※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご依頼者様は、大阪市内で長年パティシエとして勤務された経験を持つ女性で、子育てを機にご実家のある豊能町へ戻って来られました。もともと「いつか自分の店を持ちたい」という夢を持っていたものの、子育てとの両立や資金面の不安からなかなか一歩を踏み出せずにいたといいます。
豊能町には、おしゃれなカフェや焼き菓子店が少なく、若い世代が集える場所が限られているという課題がありました。ご依頼者様は、地域住民が気軽に立ち寄れるカフェスペースを作り、地元の野菜や卵を使ったオリジナルメニューを提供したいと強く考えておられました。場所は空き家となっていた祖父母宅の一部を改装して利用する予定で、物件取得コストを抑えることができることも後押しとなりました。
そこで、設備投資や内装改修、厨房機器の導入費用をまかなうため、創業融資の制度を活用したいというご相談をいただきました。最初に金融機関に相談したものの、創業時には事業計画の精度や自己資金の比率、販路の見込みなどを厳しく問われることが多く、独力で進めるのは難しいと感じられ、当事務所にご依頼いただきました。
担当行政書士のコメント
創業融資では「実現可能性の高い事業計画書」の提出がカギを握ります。本件では、パティシエとしてのキャリアや、これまで手がけてきたメニュー・レシピの強みを活かし、商品力の明確化から取り組みました。また、地元とのつながりを活かし、周辺農家や近隣住民からの支援の声、事前アンケートなども資料として添付することで、地域性のあるストーリーを計画書に落とし込みました。
売上予測については、1日平均客数と客単価、営業日数をもとに保守的なシナリオで試算し、3年間の収支計画書を作成。また、自己資金と融資希望額のバランスや、初年度の広告費・人件費の配分についても細かく整理し、「資金が適切に使われる見通し」を示しました。
さらに、創業後の集客対策としては、InstagramやLINE公式アカウントを活用した情報発信、町内のイベントとの連携、テイクアウト対応やキッチンカーによる出張販売の計画など、複数の販路構築策を提案。これにより、収益の安定性と拡張性がある点を強調することができました。
結果として、日本政策金融公庫から希望額満額に近い融資を獲得。審査期間も1ヶ月程度で、スムーズに決定されました。現在では、地元の子育て世代やシニア層の憩いの場として定着しつつあり、週末には町外からもお客様が訪れる人気カフェへと成長されています。
お客様の声
長年の夢だった「自分のカフェを持つこと」が、まさか本当に叶うとは思っていませんでした。もともとパティシエとして働いていたときから、自分で考えたレシピでお客様に喜んでもらえるのが大好きで、いつか地元で…と考えていましたが、創業融資の手続きは本当に難しそうで、自分ひとりでは無理だと感じていました。
こちらの事務所に相談してからは、自分の考えがどんどん形になっていくような感覚で、事業計画や資金計画も丁寧に教えていただきながら作ることができました。金融機関とのやり取りもフォローしてくださって、本当に心強かったです。
オープンしてからは、思っていた以上に地域の方々が応援してくださって、「こんな店がほしかった」と言ってもらえるのが嬉しくてたまりません。週に何度も通ってくださる常連さんもできて、お客様との会話が本当に楽しいです。
事業が始まったばかりでまだまだ課題も多いですが、スタートラインに立てたこと、そしてその第一歩を支えてくださったことに感謝しかありません。これからも、地域の方に愛されるお店を目指して頑張っていきたいと思います。