※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
依頼者様は、飲食業界で20年以上のキャリアを積んできた日本人男性です。大手チェーンの店長やエリアマネージャーを歴任し、マネジメントから現場まで広い経験をお持ちでした。独立を考え始めたのは数年前からで、「次は自分の名前で店を出したい」という思いを温め続けておられました。
タイミングを見計らい、退職と同時に大阪市住吉区内で物件探しを本格化。駅から徒歩数分、商店街から一本入った場所にちょうど良い空き物件を見つけ、内装も厨房設備も自身で手配できる目処が立ったものの、問題は資金調達でした。自己資金は200万円程度ありましたが、内装・設備・運転資金を含めると少なくとも500万円は必要で、不足分を日本政策金融公庫の創業融資でまかないたいという意向をお持ちでした。
ネットで調べて書類に取りかかろうとしたものの、計画書の書き方が分からず、自分の頭の中の構想を「数字にする」難しさに直面。さらに面談で何を聞かれるのか、どこを重視されるのかなども不安で、「専門家に伴走してもらいたい」との思いから、当事務所へご相談いただきました。
担当行政書士のコメント
依頼者様は、店舗運営に必要な知識と現場経験を十分に持っておられたものの、それを客観的な計画書にまとめる部分で苦戦されていました。特に「どれくらいの売上が見込めるか」「仕入れはどうするのか」「価格設定と利益率のバランス」などの項目については、慣れない数字の扱いに不安がある様子でした。
まずはヒアリングを通じて、ターゲット層や提供メニューの構成、日々のオペレーションなどを細かく伺い、それを元に創業計画書を骨太に仕上げるところからスタートしました。居酒屋業態の場合、客単価の算出にはアルコール比率や回転率も関係してくるため、実績に基づいた現実的な予測を重視しました。
金融機関への印象を高めるため、創業の動機や飲食業への情熱、地元への愛着を文章でしっかり表現しました。また、数字の部分では、損益分岐点分析や初年度の月別収支シミュレーションを作成。収益だけでなく、資金繰りの観点からも無理のない運営ができる体制であることを明確にしました。
さらに、公庫面談に向けた模擬練習も行い、「どんな質問が来ても自分の言葉で答えられる」ように準備を整えました。依頼者様の誠実な人柄と実直な語り口は大きな強みで、最終的には満額となる300万円の融資が通過しました。開業後も週末は満席になる日が続き、地元住民に愛される店として、順調に経営されています。
お客様の声
「居酒屋をやりたい」と思い続けてきましたが、実際に行動に移そうとすると、何から手をつけていいのか分からないことばかりでした。物件を見つけたのは良かったのですが、資金の問題が大きく、融資を受けられなければ何も始まらない状況でした。
創業融資の存在は知っていたものの、正直なところ「どうせ書類を作っても通らないのでは」と半分あきらめていました。でも、こちらに相談してから流れが変わりました。まず話をしっかり聞いてくれて、「それならこうしましょう」と段取りを組んでくれて、安心して任せることができました。
計画書の中で、売上や利益の計算を一緒にしてもらい、自分の頭の中にあった構想が形になっていくのがとてもありがたかったです。面談も本番前にしっかり練習していただいたおかげで、自信を持って臨むことができ、無事に希望額の融資を受けることができました。
今では、店を訪れてくださるお客様が「こういう居酒屋がほしかった」と言ってくださり、地域に受け入れられているのを実感しています。あのとき、一歩踏み出して相談して本当に良かったと心から思っています。