※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご相談いただいたのは、大阪府豊能町で地元密着型の居酒屋を営んでいる男性の事業主様でした。これまでの営業時間は17時から22時までとしており、地元のサラリーマンや高齢者を中心とした常連客に支えられて営業してきたものの、コロナ禍の影響や物価高騰を受け、売上の維持に課題を感じておられました。
そのような中、近隣エリアの飲食店が閉店していく中で、「深夜帯に営業しているお店がほとんどない」という声を複数の常連客から聞いたことをきっかけに、深夜営業を検討し始めたとのことです。深夜帯に酒類を提供するには、いわゆる深夜営業許可が必要になることを調べていく中で、警察署に提出する「深夜酒類提供飲食店営業開始届」が必須であることを知り、専門的な書類作成と届出対応を依頼すべく、当事務所にご相談をいただきました。
担当行政書士のコメント
今回の案件は、地域密着型の居酒屋が豊能町で初めて深夜営業許可を取得していくという意義深いものでした。届出にあたっては、まず豊能町内の店舗環境と周辺住民への配慮を重視しながら、深夜酒類提供に必要な構造的条件の確認から着手しました。
深夜営業許可の前提として、客室の床面積、パーテーションの設置状況、照度（20ルクス以上）など、風営法に基づく設備基準を満たしているかを詳細に確認いたしました。照明に関しては、一部の照度が不足していたため、天井照明の追加工事を提案し、店内の照明計画を再構築しました。
また、深夜営業に関する懸念点の一つである騒音や迷惑行為の発生リスクについても、事前にトラブル防止策を設ける必要がありました。営業終了後には速やかに閉店作業を行い、店舗外での会話を最小限に留めるための注意喚起ポスターを作成。さらに、週末以外の深夜営業は控える営業方針を計画書に明記することで、近隣住民への配慮を伝えることができました。
提出書類としては、営業の方法書、客室図面、求積図、照明配置図、飲食店営業許可証の写し、賃貸契約書、略図、メニュー表、住民票などを一式揃えました。中でも照明配置図と求積図は、警察署の生活安全課での確認が厳密に行われるため、行政書士がCADを用いて精密に作図しました。
警察署とのやり取りでは、営業方針についての補足説明が求められましたが、あらかじめ準備した計画書と図面によって、口頭での説明もスムーズに進みました。無事、営業開始の10日前までに深夜営業許可となる届出が正式に受理され、その通知をもって、合法的な深夜帯の酒類提供営業が実現しました。
結果と効果
深夜営業許可を得てから約2週間後、金曜・土曜限定で深夜0時〜翌2時までの営業を開始されました。オープン初日から地元の常連客が深夜に訪れ、「夜中に営業してくれて助かる」「もう少し飲みたいと思っても、近くにお店がなかった」といった声が数多く寄せられたとのことです。
結果として、1か月あたりの売上が約18％増加し、特に週末の深夜時間帯が売上全体の20％以上を占めるようになりました。新たに獲得した顧客層も増え、平日夜間の営業にも波及効果が出てきています。
また、地域コミュニティのなかで「豊能町で深夜営業許可を得た数少ない居酒屋」として認知が広まり、観光客や出張客の来店にもつながっています。検索エンジンでは「豊能町 深夜営業 許可」や「豊能町 深夜バー」といったキーワードでも上位に表示されるようになり、集客面でも確かな手応えを感じておられました。
お客様の声
最初は、深夜営業を始めたいという思いだけで動いていましたが、実際には警察署への届出や設備の見直しなど、想像以上にやることが多く、正直一人では無理でした。お願いしたことで、店舗の構造や照明のチェック、必要な書類の準備、届出のタイミングまで全てサポートしてもらえ、本当に心強かったです。
深夜営業許可が下りたときは、これでようやくお客様の希望に応えられると思いましたし、実際に営業を始めてからは、夜遅くにしか来られないお客様にも喜んでいただけるようになりました。
これからも、豊能町の飲食店として安心・安全な深夜営業を続け、地域のにぎわいに少しでも貢献できればと思っています。ありがとうございました。
