※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
T様は、日本の専門学校を卒業後、飲食業界での実務経験を積みながら、いつか自分の店を持ちたいという夢を描いていました。スリランカの伝統的な家庭料理を提供する店を開き、日本人や在日外国人に母国の味を広めたいという想いが強く、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で勤務していた飲食関連企業を退職し、独立を目指すことを決意されました。
住之江区は、住宅街と工場地域が混在し、固定客を確保しやすい立地であることや、外国人が比較的多く暮らしていることもあり、出店エリアとして選定されました。開業に向けては法人設立、店舗物件の確保、資本金の準備までは自力で進められていたものの、「経営管理ビザの申請が最も難関」との認識があり、当事務所にご相談いただくこととなりました。
初回のご面談では、すでに内装工事や業務用厨房機器の発注にも着手されており、「できる限り早く開店しないと資金的にも厳しい」との状況が明らかになりました。そこで、法人設立支援と並行し、ビザ申請までを一括でサポートするスキームを構築しました。
担当行政書士のコメント
経営管理ビザの申請では、「事業の実現性」と「事業の継続性」が重要な審査ポイントとなります。T様は、過去に飲食業界での実務経験が豊富にあり、かつ専門学校で経営・調理の知識を修得されていたため、事業を遂行する人物としての資質は十分に備わっていました。
まずは法人設立に必要な定款作成、登記、銀行口座開設などの手続きを当方で支援し、会社名義での物件賃貸契約へと進めました。物件は住之江区内の駅近くに位置し、通勤・集客の面でも優位性があり、近隣競合店の分析結果とも整合性が取れていました。
次に最も重要な事業計画書については、ターゲット層、メニュー構成、価格帯、1日の来客数見込、食材仕入れルートなどを詳細に分析し、月別の収支予測を2年間分作成しました。特にこだわったのは、スリランカ出身の調理者が作る本格的な味付けに対して、日本人顧客がどの程度受け入れやすいかをリサーチしたアンケート結果や、試食会のフィードバックなどを補足資料として添付した点です。
さらに、物件の写真・賃貸借契約書・レイアウト図・厨房機器の発注書・仕入れ先との取引証明・店舗運営スタッフの採用予定計画なども用意し、「既に事業が始まっている状態である」ことをアピールする書類群としてまとめました。T様の過去の納税実績や在職証明、日本語能力、居住歴なども整えて、在留審査における信頼性を高める工夫を行いました。
結果、提出からわずか約6週間で経営管理ビザの許可が下り、店舗のプレオープンにも間に合わせることができました。開業後は地域住民や外国人客を中心に来店が増え、開店初月から黒字化するなど、順調なスタートを切られています。
お客様の声
私は日本でたくさんの経験をしました。学校、アルバイト、会社勤務、そして人との出会いの中で「日本で自分のお店を開く」という目標を持つようになりました。スリランカの味をもっと日本に広めたいという夢を持っていましたが、経営管理ビザの手続きはとても難しいと聞いていました。
でも、先生と話して、手続きのことや必要な書類をとても分かりやすく説明してくれて、少しずつ不安がなくなりました。会社を作るときも、物件を借りるときも、いろいろサポートしてくれて本当に助かりました。
特に事業計画書は、自分で考えていた内容よりもずっと詳しくて、プロの力を感じました。試食会の内容を使って、味やメニューが日本人に受け入れられることを説明できたのもよかったです。
無事にビザが取れて、今は住之江区でお店を開いて毎日お客様と話せることがとても嬉しいです。これからもっと大きくして、スタッフも増やしていきたいと思っています。ありがとうございました。