※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
R様は日本の専門学校を卒業後、在留資格「技術・人文知識・国際業務」にて大阪市内のIT企業に就職し、約3年間システムエンジニアとして勤務されていました。在職中から「いつか自分の力で外国人支援を含めたITサービスを展開したい」という思いを抱いており、独立のタイミングを模索していたとのことです。
2024年末、勤めていた会社の契約更新を機に退職を決断。自身のキャリアとスキル、人脈を活かし、母国の人々が日本で円滑に生活・就労できるための情報共有アプリと外国人向けIT支援サービスの提供を軸に、新たな法人を大阪市鶴見区で立ち上げることにしました。
しかし、法人登記を行い、事業を軌道に乗せる以前に、まず「経営管理ビザを取れるかどうか」が最大の関門でした。R様ご自身でも申請書類を調べていたそうですが、手続きの煩雑さや基準の難しさに戸惑い、確実に許可を得たいとのご希望から、行政書士によるフルサポートを希望されて当事務所にご相談いただきました。
担当行政書士のコメント
経営管理ビザの取得は、事業の構想が明確であっても、「書類としてどう伝えるか」「法的にどのように整えるか」が重要です。R様は事業に対する熱意と準備が十分で、法人の基本構想や資本金(500万円)の確保、テナント候補物件の選定など、実行に向けた基盤がすでに整っていました。
まずは会社設立のサポートからスタートしました。商号、目的、資本金、株主構成、役員構成などの定款内容を精査し、ビザ要件を満たす形で法人設立登記を進めました。同時に、事務所として使用する鶴見区内のテナント物件の賃貸契約を法人名義で締結。現地確認を行ったうえで、使用承諾書、契約書、平面図、内装写真なども添付資料として準備しました。
最も力を注いだのが事業計画書の作成でした。IT業界では抽象的な内容になりがちですが、行政審査上、収益モデルの具体性と実現可能性が問われます。R様のビジネスは「外国人向けの生活支援アプリ」と「受託開発」の2本柱だったため、それぞれのサービス内容、顧客ターゲット、集客方法、料金体系、競合分析などを詳細に記述し、月次の売上・利益計画を2年間分作成しました。
さらに、過去の職務経歴書、在職証明書、納税証明書などを通じて、日本での活動履歴と社会的信用を文書で裏付けました。特に日本語・英語・ネパール語に堪能であることを活かし、海外顧客対応の強みも強調しました。サーバー契約やアプリ開発の進捗状況なども証拠資料として添付し、単なる「計画」ではなく、すでに実行に移っているビジネスであることを明確に示しました。
申請から約7週間で無事に経営管理ビザの許可が下り、R様は法人代表者として正式に活動を開始されました。その後もSNSやクラウドワークスを活用して外国人向け案件の受注を拡大され、法人も順調に運営されているとの報告を受けています。
お客様の声
自分で日本に来て、学校を卒業し、就職もして、これまで本当に多くの経験を積みました。でも、いつかは自分の力でビジネスを始めたいという夢がありました。特に、日本に来る外国人が言葉や情報で苦労するのを見てきたので、ITの力でその手助けをしたいと思っていました。
ただ、経営管理ビザの手続きはとても複雑で、自分一人では絶対にできなかったと思います。先生に相談してからは、法人登記から事業計画、ビザ申請まで全部サポートしてもらえて、本当に心強かったです。
書類の準備もすごく丁寧で、何が必要かを分かりやすく教えてくれましたし、こちらが忙しいときも待ってくれて、一緒に進める感じで安心できました。今は鶴見区の小さなオフィスで、少しずつですがサービスを提供し始めています。これからもっと大きなプロジェクトを目指して頑張ります。ありがとうございました。
