※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
H社は、大阪市東住吉区で業務用冷凍食品や惣菜などを製造・出荷している中小企業で、慢性的な人手不足に悩まされていました。同社では数年前から技能実習制度を活用し、食品製造分野で複数名の外国人実習生を受け入れてきました。そのなかで、特に高い評価を得ていたのが今回対象となったLさんで、技能実習2号を良好に修了し、契約期間の終了に伴って中国へ帰国されていました。
帰国後もLさんは現地で食品製造業に携わりながら、日本語の勉強を継続していたそうで、「また日本で働きたい」という意志を持ち続けていたとのことです。Lさんからの連絡を受けたH社は、「ぜひ再雇用したいが、制度が変わっていて対応方法が分からない」と感じ、インターネットで調べて当事務所にご相談くださいました。
初回面談では、技能実習修了の記録、日本語能力、帰国後の職歴などを確認したうえで、Lさんが特定技能での申請条件を満たしていることを確認。制度概要と申請ステップ、必要書類、現地との連携方法などを丁寧にご説明し、全面的なサポートを開始することとなりました。
担当行政書士のコメント
特定技能ビザの申請においては、「本人が就労に適した技能と語学能力を備えているか」と同時に、「企業側が受け入れ体制を整えているか」が審査の大きなポイントになります。今回のように技能実習2号を良好に修了した方であれば、同一分野での特定技能ビザ申請において、技能試験と日本語試験が免除されるため、手続き上はスムーズな部類に入ります。
しかし、企業側の体制が整っていなければ申請は許可されません。H社様は技能実習制度には慣れていたものの、特定技能制度については初めての経験であり、支援計画の策定や就労環境の整備についてはゼロからのスタートでした。
まずは、雇用契約内容の見直しから着手しました。特定技能の要件に適合するよう、就業内容、労働条件、給与水準、時間外労働の範囲などを再構成し、外国人労働者に適切な待遇が保証されていることを明文化しました。また、外国人支援計画に基づき、住居の確保支援、生活オリエンテーション、日本語学習支援、行政手続同行、苦情相談体制などの内容を企業と協議し、実行可能な形で文書化して提出しました。
さらに、LさんとはWeChatやZoomを通じて連絡を取り、パスポート・修了証明書・日本語能力を証明する資料などを現地から送ってもらいました。中国側のスケジュールを考慮して、書類取得や公証のタイミングも調整しながら、在留資格認定証明書交付申請を進めていきました。
結果として、申請から約7週間で無事に在留資格認定証明書が交付され、中国国内でのビザ取得を経て、Lさんは再来日。現在では、大阪市東住吉区の工場で再び即戦力として勤務しており、業務品質の向上にも貢献しています。
お客様の声
Lさんの再雇用は、当社にとって本当に大きな意味を持っていました。以前の実習期間中も、非常に真面目で熱心に働いてくれて、他の社員との人間関係も良好でしたので、「できることならもう一度戻ってきてほしい」と強く思っていました。
ただ、技能実習と違って特定技能は制度が複雑で、最初は何から始めていいのかも分かりませんでした。行政書士の先生に相談してからは、制度の概要から現実的な準備スケジュール、企業側に必要な対応まで、全部段階的に教えていただき、安心して進めることができました。
書類の作成も一つひとつ丁寧に対応してもらえたので、社内で誰かが手続を丸ごと担う必要もなく、本業に集中できたのがありがたかったです。今ではLさんがまた工場に戻ってきてくれて、現場も明るくなりました。今後もこの制度を活用していきたいと思っています。ありがとうございました。