※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
H社は大阪市住之江区に本社を置き、主に鮮魚や冷凍魚の加工・パッケージを行う食品会社です。以前から技能実習制度を活用しており、多国籍な人材を多数受け入れてきました。その中でも特に高い評価を得ていたのが、ミャンマー出身のUさんでした。
Uさんは3年間の技能実習期間中、真面目に勤務し、技術習得の姿勢も評価されており、同社内では「また戻ってきてほしい人材」として名前が挙がっていたとのことです。帰国後、UさんからH社に「特定技能で再来日したい」との連絡が入り、社内での検討の末、再雇用を決定しました。
しかし、特定技能ビザを申請するには、技能評価試験や日本語能力試験への合格、外国人支援体制の整備、支援計画の作成、そして入国管理局に対する詳細な書類提出が必要になります。H社では過去に技能実習生の受け入れ経験はありましたが、特定技能制度に関する理解や申請実績がなかったため、「制度に対応できるか不安」「間違いがあって不許可になったらどうしよう」と悩んでおられました。
そのような経緯から、当事務所に「確実に許可が下りるようにサポートしてほしい」とのご依頼をいただきました。早速、Uさんとネパール側の連絡体制を整え、企業との調整を開始しました。
担当行政書士のコメント
特定技能ビザでは、申請者本人が技能実習2号を良好に修了していることと、技能評価試験および日本語能力試験をクリアしていることが前提になります。今回のUさんは、技能実習中の評価も良く、帰国後すぐに必要な試験に合格していたため、申請資格自体には問題がありませんでした。
一方で、企業側の対応体制の構築が大きな課題でした。特定技能では、生活支援・業務支援のために「支援計画」の策定とその履行が義務付けられています。支援責任者と支援担当者の選任、外国人相談窓口の設置、生活ガイダンスの実施、行政手続きへの同行、日本語学習支援など、実務的な準備が多岐にわたります。
H社の担当者と打ち合わせを重ねながら、まずは社内体制の整理と支援実施スケジュールを確立。加えて、実施が難しい支援内容については、登録支援機関の利用も視野に入れ、費用対効果や実務負担のバランスを検討しました。最終的には自社で全支援を行う体制を整えることとなり、支援内容を具体的に文書化しました。
申請書類では、雇用契約書に日本人と同等の待遇が保障されていることを明記し、業務内容が過去の技能実習と連続性のある内容であることを説明。加えて、外国人雇用経験のある同業他社での過去事例との比較なども盛り込んで、審査官にとって納得感のある資料としました。
また、Uさんとの連絡にはZoomとメッセージアプリを併用し、本人確認や意向のヒアリングを行いながら、ネパール現地での必要書類(無犯罪証明書やパスポート関連書類など)の取得支援も併せて実施。国内外をつなぐプロセス管理も丁寧に対応した結果、約5週間で在留資格認定証明書が交付されました。
お客様の声
弊社はこれまでにも技能実習生を受け入れてきましたが、特定技能は初めての経験で、制度や要件の複雑さに正直とても不安でした。Uさんが戻って来たいという希望を伝えてくれたとき、「なんとか実現させたい」という気持ちはありましたが、自社だけで手続きを進める自信はありませんでした。
そんなときに、先生にお願いしてからは一つ一つの課題がクリアになっていきました。何から手をつければいいか、どんな書類が必要か、企業としてどう対応すればいいか、すべて明確に指導してもらえてとても助かりました。
特に支援計画については、現場の実情に合わせて一緒に内容を考えてくださり、無理のない形で制度対応ができたことが大きかったです。Uさんがまた現場で働いてくれるようになって、社員からも喜びの声が上がっています。
これからも継続的に特定技能を活用していく予定ですので、引き続きサポートをお願いしたいと思います。今回は本当にありがとうございました。