への個別周知・意向確認を義務化しました。さらに、テレワークの努力義務にも配慮し、発注や仕入れ管理など事務業務の一部を在宅でできる仕組みを整えました。これにより、助成金の活用だけでなく、最新法改正に即した制度運用を実現しました。
解決イメージ
制度導入後、介護を抱える従業員が実際に分割取得を利用し、数日ごとに親の通院や介護サービスの手配に対応できました。これにより、従来なら離職していたケースを防ぐことができ、従業員の定着率は向上しました。離職率は導入前の16%から6%に改善し、店舗運営が安定しました。
従業員からは「介護と仕事を両立できる安心感がある」「分割で休めるので負担が少ない」といった声が寄せられました。顧客からも「スタッフが安定していて安心できる」との評価が得られ、リピーターの増加につながりました。
経営者にとっても、シフト調整業務が効率化されたことで経営改善に集中できるようになり、売上向上にもつながりました。助成金として受給した40万円は制度導入費用やシステム利用料に充てられ、持続的な改善を支える資金源となりました。
このように、西淀川区の事例は介護と仕事の両立を支援する制度を現実的に導入し、両立支援等助成金を最大限に活用した好例です。今後、飲食店が人材確保と経営安定を両立するための重要な参考となる取り組みといえるでしょう。
