※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご相談をいただいたのは、大阪府羽曳野市在住の30代女性で、カフェでの勤務経験を経て「自分の店を持ちたい」という夢を抱いていた方でした。
ただ、固定店舗を持つには初期費用がかかりすぎるため、まずは移動販売の形で小規模に始めることを検討されていました。羽曳野市内の公園やイベント、オフィス街への出店を想定し、軽バンベースのキッチンカーを使った移動式カフェの開業を目指していました。
キッチンカーの購入費用だけでなく、給排水設備や電源工事、冷蔵機器、営業許可の取得などにもコストがかかるため、自己資金だけでは足りず、日本政策金融公庫からの創業融資を検討されていました。
しかし、事業計画書をどう書くかが全く分からないとのことで、ネット検索から当事務所を見つけてお問い合わせいただきました。
当初のヒアリングでは、提供予定のメニューは決まっていたものの、価格設定や仕入れ先、営業スケジュールなどが曖昧であったため、審査に耐えうる計画を作成するための整理からスタートしました。
担当行政書士のコメント
移動販売型のカフェは、設備費が比較的抑えられる反面、開業後の運営に対する不安や収支の予測が難しいことから、融資の審査では実現可能性と収益モデルの説明が特に重要となります。
そこでまず、営業日数・販売個数・客単価・原価率といった要素を丁寧にすり合わせ、事業の成長見込みを数値で示すことに注力しました。
ご相談者様は、過去にカフェで働いていた経験があり、ドリンクメニューの開発や接客には自信をお持ちでした。その経験をもとに、なぜ移動販売に適しているのか、どのようなターゲット層に向けたサービスなのかを、説得力のある表現で盛り込みました。
また、羽曳野市内で行われる地域イベントやマルシェへの出店予定も具体的に記載し、固定の営業先がなくても収入見込みが立つことを補足しました。将来的にはSNSや地元企業とのタイアップによる集客も視野に入れていることを記載し、長期的な展望も明確にしました。
資金使途については、キッチンカー本体の費用、初期の仕入れ資金、営業許可取得費用、ガス・水回り工事、冷蔵設備の導入費を明確に区分し、それぞれの見積書を取得したうえで添付しました。
事業計画書の構成と連動するように資金計画書を整理し、面談時にも一貫した説明ができるように、想定問答集も併せて提供しました。
結果として、申請から約3週間後に創業融資300万円の実行が決定し、キッチンカーの納車と設備工事もスムーズに進みました。
お客様の声
何から始めたらいいのかまったく分からない状態だったので、相談して本当に良かったです。最初は「車を買って、営業すればなんとかなるかな」と思っていたのですが、融資を受けるためにはしっかりした計画と準備が必要だということを学びました。
ヒアリングの中で、自分の考えていた事業の方向性が明確になっていき、「なぜこの事業をやりたいのか」「どんなお客様に届けたいのか」を言葉にできたのは貴重な経験でした。
書類の作成もひとつひとつ丁寧にアドバイスしていただき、安心して提出まで進めることができました。
無事に融資が通り、車も納車され、今は羽曳野市内のイベントや公園に出店しながら営業しています。最初の一歩を支えてくださって本当にありがとうございました。