※本記事は、社会保険労務士が実際に行う支援内容をもとに構成した【モデルケース事例】です。
類似の課題を抱える方にとっての参考となるよう、実務に即した構成としていますが、地域名・状況設定は一部仮定を含むことを、あらかじめご理解ください。
想定される背景
住吉区は閑静な住宅街が広がり、地域住民に支えられた飲食店が多いエリアです。商業施設よりも個人経営の食堂や居酒屋が目立ち、常連客を中心とした安定的な営業を続けている店舗が多くあります。しかし、こうした店舗では設備投資が後回しにされる傾向が強く、特に冷蔵庫の老朽化が深刻な問題となっています。
本ケースの食堂では、30年以上営業を続ける中で20年近く使用してきた冷蔵庫が不安定になり、温度が一定に保てない状況が続いていました。その結果、魚や肉、野菜が傷みやすくなり、月平均で約2万5000円の食品を廃棄せざるを得ませんでした。従業員からは「仕込みの時間が余計にかかる」「庫内整理が難しく作業効率が悪い」といった声が上がり、業務効率低下と労務負担増加が経営に影響を与えていました。経営者は食品ロス削減と従業員の働きやすさを同時に改善するため、業務改善助成金を活用した設備更新を決断しました。
社労士のポイント解説
助成金の申請に際しては、現状の問題を数値化して提示することが重要です。本件では、月平均2万5000円の食品ロス、年間8万円以上の修理費用、従業員1人あたり1日10分以上の庫内探し時間をデータとしてまとめました。これにより、冷蔵設備更新が経営と労務改善の両立につながることを申請書に明確に示しました。
導入する冷蔵庫は省エネ性能を備え、温度自動記録機能と整理しやすい棚構造を持つ最新型です。設置は店舗の休業日を活用して行い、営業への影響を最小限に抑えました。
導入後には従業員研修を実施し、先入れ先出しの徹底、定位置管理、温度異常発生時の対応ルールを全員で共有しました。助成金の評価対象である「研修を通じた労務改善」を反映することで、制度に沿った申請と現場改善を両立させました。
また、効果を持続させるために食品ロス削減額、電気代削減額、従業員の業務効率を定期的に測定しました。月1回のミーティングで従業員の意見を反映し、改善サイクルを継続する体制を整備しました。
解決イメージ
冷蔵設備の更新により、食品ロスは月平均2万5000円から7000円未満へ削減され、年間で20万円近いコスト削減につながりました。従業員の探し物時間は1日10分から3分に短縮され、仕込みや調理が効率化しました。これにより残業時間が減少し、従業員の働きやすさが向上しました。
従業員からは「作業の負担が減って働きやすくなった」「仕込み時間が短縮されて余裕ができた」といった声が寄せられました。顧客からも「料理の提供が早くなった」「鮮度が安定していて安心できる」と評価され、リピート率が上昇しました。さらに、省エネ性能によって月5000円以上の電気代削減が実現し、年間で6万円以上の経費削減を達成しました。
このように、業務改善助成金を活用した冷蔵設備の更新は、食品ロス削減と従業員の労務改善を同時に実現しました。住吉区の飲食店にとって、本モデルケースは有効な参考事例であり、地域全体で助成金活用の広がりが期待されます。
