※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
T様はかつて技能実習生として3年間、日本の焼肉店で働いた経験があり、誠実で責任感のある勤務態度から、店主や同僚に非常に信頼されていました。技能実習修了後に一旦ミャンマーへ帰国したものの、「もう一度日本で働きたい」という強い希望を持ち、技能実習修了後も日本語の学習を継続。2024年には外食業分野の特定技能測定試験および日本語試験(JFT-Basic)に合格しました。
これを受けて、T様はかつて勤務していた大阪市西成区の焼肉店に連絡をとり、「特定技能で再び働きたい」と申し出ました。店主も「また彼と一緒に仕事がしたい」と再雇用を前向きに検討。ただし、特定技能制度に関する実務経験がなく、必要な手続きや提出書類の多さに不安を感じていたため、当事務所にビザ取得までの一括サポートをご依頼いただきました。
担当行政書士のコメント
本件のように、技能実習修了者が再来日して同じ飲食店で働くケースは、特定技能制度の趣旨とも一致しており、ビザ審査上も合理性があるとされやすい傾向にあります。ただし、「技能実習と同様の業務内容であること」「技能実習修了後に必要な試験に合格していること」「受け入れ企業側の支援体制が整っていること」を明確に書類で示す必要があります。
まず、T様が合格した「外食業分野特定技能測定試験」と「日本語試験」の合格証明書を収集し、制度上の形式要件を満たしていることを確認しました。その上で、技能実習中の職務内容と、今回の雇用契約での業務が継続性を持っていることを、過去の就業記録や評価書、職場写真などを活用して具体的に裏付けました。
雇用主である焼肉店の店主とは何度も面談を行い、実際に提供できる支援内容をヒアリングしたうえで「外国人支援計画書」を作成。住宅の提供、行政手続きへの同行、日本語支援、生活相談窓口の整備、緊急時の対応体制など、支援内容を具体的かつ実行可能な形に落とし込むことに注力しました。とくに個人経営の小規模店舗においては、支援計画の「現実性」が重要視されるため、あえてシンプルかつ実行可能性の高い内容に絞ることで、実態に即した形に仕上げました。
また、雇用契約書では、業務内容(厨房での調理補助・盛り付け・洗い場など)、労働時間、休日、給与、社会保険加入状況などを詳細に記載。日本人従業員と同等以上の待遇であることを明記し、労働条件面での不備がないように注意を払いました。
申請から約6週間で在留資格認定証明書が交付され、T様は無事に来日。現在は再び店舗で調理補助や仕込みを中心に活躍しており、店主からも「前よりもさらに成長している」と高い評価を受けています。
お客様の声
以前、T君がうちの店で技能実習生として働いていた頃から、本当にまじめで、礼儀正しくて、すごく助けてもらっていました。3年の実習を終えて帰国する時には、店のスタッフ全員で送り出して、またいつか戻ってきてくれたらいいなと話していたんです。
それからしばらくして、本人から「特定技能の試験に合格した」と連絡があった時は、本当に驚きましたし、うれしかったですね。でも、こちらも初めての制度で、何から始めたらいいかも分からず、正直かなり不安でした。
そんな中で行政書士の先生にお願いして、本当に助かりました。最初の段階から、何を用意すべきかを順番に教えてもらえて、面倒な支援計画のところも一緒に考えてくれました。「個人経営の店でも支援体制はつくれる」と励ましてもらえたのが大きかったです。
申請してからは、こまめに進捗も教えてもらえて安心できましたし、無事にT君がまた戻ってきてくれた時は、みんなで歓迎しました。今はもう戦力としてバリバリ働いてくれていて、お客さんからの評判も上々です。
今後も、またこういう制度を使って外国人の若者を応援できるなら、前向きに取り組みたいと思っています。今回は本当にありがとうございました。