※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご相談をいただいたのは、大阪府富田林市内にて自宅の一部を改装し、焼き菓子を製造・販売されている30代の女性でした。クッキーやフィナンシェ、マドレーヌといった焼き菓子を中心に、週2〜3日限定で販売を行い、口コミやSNSを通じて徐々に固定客を獲得してきました。しかし、店舗の視認性が低いことや、通りがかりの来店が少ないことから、売上が頭打ちとなり、新たな展開を模索されていました。
具体的には、店舗入口に設置する案内看板や、メニュー表示用の立て看板、POP、ロゴ入り包装紙、そして新規顧客獲得のためのチラシ配布やInstagram広告といった施策を考えていたものの、まとまった広告費用の捻出が難しいという課題がありました。地元商工会から小規模事業者持続化補助金の制度を紹介され、「富田林市での地域密着型ビジネスとしてチャレンジしてみたい」とのご意向で、当事務所へご相談に来られました。
担当行政書士のコメント
富田林市で手作り焼き菓子店を運営されているという点で、非常に地域性の強い案件でした。小規模事業者持続化補助金の「販路開拓・業務効率化支援事業」の趣旨とも合致しており、採択の可能性が高いと判断しました。ただし、ポイントは「ただの広告費申請」ではなく、地域と一体化したブランディングと集客戦略の一環として計画書を構成することでした。
まず、富田林市内での観光資源や季節イベントとの連動を意識し、寺内町をはじめとする地元の散策コースに組み込まれるような立地活用を記載しました。店舗の外観や看板が富田林市らしさを表現できるよう、和風のデザインを検討していること、地域のイベントにも出店予定であることなど、地域密着の姿勢をアピールしました。
広告施策としては、Instagram広告を用いて富田林市周辺の居住者層(主に30代女性)をターゲットに設定し、LINE公式アカウントとの連動による来店クーポン施策を計画しました。あわせて、富田林市内の地域紙折込用チラシの制作・配布も補助対象に加え、オンラインとオフラインの両面から新規顧客の流入を図る構成としました。
補助対象経費の内訳は、看板制作・設置、販促物制作費、SNS広告費、印刷・配布費、メニュー表のデザイン費など、すべて販路拡大に直結する費用に限定しました。事業計画の中では、月間の新規顧客数や既存客の再来率をもとに売上増加を試算し、補助事業実施前後の売上比較を定量的に示すことで、計画の実現可能性を高めました。
さらに、補助事業終了後の持続的な運営体制として、Instagram更新の頻度やLINEでのキャンペーン活用、口コミ施策など、自助努力を継続する点にも言及しました。地域の他店との連携(寺内町エリアでの共催イベント)も視野に入れていることから、地元とのつながりという観点でも加点を狙いました。
最終的に、商工会からの推薦も得られ、富田林市での地域活性型事業として補助金上限の50万円が満額採択されました。
お客様の声
自宅で細々と始めた焼き菓子販売でしたが、だんだんお客様も増えてきて「もっとお店らしくしたい」と思っていました。でも、看板を作ったりチラシを配ったりするお金をどう工面するかずっと悩んでいて、そんなときに商工会から補助金のことを聞いて、相談してみようと思いました。
最初は「補助金って面倒そう」と思っていたのですが、話を聞いてもらううちに「これならやれるかも」と前向きな気持ちになりました。私のやりたいことを丁寧に整理してもらえて、どんな人に来てもらいたいのか、どんな風に伝えたらいいかを一緒に考えてもらえたのが本当にありがたかったです。
看板を出してから「通りがかって気になってました」と言ってくれる方が増え、チラシを見て来てくれたお客様もいらっしゃいました。SNS広告も思った以上に効果があり、LINEのクーポンを使ってリピーターになってくださる方も増えました。
これからも富田林市で、地域の皆さんに喜んでもらえるお菓子を丁寧に作っていきたいと思います。最初の一歩を後押ししてくださって本当にありがとうございました。