※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
生野区で長年アパレル業を営むK社では、商品のデザイン性や独自性を強化するために、国際的な視点を持つデザイナーの採用を検討していました。社内には外国語が話せるスタッフも多く、韓国や台湾との取引が増えていたことから、語学力とデザインスキルを兼ね備えた人材が必要とされていました。
ある日、韓国の有名美術大学を卒業し、国内展示会でも作品が注目されていた若手デザイナーのJさんとオンラインで接点を持ち、「日本のアパレル業界で経験を積みたい」との申し出を受けたことをきっかけに採用を決定。ただし、Jさんはまだ学生ビザや就労ビザを持っていない韓国在住者で、日本で働くには「技術・人文知識・国際業務ビザ」が必要でした。
K社では外国人の採用は初めてで、在留資格に関する知識がなく、「何を準備すればよいのか」「どんな職種なら認められるのか」といった基本的な部分で不安を抱えていました。そんな中、法人顧問の税理士から紹介された当事務所にご相談をいただきました。
初回の打ち合わせでは、Jさんの履歴書や大学の専攻内容、これまでの作品集を確認し、K社の求人内容とどの程度適合するかを慎重に検討しました。入管審査では、学歴と業務内容が密接に関連している必要があるため、職務内容の具体化が必須でした。そこで、「服飾デザインの監修」「シーズンごとの企画提案」「海外展示会との調整」など、ビザ要件に合致する職種に焦点をあて、申請方針を固めました。
担当行政書士のコメント
技術・人文知識・国際業務ビザの申請では、「申請者の学歴や職歴」と「企業側の職務内容」がどれだけ適切にマッチしているかが重要な審査ポイントになります。単に「外国人を採用したい」という理由ではなく、制度的な要件を満たしたうえで、実際にその人材が業務にどう貢献するかを説得的に説明する必要があります。
今回のJさんのように、海外在住者を新規採用するケースでは、通常の採用と異なり、事前に企業側でビザ申請を行い、在留資格認定証明書を取得する手続きが必要になります。この証明書をもって本人が韓国の日本領事館でビザを申請するという流れになりますので、準備の質とスピードが重要です。
K社様の場合、職務内容が幅広く定義されていたため、どの部分が「技術・人文知識・国際業務」の定義に合致するのかを丁寧に精査しました。たとえば、「仕入れ担当」や「工場とのやりとり」は単純労働とみなされる可能性があるため避け、デザインのディレクションや、国際的な市場リサーチ、海外展示会に関する企画立案など、知的業務に該当する点を強調しました。
また、Jさんの学位証明や成績証明、作品のポートフォリオを日本語で補足し、企業の雇用理由書や求人票の内容をすり合わせた上で、提出書類を作成。提出から約1ヶ月半で在留資格認定証明書が交付され、Jさんは無事に来日してK社での勤務を開始することができました。
このような外国人材の新規採用は、企業にとっても制度理解を深める良い機会となり、今後の国際展開にもつながる可能性があると感じています。
お客様の声
外国人を雇用することは当社にとって初めての経験で、どこから手をつけていいか分からず正直とても不安でした。ネットで調べても情報が断片的で、「本当に採用できるのか」「書類はどれを揃えればいいのか」など、分からないことだらけでした。
そんな時に税理士の先生から行政書士の方をご紹介いただき、初回相談からとても親切に対応していただけたのが印象的でした。私たちのビジネス内容を丁寧に理解し、必要な情報を分かりやすく教えてくれて、安心して任せることができました。
職務内容の整理や、本人の学歴とのマッチングについても細かくチェックしていただき、入管向けの書類もすべて整えていただきました。作品集まで日本語で説明をつけてくださったのには驚きました。
ビザが無事に取れたときには、社内でも「よかったね!」という声があがりましたし、Jさんもすぐに馴染んでくれて、いまでは大切な戦力になっています。これから外国人採用を考えている企業があれば、ぜひ一度専門家に相談してみることをおすすめしたいと思います。