※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
今回の依頼者であるA様は、パキスタン出身で10年以上日本に在住しており、これまで通訳や貿易関連の業務に従事されていました。日本語も流暢で、ビジネス環境にも精通されており、いつかは自身の貿易会社を設立し、母国との架け橋となるビジネスを展開したいという夢を持っておられました。
特に近年は、中古自動車の海外需要が高まっており、以前から日本で知り合ったバイヤー仲間とも輸出ビジネスの可能性を議論していたとのことです。そんな中で、知人の紹介により大阪市生野区の小規模倉庫付き事務所物件を見つけ、本格的に起業を決意。これに伴い、現在の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)から「経営管理ビザ」へ変更する必要があり、当事務所にご相談をいただきました。
A様はすでに法人設立に必要な資本金を自己資金で確保しており、登記予定の法人名や事業内容も固まっていましたが、「どのように事業計画を立てるべきか」「物件の契約時期はいつが良いか」「オフィスや倉庫は入管にどう評価されるのか」といった実務的な不安を多く抱えておられました。
初回相談では、A様のこれまでの職歴やビジネススキル、計画中のビジネスモデルをヒアリングし、経営管理ビザにおける要件(経営の実体・継続性・安定性・適法性など)を一つひとつ確認。その上で、スムーズな在留資格変更に向けたステップを丁寧にご説明しました。
担当行政書士のコメント
経営管理ビザの審査では、「形式だけの法人」「実態のない事務所・事業計画」と判断されると不許可となるケースも多いため、準備段階から細部まで一貫した計画と証拠書類が重要です。
今回のA様のケースでは、まず法人設立登記のスケジュールと、ビザ申請のタイミングを精密に設計するところから支援を開始しました。事業目的や定款内容は、輸出業に関連した適切な文言に調整し、許認可が不要な事業形態として整理。法人登記完了後は、オフィスと倉庫の現地確認を行い、入管提出用の物件契約書・現況写真・案内図・使用計画書などを整備しました。
次に、A様のこれまでの職歴や貿易経験を活かし、説得力のある「5か年事業計画書」を作成。主な仕入ルート、販売先、想定売上・利益、資金繰り、初年度の資金用途(設備・輸送費・広告宣伝費など)を明確に記載し、根拠となる資料(メールや注文書の写し、関連企業との連絡履歴等)も添付しました。
申請書類一式には、在留資格変更許可申請書、理由書、法人登記事項証明書、資本金の送金証明、賃貸借契約書類、物件写真、営業計画資料、役員報酬規定等を含め、入管担当官にとっても審査しやすい形にファイリング。約6週間の審査を経て、無事に経営管理ビザの許可が下りました。
その後も税務署・年金事務所への届け出、口座開設、補助金制度の紹介など、経営のスタートアップ全体をサポートしました。
お客様の声
以前から自分の会社を持ちたいと思っていたのですが、ビザのことや手続きが難しそうで、なかなか踏み出せませんでした。
でも、行政書士の先生が私のアイデアやビジネス経験をきちんと評価してくださり、「これならビザが通る可能性は高いです」と言ってくれたことで、とても勇気が出ました。
事業計画や書類の準備はとても複雑でしたが、一つ一つ丁寧に教えていただき、不安なく進めることができました。オフィスや倉庫のことまで一緒に見に行ってもらい、本当に心強かったです。
今は、生野区の倉庫を拠点に中古車の販売準備を進めており、海外バイヤーともオンラインで連携しながら、ようやく夢が現実になったと実感しています。これからも経営が軌道に乗るよう頑張っていきたいですし、また何かあれば先生に相談したいと思います。