※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
K様は韓国で惣菜の製造・販売を手がける個人事業主として長年営業しており、特にキムチやナムルといった発酵食品を中心とした惣菜を得意としていました。韓国国内では一定の顧客を獲得していましたが、日本に住む親族を訪ねた際に「日本でも韓国の家庭料理を手軽に購入できる惣菜店が少ない」という声を多く聞いたことがきっかけとなり、日本での開業を検討するようになりました。
とくに大阪市西成区は、韓国人コミュニティも存在し、多国籍な料理が集まる街としても知られており、親しみのある文化の中で開業したいという気持ちが強かったそうです。当初は開業に必要な手続きや要件がまったく分からず、インターネットで当事務所を見つけていただき、ご相談を受けました。
担当行政書士のコメント
K様のように、母国での実務経験が豊富で、かつすでに日本に生活基盤を築く親族がいる方の場合、ビザ審査においても事業の現実性や安定性を示しやすく、比較的有利な条件で申請ができる傾向にあります。しかしながら、経営管理ビザにおいては、「事業の継続性」と「独立性」、そして「事業計画の合理性」が審査の最大の焦点となります。
K様は資本金500万円をすでに準備しており、送金記録や日本の銀行口座の残高証明書を提出することができました。加えて、日本での物件も内定済みで、商店街の空き店舗を活用する形で、すでに不動産契約書案と店舗レイアウト案も提示いただいていたため、申請準備は比較的スムーズに進行しました。
もっとも課題となったのは、事業計画書の精度でした。K様の作成した初期案では、店舗の売上や費用の予測が大まかで、日本の食品衛生法や人件費相場などを反映したものになっておらず、このままでは「実現可能性が低い」と評価されるリスクがありました。そこで、当事務所にて一からヒアリングを行い、メニュー単価、回転率、来店客数、開業後3年間の損益計画、業務フロー、仕入れ先の選定基準、商圏分析を反映した本格的な事業計画書を再構築しました。
また、惣菜製造に必要な設備リスト、内装工事の見積書、食品衛生責任者講習の受講予定証明、保健所との事前相談記録なども添付し、行政手続きの準備が万全であることを客観的に示しました。
法人設立に関しては、定款、発起人会議事録、代表取締役の印鑑証明書、法人印の届け出など、すべてを当事務所で書類作成・登記手配までワンストップでサポート。さらに、韓国からの来日に必要な在留資格認定証明書交付申請書を完成させ、法務省への提出を行いました。
審査期間中には、追加資料の提出依頼もありましたが、K様がかつて発行していた韓国内の納税証明書や営業許可証を翻訳・添付することで、経営実績の裏付けとして高い評価を得ることができました。結果として、申請から約2か月で認定証明書が交付され、K様は無事に経営管理ビザで来日。現在は西成区内の商店街で、手作りの韓国惣菜を提供する店舗を開業し、地域住民からも高い支持を得ています。
お客様の声
私は韓国で長く惣菜の仕事をしてきましたが、日本でもっとたくさんの人に韓国の家庭の味を知ってもらいたいと思い、開業を考えました。でも、ビザや手続きのことは何も分からなくて、最初はとても不安でした。
日本語もまだ十分に自信がなかったので、行政書士の先生にお願いして本当に助かりました。とても優しく、ゆっくりと説明してくれて、私の話もよく聞いてくれました。事業計画のことも、何が必要かを一つひとつ教えてもらい、自分の強みがどこにあるのかも一緒に考えてくれました。
書類がとても多くて大変でしたが、すべて準備をしてくれたおかげで、韓国にいながらも安心して申請を待つことができました。無事にビザが下りて、日本で開業できたことは、私の人生でとても大きな喜びです。
今では、毎日たくさんのお客様が来てくれて、「おいしい」「懐かしい味がする」と言ってくれるたびに、やってよかったと感じます。これからも頑張って、多くの人に韓国の味を届けていきたいです。先生、本当にありがとうございました。