※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
L様は中国出身で、日本の大学へ正規留学し、経営学部で主に国際貿易や会計、マーケティングなどを学ばれていました。在学中から日本での就職を希望しており、日本語能力試験N1も取得済みで、卒業後すぐに大阪市中央区にある中小の貿易会社から内定を受けました。
この企業は主に雑貨や衣料品などを中国から輸入し、日本国内の小売業者へ卸販売を行っている会社で、長年の取引先と信頼関係を築いている堅実な企業です。L様は、母国語である中国語を活かして、中国メーカーとの交渉や価格交渉、納期調整などを担うポジションで採用されることになりました。
しかしながら、この企業ではこれまで外国人社員を雇用した経験がなく、在留資格の申請手続きに不安を感じていました。またL様も、大学での専攻が今回の職種と関連しているかどうか、企業側の体制がビザ取得に十分かどうかなど、複数の不安を抱えていたため、当事務所にご相談いただきました。
担当行政書士のコメント
L様のように、大学で経営学や国際ビジネスを専攻されている場合、職種が「貿易事務」や「海外仕入担当」であれば、学歴との関連性は高く評価されます。ただし、審査官にそれを正確に伝えるためには、職務内容を具体的に記載し、単なる事務作業や作業的な業務と誤解されないようにする必要があります。
まず企業側と面談を行い、L様が担当する業務の詳細をヒアリングしました。具体的には、中国の仕入先との価格交渉、発注書・納品書の作成、現地工場との納期調整、仕入商品に関する市場調査、さらには日本語による社内報告書の作成など、多岐にわたる知的業務であることが確認できました。
これらの内容を元に、職務内容説明書を日本語で詳細に作成し、学歴との関連性を補強するため、L様の大学での履修科目一覧、卒業論文の概要、成績証明書なども添付しました。また、本人が過去に行ったアルバイト(中国人観光客向け免税店での接客業務)や、日中両語を用いた社内通訳の経験などもビザ申請理由書に盛り込み、就業後に即戦力となることをアピールしました。
一方で企業側の信頼性についても重要な要素であるため、法人登記簿謄本、会社案内、取引先一覧、近年の決算書類、そして就業規則や36協定の写しも提出しました。外国人を雇用する初めてのケースであっても、労務管理が整っていることを伝えることで、審査上の不安を払拭する狙いです。
さらに、雇用契約書や労働条件通知書についても、日本人社員と同等の条件であることを明示し、就労に必要な社会保険加入や労働時間の設定なども漏れなく整備しました。
最終的に、申請から約5週間で許可が下り、L様は晴れて技術・人文知識・国際業務ビザでの就職が実現しました。
お客様の声
私は大学時代から「日本で働きたい」と思っていて、勉強もアルバイトも一生懸命頑張ってきました。日本語も自信があるし、貿易の仕事にもとても興味があり、内定をもらったときは本当に嬉しかったです。でも、その後にビザのことを調べてみると、いろいろな書類が必要だったり、職務内容と学歴が一致しないとダメとか書いてあって、とても不安になりました。
私も会社の人も、ビザの申請は初めてだったので、専門家にお願いしようということになり、行政書士の先生にサポートしていただくことになりました。最初の面談で、大学でどんなことを学んだか、会社でどんな仕事をするのかを詳しく聞いてくれて、ちゃんとつながりがあると説明してくれたので安心しました。
書類もたくさんありましたが、何を準備すればいいかひとつひとつ教えてもらえて、とても助かりました。私が作った文章も丁寧に直してくれて、内容をより分かりやすくしてくれました。
今は無事にビザが下りて、大阪市中央区のオフィスで毎日働いています。自分の中国語を活かせる仕事ができて本当に嬉しいです。これからも頑張って、日本と中国の架け橋になれるような仕事ができたらいいなと思っています。先生、本当にありがとうございました!