※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご相談をいただいたのは、大阪府泉大津市の商店街で長年婦人服専門店を営んでいる60代女性の方でした。これまで常連のお客様を大切にしながら堅実な経営を続けてこられましたが、近年は高齢化による来店頻度の減少や、近隣大型ショッピングモールとの競争激化に直面されていました。
また、店内の床や照明、試着室なども年数が経過して老朽化しており、「来てもらえるお店」から「立ち寄りづらいお店」になりつつあるのではという不安を抱えておられました。
ただ、設備改装や広告などにまとまった資金をかけたことがなく、どこから手をつけてよいか分からないとのことで、商工会からの紹介で当事務所にご相談をいただきました。
ヒアリングを進めるうちに、「高品質で丁寧な接客」という長年の信頼をベースに、新規の顧客層へも訴求できる可能性があることが見えてきたため、小規模事業者持続化補助金の活用を提案いたしました。
担当行政書士のコメント
このケースでは、事業としての強みを明確に打ち出すことが審査対策の要でした。相談者様の店舗は長年の実績と地域密着の信頼を積み重ねてきた一方で、内装が古く、新規顧客からは「入りにくい店」に見られてしまうという課題がありました。
そこで、内装の改修によって店舗イメージを刷新し、チラシによってその変化を積極的に周知するという構成で事業計画を組み立てました。
内装工事では、入口付近の床張替えと照明のLED化、試着スペースの壁紙・カーテンの更新など、比較的低予算ながら効果の出やすい部分を優先的に改修項目として設定しました。
これにより、初めて来店されるお客様にも安心感と清潔感を与える空間が生まれることを計画書に明記しました。
チラシ制作については、店舗の歴史や商品へのこだわり、スタッフの紹介、来店特典などを盛り込んだ内容でデザイナーに外注し、泉大津市内の住宅街を中心にポスティング業者を使って配布する予定としました。
特にターゲット層は50代以上の女性と設定し、写真や文字サイズにも配慮した設計をすることで、反応率の向上を狙う構成としました。
補助金の申請書類では、「なぜ今このタイミングで投資が必要なのか」「店舗改装とチラシがどう売上に結びつくのか」という点を中心に記載し、既存顧客の維持だけでなく、新規顧客の開拓という目的もはっきり打ち出しました。
商工会との連携も良好で、事前確認をスムーズに済ませることができ、提出後の修正もなく、無事に50万円の満額交付決定がなされました。
お客様の声
これまでずっとお客様に支えてもらってきましたが、時代の流れの中で「今のままでは続けていけないかもしれない」と感じるようになってきました。
店の中も昔のままで、慣れている方はそれでも大丈夫ですが、新しいお客様から見ると「ちょっと入りづらい」と思われていたかもしれません。
補助金という言葉は聞いたことがありましたが、自分のお店が対象になるなんて思ってもいませんでした。
でも、相談を通じて、今の課題と向き合い、変えていくチャンスだと気づかせてもらい、一歩踏み出す勇気が持てました。
チラシを配ったあとの週末には、普段は来られない年代の方が訪ねてくださって、「こんな店があったんですね」と言ってもらえたときは本当に嬉しかったです。
改装して明るくなった店内で、また新たなお客様との出会いが生まれていることに感謝しています。背中を押してくださってありがとうございました。