※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
ご依頼をいただいたのは、大阪市阿倍野区で高齢者介護事業を展開するN様法人です。同法人は3年前から技能実習制度を活用しており、ベトナム人技能実習生を受け入れていました。今回の主役となったLさんは、介護職種で2年間の技能実習を修了し、円満に帰国した実績のある人材で、勤勉かつ日本語能力にも優れ、現場の信頼も厚い存在でした。
Lさんは帰国後も介護業界で働きながら日本語の勉強を継続しており、日本での再就労を強く希望していました。N様法人も「ぜひもう一度うちで働いてほしい」との意思がありましたが、どのような在留資格で呼び戻せるのか、受け入れるための体制をどう整えればいいのかが分からず、行政書士である当事務所にご相談いただきました。
初回面談では、Lさんの技能実習歴や帰国後の活動状況、現在の日本語レベル、保有資格などを詳しくヒアリングしたうえで、特定技能ビザでの再入国が可能かどうかを法的・実務的に検討しました。Lさんは技能実習2号を良好に修了していたため、技能試験および日本語試験が免除される条件を満たしており、申請上も非常に有利な状況でした。
担当行政書士のコメント
介護分野における特定技能ビザは、技能実習を修了した外国人が、介護職の即戦力として引き続き日本で働くことを可能にする非常に有効な制度です。しかし、申請には煩雑な準備が伴い、特に受入企業側には雇用契約や支援体制の整備が求められます。
今回のN様法人では、技能実習制度には慣れているものの、特定技能に関しては初めての申請で、制度の理解や必要書類の整備が十分とはいえない状態でした。そこで、まずは制度概要と実務上の流れを共有したうえで、雇用契約の見直し、支援計画の策定、社内の支援担当者の明確化、生活支援内容の整備といった準備作業を段階的に進めていきました。
Lさんがすでにベトナムに帰国していたため、日本国内での在留資格変更ではなく、在留資格認定証明書交付申請という形での対応が必要でした。この場合、外国人本人が再来日するためにビザを取得する必要があるため、現地とのやり取りやスケジュール調整も重要なポイントとなります。
当事務所では、Lさんの技能実習歴や修了証明、日本語能力評価、過去の勤務記録を丁寧にまとめた経歴書を作成し、企業が求める人材像とマッチしていることを明確に示す書類を整えました。また、受入企業であるN様法人には、社内体制をヒアリングのうえで書面化し、生活支援・相談対応・日本語教育等の支援計画に反映しました。
申請から約2ヶ月後、無事に認定証明書が交付され、Lさんは現地での大使館手続を経て再来日。現在は阿倍野区の施設で、かつてと同様に利用者から信頼を得ながら業務に従事しています。職場では、Lさんの丁寧な仕事ぶりが新人職員の模範になっており、現場の雰囲気にも良い影響を与えています。
お客様の声
Lさんは技能実習時代からとても優秀な人材で、現場でも大変頼りにされていました。実習期間が終わって帰国されたときはとても寂しい気持ちになりましたが、再び働きたいという本人の意志を聞いて、こちらとしてもぜひお願いしたいという思いが強くなりました。
ただ、制度が変わっていて、どうやって受け入れればいいのか全く分からず、困っていたところで行政書士の先生にご相談しました。制度の説明から必要書類の準備、本人との海外でのやり取りまで、すべてサポートしてもらえて本当に助かりました。
社内でも初めての特定技能の受け入れでしたが、支援計画の内容まできちんと相談しながら進められたので安心でした。今ではLさんがまた職場に戻ってきてくれて、利用者さんも職員もとても喜んでいます。これからも外国人材の採用に積極的に取り組んでいこうと思います。ありがとうございました。