※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご相談いただいたのは、大阪府松原市で長年主婦として家庭料理をふるまってきた40代の女性の方でした。地域の知人や家族から「あなたの料理でお店をやればいいのに」と勧められることが増えたことをきっかけに、本格的に独立を意識され、商店街の一角にあった居抜き物件を見つけて開業準備に入りました。
ただし、現状の自己資金では厨房機器の追加購入や店内の改装費用をまかなうのが難しい状況で、日本政策金融公庫の創業融資の活用を検討されていました。
創業計画書や資金計画の作成は初めてで、何をどう書けば審査に通るのか分からないとのことで、当事務所にご相談をいただきました。
当初の事業計画は、提供メニューや営業時間、仕入れルートなどが曖昧であり、数字の裏付けも不足していたため、まずは事業の骨格を一から整理する作業から始めました。
事業の強み、立地条件、ターゲット層、収支見込み、資金使途など、金融機関にとって必要な情報を具体的に言語化し、審査担当者に伝わりやすい構成に組み直していきました。
担当行政書士のコメント
本件で特に注力したのは、事業の「実現可能性」と「地域密着性」の明示でした。相談者様のように飲食業が未経験の方でも、主婦として20年以上家庭料理に携わってきた経験を、どのように事業に活かすかを丁寧に表現することがポイントでした。
まず、家庭料理の技術がそのまま店舗経営に直結するとは限りませんが、地元住民に親しまれやすいメニュー構成や、健康志向の品目選定など、主婦経験を強みに変える視点を盛り込みました。
また、地域の高齢者やファミリー層に受け入れられやすい価格帯設定や、定休日・営業時間を考慮した経営スタイルも事業計画書に反映させました。
数値面では、売上見込みと利益率を細かく設定し、変動費と固定費を丁寧に区分して月次損益計画を作成しました。併せて、資金使途として厨房機器の購入費、内装工事費、運転資金の割合も具体的に記載し、「融資がなぜ必要か」「それがどのように事業を支えるのか」を論理的に示しました。
また、面談対策として想定問答を用意し、「なぜ松原市で開業するのか」「飲食経験がない中でどうやって顧客を集めるのか」など、よくある質問に対する回答を事前に準備していただきました。
その結果、初回面談から約3週間後には無事に500万円の融資が実行され、設備工事も計画通りに進行することができました。
お客様の声
自分の料理でお店を開くのは昔からの夢でしたが、お金の問題や書類作成の難しさに不安ばかりが先立って、なかなか一歩を踏み出せずにいました。
そんなときに親戚からこちらを紹介してもらい、相談してみたのがすべての始まりでした。
最初は頭の中のイメージだけで進めていましたが、事業計画書を作る過程で、具体的な数字やスケジュールを立てることの大切さに気づかされました。
特に、面談に向けてのアドバイスや、予想される質問への答え方を一緒に考えていただけたことが、とても安心につながりました。
融資が決まったときは本当に信じられない気持ちでしたが、今では毎日厨房に立って、自分の料理を笑顔で食べてくれるお客様がいることが本当に幸せです。
ここまで支えてくださったご縁に、心から感謝しています。