※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
東淀川区内で長年冷凍食品の製造を行ってきたS社では、慢性的な人手不足が続いており、これまでにも技能実習制度を活用して数名の外国人スタッフを雇用していました。中でも、過去に受け入れたベトナム人実習生の仕事ぶりが非常に良く、帰国後に「また日本で働きたい」との連絡を受けたことを機に、再雇用の可能性を模索していました。
しかし、技能実習制度では再度の来日は難しく、別の在留資格を検討する必要があると判断。社内では特定技能ビザという制度の存在は知っていたものの、手続きの煩雑さや要件の多さに尻込みしていたところ、過去に別件でやり取りのあった当事務所のメールマガジンを見て、「相談してみよう」とご連絡をいただきました。
最初のご相談では、受け入れたい人材の経歴、技能実習での職務内容、日本語能力のレベルなどを詳細にヒアリング。そのうえで、対象者が「食品製造分野」の特定技能1号の基準を満たしているかを確認し、雇用主側の支援体制や社内マニュアルの整備状況なども含めて現状分析を行いました。
制度の全体像を共有したうえで、「このまま進めれば、早ければ約2か月で在留資格認定証明書を取得できる」との見通しを提示し、社内稟議を経て正式にご依頼をいただきました。
担当行政書士のコメント
特定技能制度は、対象職種に応じた技能試験・日本語能力の証明に加え、受け入れ企業側に対してもかなり具体的な支援義務が課される制度です。申請書類も複雑で、単なるビザ申請とは異なり、企業の体制全体を評価されるプロセスである点が特徴です。
今回のS社のケースでは、採用予定者が技能実習を修了しており、すでに「食品製造分野の経験者」であったことが大きな強みでした。そのため、評価試験の免除申請を適用し、日本語能力についても技能実習中の報告書や社内評価をもとに申立書を添付して補足資料としました。
企業側には、日本語指導体制、生活支援体制、苦情対応の社内フローなどをマニュアル化するよう依頼し、それに基づいた支援計画書を当事務所が作成。労働契約書・雇用条件通知書・給与台帳の雛形も確認し、「報酬額が日本人と同等以上である」ことを数値で明示する形式に整えました。
入管とのやり取りでは、対象者の過去の在留履歴と、日本の受け入れ企業とのつながりの正当性を丁寧に説明。特に、同一業種内での継続雇用である点や、以前の技能実習先と今回の受入企業が同系列である点を強調し、制度趣旨に沿った申請であることを主張しました。
結果的に、1回の補正で全書類が整い、約6週間で在留資格認定証明書の交付を受けることができました。特定技能制度を初めて利用する企業にとっては不安も多いものですが、適切な支援体制が整えばスムーズに導入できる制度です。今後のリピート雇用にもつながるよう、S社とは継続的に協力体制を築いていく予定です。
お客様の声
技能実習で来てくれていた彼が、「もう一度日本で働きたい」と連絡してくれたとき、何とか応えたいという気持ちはありました。でも、制度のことがよく分からず、自分たちで調べても「支援計画?」「評価試験?」「どこに出すの?」と疑問だらけで、実際に動き出すのは難しかったです。
そんなときに、以前やり取りした行政書士の先生から届いたメールをきっかけに、「プロに聞いてみよう」と思いました。実際に相談してみると、思っていた以上に準備が必要で驚きましたが、一つひとつを丁寧に説明してくれて、書類の準備もほぼすべてお任せできたのは大きかったです。
支援体制をどう整えるかなども、テンプレートや事例を出してもらえて、とてもスムーズでした。何より嬉しかったのは、彼が来日してすぐに現場に馴染んでくれたことです。既に社内でも戦力として活躍しており、周囲のスタッフからも信頼されています。
今後は、ほかの実習生出身者の採用も視野に入れていますが、引き続きお願いしたいと思っています。今回の成功体験が、会社にとっての大きな安心材料になりました。