※本記事は、行政書士が実際に行う支援内容をもとに構成した【モデルケース事例】です。
類似の課題を抱える方にとっての参考となるよう、実務に即した構成としていますが、地域名・状況設定は一部仮定を含むことを、あらかじめご理解ください。
想定される背景と経緯
この事例のご相談者様は、大阪府内の飲食店で長年ホールスタッフとして勤務されてきた50代の女性です。地域に根差した接客を続ける中で、常連のお客様とのつながりも深まり、「自分らしい落ち着いた空間を提供したい」との思いから、独立開業を決意されました。
知人を通じて、駅から近いテナントビル1階の物件に空きが出たことを知り、すぐに現地を見に行かれました。店内は約25㎡とコンパクトながらも、理想とする店舗イメージに合致しており、黒を基調としたシックな内装に、間接照明のみを使った「静かで心地よい空間」を目指して改装を進めていく計画でした。
当初は「飲食店営業許可のみで営業可能」と考えていましたが、照明の明るさに関する話題が出たことで、店舗の照度が風営法に関わる可能性があると判明。店内照度を測定した結果、営業時の明るさが8ルクスと、10ルクス以下という風営法上の基準に該当していたため、風俗営業2号許可の申請が必要となった、という経緯です。
行政書士のポイント解説
風俗営業2号許可は、「照度が10ルクス以下の飲食営業」が対象となるため、照明の明るさひとつで法的な許可が必要になる可能性があります。しかしこの基準は一般にはあまり知られておらず、意図せず無許可営業に該当してしまうケースも少なくありません。
今回のように、落ち着いた雰囲気づくりのために間接照明を使ったスナックなどは、特に注意が必要です。飲食店営業許可だけでは足りないことを知らないまま準備を進めてしまうと、開業直前での大幅な予定変更や、法令違反のリスクに直面する可能性があります。
照度が基準以下と判断された場合は、風俗営業2号許可の申請が必要となります。この許可は、営業所の図面、照度測定結果、営業方法の詳細などを警察署に提出し、審査を経たうえで交付されるもので、通常は申請から30〜40日ほどかかることが多いため、開業スケジュールとの調整も重要です。
法的な視点をもとに、営業形態や内装設計の段階から相談できる行政書士に早めに相談することで、準備を着実に進めることができます。
解決イメージ
この事例では、照度測定の結果、風俗営業2号に該当すると判断されました。そこで、必要な書類を整えたうえで警察署との事前相談を実施し、申請から約35日で許可が下りました。並行して飲食店営業許可も取得し、当初予定していた開業日に間に合う形で全ての準備を完了させることができました。店舗の雰囲気を保ちながら、法令に適合した形で営業をスタートすることができた点が、現実的な成功のポイントといえるでしょう。