※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
クライアント様は、以前より「健康的で安心できる食を地域の人に届けたい」という想いを持っておられました。夫と共に営む農園では無農薬野菜の生産に力を入れており、その野菜を使って簡単な調理販売イベントを地元の直売所で定期的に開催していました。その活動の中で、「実際に食べられる場所があればうれしい」との声が多くなったことから、自宅敷地内にある築30年の離れを飲食店として整備し、正式な営業許可を取得して本格的に店舗営業を始めることを決意されました。
しかし、飲食店の許可を取得するために必要な条件や手続き、厨房や客席の仕様、必要書類などに関する知識がまったくなく、「何から手をつけてよいのか分からない」という状況で当事務所へご相談いただきました。
現地調査を行ったところ、建物の基礎構造はしっかりしていましたが、厨房に必要な三槽シンクや手洗い器、換気扇などはすべて新たに設置が必要でした。また、排水設備も家庭用仕様であったため、適切な衛生管理を行うためには下水設備や床材の変更、清掃しやすい構造への改修が必須であることが分かりました。
担当行政書士のコメント
飲食店営業許可を取得する際、自宅の建物や離れを転用する場合には、「住宅と営業施設の明確な区分」「専用厨房の設置」「衛生設備の整備」が特に重要になります。河南町のような地域では、市街化調整区域や農地法の関係なども絡んでくることがあるため、事前調査と行政との連携が非常に大切です。
今回は建物の立地や登記状況にも問題がなかったため、施設の構造に注力して対応を進めました。厨房には三槽シンクと手洗い器を新設し、調理台と冷蔵庫、加熱機器の配置も動線を意識して整理しました。天井の高さが限られていたため、換気扇の位置や排煙経路にも工夫を凝らしています。
平面図、求積図、厨房機器一覧などの図面作成も当事務所で対応し、事前相談にて保健所へ提出しました。営業形態が一般的な定食店と異なり、ベジタリアン料理を主体としていたため、食材の保管方法や調理器具の管理など、衛生管理計画も含めて説明資料を作成しました。
保健所との事前協議においては、営業スタイルや提供方法をしっかりと説明できたことで、現地検査当日には大きな修正もなく、無事に許可を取得することができました。
お客様の声
「自分で作った野菜を、誰かにおいしく食べてもらいたい」その思いだけで始めた準備でしたが、正直言って、飲食店営業許可というものがここまで多くの基準や手続きが必要だとは知りませんでした。
行政書士さんに相談してからは、自分だけでは到底分からなかった構造基準や必要な設備、申請書の内容などをひとつひとつ教えていただき、図面もすべて作ってもらえたので、本当に助かりました。改装工事も、最初から「ここをこうすれば許可が通ります」と具体的に指示いただけたので、余計な出費もなくスムーズに進めることができました。
いまではリピーターの方も増え、近くの農家さんや知人がふらっと立ち寄ってくださるようになりました。あのとき勇気を出して相談して、本当に良かったと心から感じています。ありがとうございました。