※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
H様は定年退職後のセカンドキャリアとして、以前から関心のあった「地域密着型の和食店」を交野市内で開業したいと考えていました。長年飲食業とは縁のない仕事をされていましたが、家庭料理に近い形での定食提供であれば、自分でも無理なく続けられると感じておられたそうです。
開業の場所として選んだのは、交野市内で空き家となっていた築50年を超える古民家物件。地元では知られた建物で風情もあり、地域の人々が集まりやすい環境を作れると考えられたそうです。しかし、建物の老朽化や設備の未整備のため、「果たしてこの建物で営業許可が下りるのか?」という点に大きな不安がありました。
「交野市 古民家 飲食店営業許可」や「飲食店 改装 営業許可」などで情報を検索する中で、当事務所の飲食店営業許可に関する解決事例を見つけていただき、ご連絡をいただきました。
担当行政書士のコメント
飲食店営業許可の取得には、保健所が定める「施設基準」をクリアすることが絶対条件です。古民家のような築古物件の場合、水回りの不備や排気設備の不足、厨房の床材や壁材の基準未満など、複数の修繕項目が出てくることが多く、通常のテナント物件に比べて調整に時間がかかります。
初回の現地確認では、間取りに味わいがある反面、設備面では課題が山積していました。厨房に必要な2槽シンクのスペースがなく、手洗い設備も家庭用仕様のまま、給湯器の設置場所も保健所基準を満たしていませんでした。また、土間がそのまま厨房スペースになる予定だったため、防水処理や排水勾配の改善も必要でした。
そこで、まずは泉州保健所(交野市管轄)との事前協議を行い、施設全体の改修内容を段階的に計画。すべてを高額な工事で一新するのではなく、「最低限ここを直せば許可が取れる」という基準を整理したうえで、H様と施工業者に具体的な改善指示を出しました。
厨房設備では、家庭用キッチンの一部を撤去してステンレスシンクと業務用コンロを設置。換気設備も排気ファンの強化と排気口の増設により基準をクリアしました。手洗い設備については、厨房とは別に独立した手洗い場を設け、温水が出るよう給湯器も新設。壁面や床材も、保健所指定の「耐水性・清掃性のある素材」に変更して申請に備えました。
その間、H様には食品衛生責任者の講習を受けていただくよう日程を調整し、受講・修了の証明書も許可申請時に添付できるよう手配しました。
書類作成では、厨房の平面図、営業許可申請書、施設構造の説明書などを当事務所で一括作成し、事前協議で確認済みの内容と整合性をもたせることで、申請段階での不備を最小限に抑えました。
申請後の現地確認(検査)では、保健所担当者から「古い建物をここまで丁寧に整備されたのは珍しい」とお褒めいただき、その場で大きな指摘もなく、数日後に無事、正式な飲食店営業許可証が発行されました。
お客様の声
古民家を使って飲食店をやりたいという夢はずっとあったのですが、いざ実行しようと思うと、許可や手続き、設備の基準がとても複雑で、途中で諦めかけたこともありました。特に、どこを改修すれば営業許可が取れるのかが全く分からず、無駄な工事をしてしまうのではと不安でいっぱいでした。
そんな時に行政書士の先生に相談して、まずは「今の建物のままで、何が足りないのか」を見てもらえたことが大きな安心につながりました。全部やり直す必要はなく、ポイントを押さえれば許可が取れるという道筋を示してもらえて、「これならできる」と思えました。
現地の打ち合わせ、保健所との相談、書類の準備、そして検査当日まで、すべてサポートしてもらえたおかげで、何のトラブルもなく無事に許可が下り、本当に感謝しています。今では地元の人たちが集まる定食屋として少しずつ口コミが広がり、毎日がとても充実しています。