※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
Y様は中国で中華料理の国家資格を取得した後、日本の中華料理店で技能ビザにより5年間勤務していました。調理場での実務経験を積む中で、「いつかは自分の店を日本で持ちたい」という夢を抱くようになり、5年間の滞在を終えて帰国後も、その想いを温め続けていました。
帰国後は母国で資金を貯め、同時に日本語学習も継続。自身の料理の腕に自信があったY様は、再来日して大阪で「中国の伝統的な宴席料理をベースにした高級中華料理店を開きたい」と決意されました。物件探しや事業計画の概要はすでに準備されており、経営管理ビザ申請に必要な一式を整えたいとのことで、当事務所にご相談がありました。
担当行政書士のコメント
Y様のように、技能ビザでの来日経験があり、日本の飲食業界の慣習や商習慣にも理解がある方は、経営管理ビザの審査でも比較的プラス評価がされやすい傾向にあります。しかし、調理師としての経験と経営者としての資質は別物と見なされるため、事業計画の構成や資金の流れ、経営体制をいかに実務的に説明できるかがポイントとなります。
まず、開業予定地の物件は大阪市中央区心斎橋にある元レストランの居抜き物件で、即営業可能な状態でした。賃貸借契約書、店舗のレイアウト図、厨房設備の写真などを資料として整理し、営業開始が現実的なものであることを強調しました。
次に、Y様が作成された事業計画書に大幅な修正と補強を加えました。店舗のコンセプト、ターゲット層(ビジネス層や富裕層)、営業時間やメニュー単価、1日あたりの来客数の想定、1年間の収支計画、広告・集客戦略(インバウンド観光客向けのSNS活用など)を項目別に分け、数字の根拠を明確化しました。
また、Y様は資本金500万円をすでに用意しており、その入金記録や送金履歴、銀行の残高証明なども一式提出しました。さらに、自身の調理師資格や技能ビザ時代の雇用契約書、勤務証明書を添付し、「料理人としての実績」が単なる夢物語ではなく、実現可能な開業構想であることを証明しました。
あわせて、法人設立に関する書類(定款案、発起人会議事録案、代表者印鑑証明など)も準備し、開業予定日を基準にスケジュール管理しながら進めました。審査官にとって分かりやすい「実行可能な起業計画」を作成できたことが、審査通過につながった大きな要因だったと感じています。
申請から約6週間で在留資格認定証明書が交付され、Y様は無事に経営管理ビザで来日。開業準備を進め、現在は中央区心斎橋で本格的な中華料理店を営業中です。
お客様の声
私はずっと、自分の店を持ちたいという夢を持っていました。日本で5年間働いた時、多くのお客様が本当に料理を楽しんでくれて、それが私のやる気につながりました。中国に帰ってからもずっとその気持ちが消えず、家族の応援もあり、ついに日本で開業することを決意しました。
でも、経営管理ビザというのは聞いたことがなくて、どうやって取るのかもまったく分かりませんでした。ネットで調べてみても複雑な内容が多くて不安でした。そんな時に、行政書士の先生に相談しました。最初から最後までとても丁寧に説明してくれて、何を準備すればいいかを全部リストにしてくれました。
特に事業計画書の部分では、「日本の審査官に伝わる形で書くこと」が大切だと教えてもらい、自分のアイデアをもっと具体的に数字にしたり、写真を使って分かりやすくしたりしました。物件探しや法人の設立、銀行の準備まで、全部サポートしてもらえて、安心して進めることができました。
ビザが許可されたときは、本当にうれしかったです。今は自分の料理を出せる店があり、たくさんのお客様が来てくれる日々に感謝しています。自分ひとりではできなかったと思います。本当にありがとうございました。