※本事例は個人情報の観点からモデルケースとして地域や一部内容を変更して記載しています。
ご依頼の経緯
M様は大阪市天王寺区で寿司と和食を中心に提供する居酒屋を経営されています。店舗は天王寺駅近くという好立地にあり、観光客や地域住民、仕事帰りの会社員など幅広い層から支持を集めている人気店です。しかし、コロナ禍以降のスタッフ不足と、若手人材の定着率の低さに悩まされていました。特に夜間や週末のホール業務では、人手が足りず、サービスの質を維持するのが難しい状況が続いていたといいます。
そんな中、約2年間にわたってホール業務を担当してきたバングラデシュ人留学生の存在が大きな支えとなっていました。彼は、丁寧な接客と明るい人柄でお客様の評判も良く、日本語でのやり取りもスムーズでした。また、自主的にメニュー説明の内容改善や、SNSでの店舗情報発信などにも関わるなど、アルバイト以上の活躍を見せていたのです。
M様は、卒業後もぜひ彼を正社員として迎え入れたいと強く希望されましたが、外国人を正社員として雇用するには在留資格の変更が必要であることを知り、その複雑さに不安を感じておられました。最初は技能実習か技術・人文知識・国際業務ビザでの採用を考えたものの、業務内容とマッチしないことが分かり、最終的に「外食業」での特定技能ビザが最適であることを知りました。
「天王寺区 飲食店 外国人採用」「特定技能ビザ 飲食店 正社員」などの検索で当事務所のホームページにたどり着き、これまでの支援実績と地域対応の丁寧さに安心感を持ってご相談をいただきました。
担当行政書士のコメント
まず初回面談では、M様の店舗状況と採用希望者の在留状況を詳しく確認しました。対象者であるバングラデシュ人留学生は、すでに「外食業特定技能1号評価試験」と「日本語能力試験N3」を取得済みで、在留資格変更の要件を満たしていました。そのため、店舗側の体制整備に注力すれば、特定技能ビザの申請は十分に可能と判断しました。
特定技能ビザでは、雇用契約書の内容はもちろん、労働条件通知書や就業規則、社会保険加入の有無、給与水準、勤務スケジュールなどを細かく整備する必要があります。また、外国人スタッフが日本で安心して働き続けるための「生活支援体制」も重要です。住居の確保や日本語指導、行政手続きのサポート、相談窓口の設置など、詳細な支援計画の作成が求められます。
M様の店舗は、初めての外国人正社員採用ということで、これらの体制整備は未対応の部分が多く見受けられました。そこで、雇用契約書のひな形提供から就業規則の見直し、勤務内容の明文化、支援計画書の作成まで一貫してサポートしました。
申請書類では、対象者がこれまでに担当してきた業務と、今後担う予定の役割について詳細に記載しました。たとえば「日本語による顧客対応」「メニュー開発補助」「SNSを通じた多言語広報活動」などがあり、単純労働に該当せず、外食業としての専門性を備えた職務であることを明確に示しました。
さらに、天王寺区というインバウンド需要の高いエリアで、外国人スタッフが果たす役割が大きいことも強調しました。多言語メニューの対応や外国人観光客とのコミュニケーション支援など、地域性と店舗のニーズに合致した人材であることを審査官にしっかり伝える内容に仕上げました。
結果として、申請から約45日後に特定技能ビザが許可され、卒業と同時に正社員としての勤務を開始。現在では、ホール業務に加え、SNS運用や後輩スタッフの指導にも関わり、チームの中心的存在となっています。
お客様の声
もともと留学生としてアルバイトしていた彼の存在は、うちの店にとって非常に大きく、常連のお客様からも「彼がいると安心」と言っていただけるほどでした。だからこそ、卒業後に彼を手放したくないという思いが強く、どうにかならないかと調べていたところ、特定技能ビザという制度を知りました。
でも、正直言って制度は複雑で、何から始めればいいのか分かりませんでした。そんな中、行政書士の先生に相談してみると、「この条件なら申請可能です」「体制はこう整えましょう」と的確なアドバイスをもらい、すぐに信頼できると感じました。
申請書類の準備も細かく、生活支援計画など聞き慣れない内容もありましたが、先生がすべてリードしてくださったので、私は必要な書類を整えるだけでよく、本当に助かりました。何よりも、卒業と同時に正社員として迎えることができたのは、店にとっても本人にとっても最高のスタートでした。
今では、彼がスタッフのまとめ役として機能し、新しいメニューやSNS発信でも活躍してくれており、外国人スタッフの力をあらためて実感しています。これからもこうした制度を活かして、人材を育てていきたいと思います。次に外国人を採用する際も、必ずお願いしたいです。