※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご依頼者様は、大阪府豊能町の自然豊かな立地を活かし、地元産の米粉や卵、野菜などを使った焼き菓子を製造・販売する個人事業を営んでいました。農家の知人と連携し、無添加・無着色を大切にした手づくりのお菓子は町内の道の駅や直売所で好評を博していましたが、売上は頭打ちの状態にありました。
「もっと多くの人に知ってもらいたい」「ネットでも販売したい」と考えたご依頼者様は、オンライン販売の強化やイベント出店、商品の魅力を伝えるパッケージ刷新などに取り組むことを検討していましたが、そうした広報・販促にかかる費用を自己資金だけで賄うのは難しい状況でした。
ちょうどその頃、商工会の窓口で小規模事業者持続化補助金の存在を知り、申請を考えるようになったそうです。しかし、「書類の書き方が難しそう」「事業計画をどう書けば通るのか不安」とのことで、地域で実績のある当事務所に申請支援を依頼されました。
担当行政書士のコメント
ご依頼者様の製品は「地域性」と「安心・安全」がしっかり打ち出された魅力ある商品でしたが、それが伝わるための仕組みがまだ整っていないという印象を受けました。補助金の申請においては、単に「お金が欲しい」という理由ではなく、「どう使って、どう成果につなげるのか」という点を明確に示すことが重要です。
今回は、補助対象経費として以下のような取り組みを計画に落とし込みました。まず、ネットショップ機能付きのホームページを新たに構築し、地域外からの注文にも対応可能な体制を整えること。次に、商品のパッケージデザインを一新し、素材の魅力やストーリー性を伝えられるようなラベル構成に変更すること。加えて、地元のイベントやマルシェへの出店費用や、その際に配布するチラシやパンフレットの制作費用も盛り込みました。
事業計画書には、現在の販売実績と、補助事業によってどのように売上が増加する見込みか、どのようなターゲット層に訴求していくか、どの程度の期間で費用対効果が見込まれるか、などの仮説と数値を明記しました。ご依頼者様の熱意や誠実な姿勢が評価され、申請は無事に採択。補助金を活用した諸施策も計画通りに実施されました。
現在では、豊能町内だけでなく、大阪市内のオーガニックショップやマルシェへの卸販売も始まり、売上は前年度比で約35%増加しています。SNSからネット注文への導線も強化され、リピーターも着実に増えてきています。
お客様の声
地元の農産物を活かしたお菓子作りをしてきましたが、「味には自信があるのに、なかなか売れない」と感じていた時期がありました。自分だけで販売や広報までこなすのは難しくて、限界を感じていたところで補助金のことを知り、専門家の力を借りようと決めました。
初めは「こんな田舎の小さな工房が補助金をもらえるのだろうか」と不安でしたが、先生と打ち合わせを重ねていく中で、自分の強みや、地域の素材を活かしていること、安心・安全な商品づくりをしていることに改めて気づくことができました。事業計画書も、自分ひとりでは思いつかないような視点を加えてもらえて、納得感のある申請ができたと思います。
無事に採択されたときは本当に嬉しくて、今では新しいパッケージのおかげでお客様の反応も変わりましたし、遠方からも「ネットで見て気になって注文しました」と連絡をいただくようになりました。
小さな一歩かもしれませんが、自信と可能性をもらえたことが何よりの成果だと思っています。これからも、もっと多くの人に豊能のおいしい素材の魅力を届けられるよう、頑張っていきたいです。