※本記事は、行政書士が実際に行う支援内容をもとに構成した【モデルケース事例】です。
類似の課題を抱える方にとっての参考となるよう、実務に即した構成としていますが、地域名・状況設定は一部仮定を含むことを、あらかじめご理解ください。
想定される背景と経緯
ご相談者様は、ベトナムで小規模店舗の経営経験をお持ちで、日本では日本語学校や大学で経営学を学ばれた実績がありました。これらの学びや経験を活かして、日本で正式にビジネスを展開したいという強い意志を抱かれていました。特に、飲食と雑貨を融合させた「ベトナム雑貨とコーヒースタンドの複合店舗」を構想されており、その実現場所として地方の街道沿いにある空きテナントを候補とされていました。
物件は立地もよく、近隣住民や通勤通学者が頻繁に行き交うエリアであったため、コンセプトの実現には適した環境でした。ただし、日本で法人を設立し、経営管理ビザを取得した上で事業を開始することは、ご本人にとって初めての挑戦であり、制度の理解や行政手続きへの不安を強く感じておられました。
実際に法人設立には、定款の作成、登記、資本金証明など多くの工程が存在し、さらに経営管理ビザの取得には、入管局が重視する要件に沿った事業計画書や資金の出所説明、店舗の実在性証明などを精緻に準備しなければなりません。そうした背景から、当事務所に対して法人設立から店舗準備、事業計画書作成、資金証明、入管申請手続きに至るまでの包括的なサポートをご依頼いただきました。
行政書士のポイント解説
経営管理ビザの許可を得るためには、入管法に基づき主に4つのポイントを明確に証明する必要があります。すなわち、事業所の実在性、資本金の信頼性、継続可能な事業計画、経営管理能力の有無です。これらの要件に対して、今回のケースでは一つずつ丁寧に対策を講じました。
まず事業所の実在性については、候補となるテナント物件の賃貸借契約書、現地の外観・内観写真、物件の見取り図、改装予定の設計図を整えました。店内に必要な改装箇所とその内容を明示し、事業が行われる具体的な場が既に確保されていることを示しました。
法人設立にあたっては、株式会社を設立し、定款にはコーヒー販売と雑貨小売を中心とした事業目的を記載しました。資本金については、600万円を確保し、日本の金融機関の口座に送金された証拠として通帳の写し、振込明細書、親族からの贈与契約書、海外銀行の出金証明書などを整備しました。これらの書類には翻訳を添え、出所が明確で、経営のために使用可能な正当な資金であることを立証しました。
事業計画書は、全体で30ページを超える構成とし、売上見込みや客層、提供商品構成、仕入先のルート、価格設定、原価率、利益率、季節限定商品の展開などを具体的に盛り込みました。また、SNSを活用した集客方法や、地域イベントとの連携など、リアルな集客施策も記載し、単なる計画ではなく現実性のある経営戦略としてまとめました。
数値面では、1年・3年・5年の売上・費用・利益を月次ベースで細かく試算し、必要な運転資金と利益予測を丁寧に積み上げて、初年度から黒字化が可能であることを示しました。また、将来的なアルバイト採用計画も提示し、雇用創出による地域貢献や、事業拡大に向けた展望も合わせて訴求しました。
ご本人の経営管理能力については、母国での店舗運営歴、日本語能力試験N2の合格証、大学での成績証明書、過去の職務経歴書を資料として提出しました。さらに、日本語による顧客対応や行政手続きの対応能力があることも、過去の実務経験から明らかである旨を補足書面にて説明しました。
法人の経営体制としては、外部の税理士および社会保険労務士と顧問契約を結んでおり、会計・労務の専門支援体制が整っている点も登記事項証明書や契約書の控えで裏付けました。
申請書類は、これらの情報を網羅したうえで、論理的かつ丁寧に構成し、補足説明書も添付して申請を行いました。その結果、約7週間で経営管理ビザの許可が下り、申請過程での追加資料請求も数点にとどまり、非常にスムーズな審査となりました。許可後は速やかに改装工事と仕入れ調整を実施し、店舗オープンを実現されました。
解決イメージ
日本で自分の店を持つという夢は、長年心の中にありましたが、現実に近づいたのは日本の大学に通い始めてからです。ベトナムでも店を運営していた経験はありますが、日本の制度やビザ、法律についてはまったく分からなかったので、自分でできるとは思っていませんでした。
行政書士の先生に出会ってからは、自分の考えていたアイデアや希望が一つずつ具体的な形になっていくのを感じました。法人を作るところから始まり、通帳の準備、贈与の証明、資金の動きの整理、銀行書類の翻訳など、たくさんの作業がありましたが、どれも先生が丁寧にサポートしてくれたことで乗り越えることができました。
特に事業計画書の作成では、頭の中にある構想をどのように言葉と数字にすれば伝わるのかが分からず悩んでいましたが、先生の質問に答えていく中で徐々に整理されていきました。店舗で販売する商品の内容、ターゲットとなるお客様の層、イベントとの連動、SNSを使った広報など、計画に深みを持たせることができたのは本当にありがたかったです。
申請の途中で数点の追加資料を求められたときも、迅速に対応してくださり、大きなトラブルなく許可が下りたときは、本当に安心しました。涙が出そうになるほど嬉しかったことを今でも覚えています。
オープンしてからは、通りがかりの方や近所の方が「面白いお店だね」「雑貨もコーヒーも楽しめるのがいい」と言ってくれることが増えました。お客様との会話の中で、自分の店が地域の人々の生活の一部になっていると実感しています。
これからは、もっと商品数を増やしたり、ベトナム文化を紹介するワークショップや季節のイベントなども行って、さらに地域に根付いた店にしていきたいです。最初から最後まで支えてくださった行政書士の先生には、心から感謝しています。