※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご依頼者様は以前、家具製作の職人として修業を積んだ後、「自分の木工作品を直接販売したい」「手作りの雑貨を見ながらカフェでゆっくりした時間を提供したい」との夢を育んでおられました。貝塚市中心部にある空き店舗物件を見つけ、自ら手を入れて工房兼店舗カフェとして活用したいと考えて準備を始めました。ただし、建物の改装費、厨房とカウンター設備、専用什器や工具、内装仕上げ、集客ツールの導入・開業後の運転資金などを含めると、自己資金では約400万円不足することが判明しました。そのため、創業融資による資金調達を真剣に検討されました。
しかし、創業融資申請には「事業の収益性」「返済計画」「根拠を示す数字」「面談時の説得力ある説明」などが求められ、不慣れな中で準備を進めるのは難しいと感じ、専門的な支援を必要と判断。当事務所にご相談いただいた流れです。
担当行政書士のコメント
本案件では「手仕事の魅力」と「収益モデルの現実性」の両立が重要でした。貝塚市は住宅地中心ですが、木工クラフトやカフェ文化に関心のある層も一定数存在すると推察され、複合業態としての可能性は高いと判断しました。そこで、ヒアリングを重ねてご依頼者様の作品ジャンル、価格帯、製作時間、顧客対応フローなどを洗い出し、事業計画書の構成に反映しました。
まず資金使途を整理し、店舗物件の改装工事費(床・壁・照明・カウンター製作)、木工工具や什器、エスプレッソマシン等の厨房設備、備品・消耗品費、広告宣伝費、イベント出店費、開業後数ヶ月分の運転資金を見積書と対応付けて明記。金額の根拠を明示することで、金融機関からの信頼性が格段に高まりました。
事業計画書には、提供商品(手作り雑貨・コーヒー・焼き菓子)、価格設定、1日の制作・販売数や来店数の想定、収支シミュレーション、競合分析、提供スタイル(ワークショップ併設、注文生産など)を盛り込み、新しいタイプの店舗としての差別化を明確化しました。例えば、雑貨一つ平均価格1,500円、コーヒー500円、日販20組を想定し、月間売上200万円程度を目指す計画を立てました。
面談対策としては、「開業後に顧客が定着しない場合の対応」「材料費上昇時の代替案」「競合店との差別化」「万一赤字になった場合の予備資金」などを想定し、模擬面談を実施しました。これによりご依頼者様は自身の言葉で丁寧に計画を説明できるようになり、面談本番でも安定感ある対応ができたとのことです。
その結果、申請後約3週間で希望額の430万円が承認され、満額に近い金額が実行されました。自己資金と合わせて改装工事を完了し、什器や設備を整え、内覧会・ワークショップオープンを実施。開業後には木工製作体験イベントとSNS投稿を連動させ、地元住民や周辺市からの集客を実現し、初月から黒字化に成功しています。
お客様の声
木工とカフェを融合した店を持ちたいという思いを温めてきましたが、現実的な資金や計画書作成では到底ひとりでは進められないと感じていました。行政書士の先生には、製作ジャンルや集客ターゲット、数字面の裏付けなど、細かく一緒に整理していただき、大きな安心感が得られました。
面談も最初は緊張しましたが、想定質問に丁寧に答えられるよう準備していただけたおかげで、自分の言葉で冷静に話せたことがよかったです。結果的に融資が下りて、製作と開業準備が順調に進み、夢中になれる空間を形にできました。
お客様からは「こんな雰囲気いいね」「木の温かみが感じられる」といった感想が続々とあり、SNSでも「ここ素敵」とシェアされるようになりました。地域の方とも交流が増え、イベントでの集客もしやすくなりました。支えていただいた先生には、本当に感謝しています。