※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
O社は、大阪市城東区を拠点に惣菜や弁当類の製造・配送を手掛ける中小規模の食品加工会社で、従業員数は約40名。人手不足が深刻化する中、3年前から技能実習制度を導入し、主にインドネシアからの実習生を受け入れてきました。
今回の対象者であるRさんは、過去に技能実習2号(3年)および3号(さらに2年)を修了し、2024年に一時帰国。現地でも食品関連の業務に携わっていたものの、「また日本で働きたい」とO社に再雇用の希望を伝えてきました。
O社としては、Rさんの業務能力・人柄ともに高く評価しており、即戦力として再び受け入れたいという強い希望がありましたが、「特定技能ビザで本当に再入国が可能なのか」「どのような申請手続きが必要なのか」「社内の体制をどう整えるべきか」といった点で不明な部分が多く、当事務所に全面的なサポートを依頼されました。
担当行政書士のコメント
このご相談を受けた当初、まず確認すべきだったのは、Rさんが特定技能ビザに必要な「技能試験」と「日本語試験」の双方に合格しているかどうかという点でした。確認したところ、技能実習3号修了前にすでに食品製造分野の特定技能評価試験を日本国内で受験・合格しており、日本語能力についても実務経験を通じて十分なレベルに達していたことが判明しました。これは申請における非常に大きなアドバンテージでした。
次に取り組んだのが、企業側の体制整備です。特定技能での受け入れには、技能実習と異なり受入企業自身が「支援計画」を策定し、それを適切に実施する体制を整えておく必要があります。O社はこれまで技能実習制度に対応していたものの、特定技能への制度対応は初めてで、必要な書類や要件についての理解は十分ではありませんでした。そこで、まず受入機関としての基準を満たすための要件を一つずつ整理し、労働契約の内容、業務内容の説明、給与水準、勤務時間、休日、社会保険の適用などを丁寧にチェックしました。
支援計画においては、生活オリエンテーションや日本語学習支援、相談窓口の設置、行政手続の同行支援、住居確保など、実際にどのような体制を構築するかを企業とともに協議しながら書類に落とし込みました。O社のような中小企業では、支援業務をすべて自社で対応するのは難しい場面もあるため、一部は登録支援機関の活用も視野に入れつつ、社内で可能な部分は明確な担当を決めて運用できる体制を整備しました。
また、インドネシア国内での在外手続や招聘書類の準備も同時並行で進め、現地での出国スケジュールと日本側での在留資格認定証明書の交付タイミングを調整。空白期間が生じないよう入念な日程管理を行いました。その結果、申請から約2ヶ月で認定証明書が交付され、Rさんは無事に再来日を果たし、大阪市城東区の職場で再び勤務を開始することができました。
お客様の声
再びRさんを雇用できたことは、会社として非常に大きな出来事でした。技能実習期間中の勤務態度が本当に素晴らしく、帰国後も「また一緒に働きたい」という気持ちが社内全体にありました。
しかし、制度が新しく、情報も錯綜していたため、「本当に戻ってこられるのか」という不安も正直ありました。そんな中で、行政書士の先生に相談したことで、制度の構造や流れを丁寧に教えてもらい、安心して準備を進めることができました。
書類の多さや支援計画の作成など、企業側の負担が想像以上でしたが、一からテンプレートを用意していただき、社内ミーティングにも同席してもらえたのが本当に助かりました。
今は、Rさんが再び現場の中心戦力となって活躍してくれており、現場も非常に活気づいています。人手不足に悩む中小企業にとって、特定技能制度は非常にありがたい制度ですし、今後もまた外国人採用を進めていく中で、ぜひ引き続きご協力をお願いしたいと思っています。